動画編集におけるハードウェアエンコードとソフトウェアエンコードの違いとは?メリットとデメリットを徹底解説!どちらを選ぶべき?

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動画編集において「ハードウェアエンコード」と「ソフトウェアエンコード」のどちらを選ぶべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では両者の基本的な仕組みから具体的なメリット・デメリット、さらにはAdobe Premiere ProやDaVinci Resolveなどの主要な動画編集ソフトでの実装方法まで、プロのエンジニアが初心者にもわかりやすく解説します。
YouTubeへの投稿用動画制作からライブ配信、高画質な映像作品制作まで、用途に応じた最適な選択方法と推奨ハードウェア環境についても詳しくご紹介します。この記事を読むことで、あなたの動画編集環境に最適なエンコード方式を判断し、効率的で高品質な動画制作が可能になります。

1. エンコードとは何か

1.1 動画エンコードの基本概念

動画エンコードとは、デジタル動画データを特定の形式やコーデックに変換する処理のことです。撮影した映像素材やカメラから出力される生データは、そのままではファイルサイズが非常に大きく、インターネット上での配信や保存には適していません

エンコードを行うことで、映像の品質を保ちながらファイルサイズを圧縮し、様々なデバイスで再生可能な形式に変換できます。このプロセスでは、映像の解像度、フレームレート、ビットレートなどのパラメータを調整して、用途に応じた最適な形式で出力します。

現在主流の動画コーデックには、H.264(AVC)、H.265(HEVC)、VP9、AV1などがあり、それぞれ圧縮効率や対応デバイスが異なります。エンコードの際には、これらのコーデックから目的に応じて最適なものを選択する必要があります。

コーデック圧縮効率対応デバイス主な用途
H.264(AVC)標準ほぼ全てのデバイスYouTube、配信サービス
H.265(HEVC)高効率新しいデバイス中心4K動画、高品質配信
VP9高効率Webブラウザ中心YouTube、Web配信
AV1最高効率限定的次世代配信サービス

1.2 動画編集におけるエンコードの役割

動画編集の工程において、エンコードは最終的な成果物を作成する重要な段階です。編集作業で組み合わせた映像素材、音声、エフェクト、テキストなどを一つの動画ファイルとして書き出すために必要な処理がエンコードです。

動画編集ソフトでは、編集中はプロキシファイルや中間コーデックを使用して効率的に作業を行いますが、最終的な配信や保存のためには、目的に応じたエンコード設定で書き出しを行います。この際、画質と処理時間、ファイルサイズのバランスを考慮する必要があります。

エンコードの品質設定によって、同じ素材でも大きく異なる結果が得られます。高品質設定では美しい映像が得られますが処理時間が長くなり、低品質設定では短時間で処理できるものの画質が劣化する可能性があります。

また、配信先のプラットフォームによって推奨される設定が異なるため、YouTube、Instagram、TikTokなど、それぞれの要求仕様に合わせてエンコード設定を調整することが重要です。適切なエンコード設定により、視聴者により良い視聴体験を提供できます。

2. ハードウェアエンコードとソフトウェアエンコードの基本的な違い

動画編集において最も重要な処理の一つであるエンコードには、大きく分けてハードウェアエンコードとソフトウェアエンコードの2つの方式が存在します。これらの違いを理解することで、あなたの動画制作環境に最適な選択ができるようになります。

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両者の最も大きな違いは、エンコード処理を担当するコンピュータのパーツが異なるという点にあります。処理方式の違いにより、速度・画質・システム負荷などの特性が大きく変わってくるのです。

項目ハードウェアエンコードソフトウェアエンコード
処理担当GPU(グラフィックカード)CPU(プロセッサ)
処理速度高速低速
画質標準的高画質
設定の自由度制限あり高い
システム負荷低い高い

2.1 ハードウェアエンコードの仕組み

ハードウェアエンコードは、GPU(Graphics Processing Unit)に内蔵された専用チップがエンコード処理を担当する方式です。現代のグラフィックカードには、NVIDIA製品であればNVENC、AMD製品であればVCE(Video Coding Engine)という専用エンコーダーが搭載されています。

この専用チップはエンコード処理に特化して設計されているため、非常に高速な処理が可能となります。特にリアルタイム配信やゲーム録画において、その威力を発揮します。GPUのメインコアとは独立して動作するため、ゲームプレイや他のグラフィック処理に影響を与えにくいという特徴もあります。

処理の流れとしては、動画データがGPUメモリに読み込まれ、専用エンコーダーが並列処理によって圧縮を行います。この並列処理能力により、従来のCPUエンコードと比較して数倍から十数倍の高速化を実現できるのです。

2.2 ソフトウェアエンコードの仕組み

ソフトウェアエンコードは、CPU(Central Processing Unit)がソフトウェア上でエンコード処理を実行する方式です。x264やx265といったエンコーダーライブラリを使用して、プログラム的に圧縮処理を行います。

CPUは汎用的な処理に優れており、複雑なアルゴリズムや細かいパラメータ調整を柔軟に実装できます。そのため、画質を重視した高品質なエンコードが可能となります。特に、プロフェッショナルな映像制作や長期保存を目的とした動画では、ソフトウェアエンコードが選ばれることが多いです。

処理方式としては、CPUの各コアが順次的に動画データを処理していきます。マルチコアCPUの場合は並列処理も可能ですが、ハードウェアエンコードほどの並列性は実現できないため、処理時間が長くなる傾向があります。しかし、その分だけ丁寧で高品質な圧縮が行われるのです。

3. ハードウェアエンコードのメリットとデメリット

ハードウェアエンコードは、GPU(Graphics Processing Unit)に搭載された専用の回路を利用して動画エンコードを実行する技術です。この技術には明確なメリットとデメリットが存在するため、動画編集を行う際には特性を理解して適切に使い分けることが重要です。

3.1 ハードウェアエンコードのメリット

ハードウェアエンコードの最大の利点は、専用ハードウェアによる効率的な処理にあります。GPUに内蔵された専用回路が動画処理を担うため、複数のメリットを享受できます。

3.1.1 処理速度の向上

ハードウェアエンコードの最も顕著なメリットは処理速度の大幅な向上です。GPU内蔵の専用エンコーダーは、動画圧縮処理に特化した回路設計により、ソフトウェアエンコードと比較して数倍から十数倍の高速処理を実現します。

例えば、4K動画のH.264エンコードにおいて、ソフトウェアエンコードで30分かかる処理が、ハードウェアエンコードでは5分程度で完了する場合があります。この処理速度の向上により、動画編集のワークフロー全体が大幅に効率化されます。

3.1.2 CPU負荷の軽減

ハードウェアエンコードでは、CPUリソースの消費を大幅に削減できます。エンコード処理をGPUが担うため、CPUは他の作業に集中できるようになります。

この特性により、エンコード処理中でも他のアプリケーションを快適に使用でき、マルチタスク環境での作業効率が向上します。特に限られたスペックのパソコンでも、CPU負荷を抑えながら動画処理を実行できる点は大きなメリットです。

3.1.3 リアルタイム処理への対応

ハードウェアエンコードはリアルタイム動画配信や録画において優位性を発揮します。低遅延での処理が可能なため、ライブ配信やゲーム実況などの用途に適しています。

OBS StudioやXSplitなどの配信ソフトウェアでも、ハードウェアエンコード機能を活用することで、配信品質を維持しながら安定した処理を実現できます。

3.2 ハードウェアエンコードのデメリット

一方で、ハードウェアエンコードには処理速度の代償として、いくつかの制限事項があります。これらの特性を理解することで、適切な使い分けが可能になります。

3.2.1 画質の制限

ハードウェアエンコードの最大のデメリットは画質面での制約です。処理速度を優先した回路設計のため、ソフトウェアエンコードと比較して圧縮効率や画質が劣る場合があります。

特に複雑な映像や細かいディテールが多い動画では、ブロックノイズやモスキートノイズなどの圧縮アーティファクトが目立つ可能性があります。高品質な映像作品制作においては、この画質差が重要な判断要因となります。

3.2.2 対応する設定の制約

ハードウェアエンコードではエンコード設定の自由度が制限されます。専用回路の仕様により、ビットレート制御やプロファイル設定などの細かい調整オプションが限定される場合があります。

設定項目ハードウェアエンコードソフトウェアエンコード
レート制御VBR、CBR、CQPなど限定的全ての制御方式に対応
プロファイル主要プロファイルのみ全プロファイル対応
2-passエンコード非対応または制限あり完全対応

3.2.3 GPUの性能依存

ハードウェアエンコードの性能は搭載GPUの世代と性能に大きく依存します。古いGPUでは対応コーデックが限られ、処理性能も期待できない場合があります。

NVIDIAのNVENCやAMDのVCE、IntelのQuick Sync Videoなど、各メーカーのエンコーダーは世代ごとに機能と性能が向上しているため、最新のGPUを選択することが重要です。特にエンコード品質については、RTX30番台以降やRDNA2世代以降で大幅に改善されています。

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4. ソフトウェアエンコードのメリットとデメリット

ソフトウェアエンコードは、CPUの処理能力を利用してデータの圧縮や変換を行う方式です。ハードウェアエンコードと比較して、処理時間はかかりますが、より高品質な出力と柔軟な設定が可能という特徴があります。動画編集において適切な選択をするために、ソフトウェアエンコードの利点と欠点を詳しく理解しておきましょう。

4.1 ソフトウェアエンコードのメリット

ソフトウェアエンコードには、高画質な出力や細かい設定の調整といった大きなメリットがあります。プロフェッショナルな動画制作において重要となるこれらの利点について、具体的に解説します。

4.1.1 高画質な出力

ソフトウェアエンコードの最大の利点は、ハードウェアエンコードよりも高画質な動画を出力できることです。CPUによる処理では、より複雑で精密なアルゴリズムを使用できるため、画質の劣化を最小限に抑えることができます。

特に以下のような場面で、その差は顕著に現れます。

シーンソフトウェアエンコードの優位性
細かいディテールの多い映像テクスチャや文字の輪郭がより鮮明
グラデーションの多い映像色の階調がなめらかで自然
動きの激しいシーンモーションブラーが適切に処理される
低照度の映像ノイズの処理がより効果的

映画やドキュメンタリーなどの高品質な映像作品を制作する際には、ソフトウェアエンコードが選択されることが多いのはこのためです。

4.1.2 細かい設定の調整が可能

ソフトウェアエンコードでは、エンコードパラメータを詳細にカスタマイズできるという大きなメリットがあります。ビットレート、GOP長、量子化パラメータ、動き予測の精度など、多岐にわたる設定項目を自由に調整できます。

主要な調整可能項目は以下の通りです。

  • ビットレート配分の最適化
  • プロファイルとレベルの選択
  • エントロピーエンコーディング方式の設定
  • 動き補償の精度調整
  • ループフィルタの強度設定
  • レート制御モードの選択

これらの細かい調整により、素材の特性や配信プラットフォームの要求に応じて最適化された動画を作成することができます。

4.1.3 幅広いコーデックに対応

ソフトウェアエンコードは、ハードウェアエンコードよりも多様なコーデックに対応している点も重要なメリットです。新しいコーデックが開発された際も、ソフトウェアアップデートにより比較的容易に対応できます。

対応可能なコーデックの例を以下に示します。

コーデック種別対応状況用途例
H.264/AVC全面対応汎用的な動画配信
H.265/HEVC全面対応4K動画の効率的な配信
AV1対応済み次世代の動画配信
ProRes対応済みプロフェッショナル映像制作
DNxHD/DNxHR対応済み放送業界標準

4.2 ソフトウェアエンコードのデメリット

一方で、ソフトウェアエンコードには処理時間の長さやCPU負荷の高さといったデメリットも存在します。これらの課題を理解して、適切な運用を行うことが重要です。

4.2.1 処理時間の長さ

ソフトウェアエンコードの最も顕著なデメリットは、ハードウェアエンコードと比較して処理時間が大幅に長くなることです。複雑なアルゴリズムをCPUで処理するため、同じ動画をエンコードする場合でも数倍から十数倍の時間を要することがあります。

処理時間の比較例を以下に示します。

動画の長さ解像度ハードウェアエンコードソフトウェアエンコード
10分1080p約2分約15分
30分1080p約6分約45分
60分4K約20分約3時間

この処理時間の差は、特に大量の動画を定期的に処理する必要があるYouTuberや企業の動画制作部門にとって大きな課題となります。

4.2.2 CPU負荷の高さ

ソフトウェアエンコードは、CPU使用率を100%近くまで押し上げることが多く、システム全体のパフォーマンスに影響を与える可能性があります。エンコード処理中は他の作業が困難になることもあるため、作業効率の観点から問題となる場合があります。

CPU負荷による具体的な影響は以下の通りです。

  • システムの応答速度が著しく低下
  • 他のアプリケーションの動作が不安定になる
  • CPUの発熱によりファン音が増大
  • 長時間の処理でCPUの寿命に影響を与える可能性
  • ノートパソコンではバッテリー消費が急激に増加

これらの問題を軽減するためには、高性能なCPUの搭載や適切な冷却システムの導入、マルチコア対応のエンコードソフトウェアの使用などの対策が必要となります。特に動画編集を主目的とするパソコンでは、CPUの選択が重要な要素となります。

5. 動画編集ソフトでの実装例

動画編集において、ハードウェアエンコードとソフトウェアエンコードの設定は各編集ソフトによって異なります。主要な動画編集ソフトでの具体的な設定方法を詳しく解説していきます。

5.1 Adobe Premiere Proでの設定方法

Adobe Premiere Proでは、書き出し時にエンコード方式を選択することができます。「ファイル」メニューから「書き出し」→「メディア」を選択し、書き出し設定画面を開きます。

ハードウェアエンコードを使用する場合は、「形式」でH.264またはH.265を選択後、「基本ビデオ設定」セクションで「ハードウェアエンコーディング」にチェックを入れます。この設定により、NVIDIAのNVENCやAMDのAMF、Intel Quick Sync Videoなどが利用されます。

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ソフトウェアエンコードを使用する場合は、ハードウェアエンコーディングのチェックを外します。この設定では、CPUによる高品質な圧縮処理が行われ、より細かなビットレート調整やVBR(可変ビットレート)設定が可能になります。

設定項目ハードウェアエンコードソフトウェアエンコード
処理速度高速(約3-5倍早い)標準
画質設定制限あり豊富な選択肢
CPU使用率低い(10-30%)高い(80-100%)

5.2 DaVinci Resolveでの設定方法

DaVinci Resolveでは、「デリバー」ページでエンコード設定を行います。レンダーキューで新しいジョブを作成する際に、「ビデオ」タブでエンコード方式を選択できます。

ハードウェアアクセラレーションを有効にするには、「エンコードプロファイル」で「H.264 NVIDIA」、「H.264 AMD」、「H.264 Intel」などのGPUベースのオプションを選択します。これにより、グラフィックカードの専用エンコーダーが使用されます。

高品質な出力を求める場合は、「エンコードプロファイル」で「H.264 Main」や「H.265 Main」などのソフトウェアベースのプロファイルを選択します。この設定では、より多くの圧縮オプションと品質設定が利用可能になり、プロフェッショナルな映像制作に適した出力が得られます。

DaVinci Resolveの特徴として、「品質」設定で「Best」を選択した場合、自動的にソフトウェアエンコードが優先される仕組みになっています。一方、「Fastest」設定では利用可能なハードウェアエンコーダーが積極的に使用されます。

5.3 Final Cut Proでの設定方法

Final Cut ProはMac専用の編集ソフトであり、Apple独自のハードウェアアクセラレーション技術が組み込まれています。「ファイル」メニューから「共有」を選択し、書き出し先を指定する際にエンコード設定を調整できます。

VideoToolboxによるハードウェアエンコードは、MacのApple SiliconチップやIntel CPUの内蔵機能を活用します。「設定」ボタンをクリックして詳細設定画面を開き、「ビデオエンコード」で「より高速」を選択すると、ハードウェアアクセラレーションが優先されます。

高品質な出力を重視する場合は、「より高品質」を選択することでソフトウェアエンコードが使用されます。この設定では、Apple ProResやH.265 HEVCなどの高品質コーデックを最大限活用できます。

Final Cut Proの独自機能として、「マルチパス」エンコーディングがあります。この機能は複数回の解析を行うため処理時間は長くなりますが、ファイルサイズと画質の最適なバランスを実現できます。プロフェッショナルな映像制作や配信用コンテンツの作成時に特に有効です。

編集ソフトハードウェアエンコード設定主な対応GPU
Adobe Premiere ProハードウェアエンコーディングにチェックNVIDIA、AMD、Intel
DaVinci ResolveGPU対応エンコードプロファイル選択NVIDIA、AMD、Intel
Final Cut Pro「より高速」設定を選択Apple Silicon、Intel内蔵GPU

各編集ソフトでエンコード方式を選択する際は、プロジェクトの用途と納期、そして使用するハードウェア環境を総合的に考慮することが重要です。YouTube投稿やSNS配信など迅速な処理が求められる場面ではハードウェアエンコードが適しており、映画制作やテレビ番組など最高品質が要求される用途ではソフトウェアエンコードが推奨されます。

6. 用途別の選び方

動画編集におけるハードウェアエンコードとソフトウェアエンコードの選択は、制作する動画の用途や目的によって大きく異なります。それぞれの特徴を理解し、適切な選択をすることで、効率的で品質の高い動画制作が可能になります。

6.1 YouTube投稿用動画の場合

YouTube投稿用の動画制作では、アップロード効率と一定の画質バランスが重要になります。多くのYouTuberが定期的にコンテンツを投稿する必要があるため、制作スピードが優先される傾向があります。

項目ハードウェアエンコードソフトウェアエンコード
推奨度◎高い○普通
処理時間実時間の2-5倍程度実時間の5-10倍程度
画質YouTube圧縮後は十分より高品質だが差は小さい
CPU負荷低い(他作業可能)高い(PCが重くなる)

YouTube投稿では、プラットフォーム側で再圧縮が行われるため、元動画の超高画質は最終的な視聴品質にそれほど大きな影響を与えません。むしろ、定期的な投稿を維持するための制作効率の方が重要です。

フルHD(1920×1080)での投稿が主流の場合、NVIDIA GeForceシリーズのNVEncやAMD RadeonシリーズのVCEを活用したハードウェアエンコードが最適です。特に、ゲーム実況やライブ配信のアーカイブ動画では、リアルタイム性も重要な要素となります。

6.2 高画質な映像作品制作の場合

映画、CM、プロモーションビデオなど、最高品質の映像出力が求められる制作現場では、ソフトウェアエンコードが標準となります。細かな色調整や高ビットレートでの出力が必要な場面では、処理時間を犠牲にしても品質を優先する必要があります。

プロフェッショナルな映像制作では、以下の要素が重要になります。

  • 10bit以上の色深度での処理
  • ProResやDNxHDなどの中間コーデックでの書き出し
  • カラーグレーディング後の色情報保持
  • 4K以上の高解像度での精密な処理
制作段階推奨エンコード方式理由
プレビュー・確認用ハードウェアエンコード迅速な確認が可能
中間ファイル作成ソフトウェアエンコード品質劣化を最小限に抑制
最終納品ファイルソフトウェアエンコード最高品質での出力が必要

このような用途では、Intel Core i9やAMD Ryzen 9シリーズのような高性能CPUを搭載したワークステーションが必要になります。処理時間は長くなりますが、クライアントの要求する品質基準を満たすためには必要な投資といえます。

6.3 ライブ配信の場合

ライブ配信では、リアルタイム性が最も重要な要素となるため、ハードウェアエンコードが必須となります。遅延が発生すると視聴者との双方向性が失われ、配信の魅力が大幅に低下してしまいます。

ライブ配信における技術的要件は以下の通りです。

  • 1秒以下の低遅延エンコード
  • 安定したフレームレート維持
  • ネットワーク状況に応じた適応的ビットレート
  • 長時間の連続稼働安定性

主要な配信プラットフォームでは、以下のような設定が推奨されています。

プラットフォーム推奨解像度推奨ビットレートエンコーダー設定
YouTube Live1920×1080 60fps6000-9000 kbpsH.264 High Profile
Twitch1920×1080 60fps6000 kbpsH.264 Main Profile
ニコニコ生放送1280×720 30fps3000-6000 kbpsH.264 Baseline Profile

ライブ配信用途では、NVIDIA GeForce RTX 4060以上、またはAMD Radeon RX 7600以上のGPUを搭載したシステムが推奨されます。ハードウェアエンコーダーの性能が配信品質に直結するため、GPU選択が特に重要になります。

また、ライブ配信では同時に複数のタスクを処理する必要があるため、ゲーム実行、配信ソフトウェア動作、チャット確認などを並行して行える十分なシステムリソースの確保が必要です。CPUとGPUのバランスの取れた構成が、安定した配信環境を実現する鍵となります。

7. 推奨するハードウェア環境

動画編集におけるエンコード処理を快適に行うためには、適切なハードウェア環境の選択が重要です。ハードウェアエンコードとソフトウェアエンコードのどちらを重視するかによって、推奨されるパーツ構成が大きく異なります。

現在の動画編集環境では、多くの場合両方の手法を使い分けることが求められるため、バランスの取れたシステム構成を検討することが重要です。特に4K動画の編集や高フレームレート動画の処理を行う場合、適切なハードウェア選択がワークフローの効率性を大きく左右します。

7.1 ハードウェアエンコードに適したGPU

ハードウェアエンコードの性能は、搭載されているGPUのエンコーダー機能に大きく依存します。現在最も優秀なハードウェアエンコード性能を提供するのは、NVIDIA RTXシリーズのGPUです。

NVIDIAのRTX 40シリーズでは、AV1エンコードにも対応しており、従来のH.264やH.265に加えて次世代コーデックでの高速処理が可能です。特にRTX 4060以上のモデルでは、デュアルエンコーダーを搭載しているため、複数の動画を同時にエンコードしたり、配信と録画を同時に行うことができます。

GPUエンコーダー数対応コーデック推奨用途
RTX 4090デュアルH.264/H.265/AV1プロ向け4K動画編集
RTX 4080デュアルH.264/H.265/AV1高解像度動画編集
RTX 4070デュアルH.264/H.265/AV1一般的な動画編集
RTX 4060デュアルH.264/H.265/AV1エントリー向け動画編集

AMD製GPUでは、Radeon RX 7000シリーズがハードウェアエンコードに対応していますが、動画編集ソフトウェアとの互換性や品質の面で、現在はNVIDIA製GPUが優位に立っています。ただし、コストパフォーマンスを重視する場合は、AMD製GPUも選択肢として検討できます。

Intel製GPUのArc A770やArc A750も優秀なハードウェアエンコード機能を持っていますが、ドライバーの安定性や対応ソフトウェアの制約があるため、メインの動画編集用途では慎重な検討が必要です。

7.2 ソフトウェアエンコードに適したCPU

ソフトウェアエンコードでは、CPUの処理能力が直接エンコード時間に影響するため、コア数とクロック周波数のバランスが重要です。現在の動画編集においては、マルチスレッド処理に対応したミドルレンジ以上のCPUが推奨されます。

Intel製CPUでは、第13世代Core iシリーズ以降が動画編集に適しています。特にCore i7-13700KやCore i9-13900Kは、Pコア(パフォーマンスコア)とEコア(エフィシェンシーコア)のハイブリッド構成により、エンコード処理と他の作業を効率的に並行処理できます。

CPUコア数/スレッド数ベースクロック推奨用途
Core i9-14900K24コア/32スレッド3.2GHzプロ向け長時間エンコード
Core i7-14700K20コア/28スレッド3.4GHz一般的な動画編集
Core i5-14600K14コア/20スレッド3.5GHzエントリー向け動画編集

AMD製CPUでは、Ryzen 7000シリーズが優秀な性能を発揮します。Ryzen 9 7950Xは16コア32スレッドの構成で、長時間のソフトウェアエンコードにも安定した性能を提供します。AMDのCPUは一般的にマルチスレッド性能に優れているため、複数の動画を同時にエンコードする用途にも適しています。

メモリについては、動画編集では大容量のRAMが必要になります。4K動画編集では最低32GB、より快適に作業するためには64GB以上のメモリを推奨します。メモリ速度も重要で、DDR4-3200以上、可能であればDDR5-4800以上の高速メモリを選択することで、エンコード処理の効率が向上します。

ストレージ環境も見逃せない要素です。動画ファイルの読み書き速度がエンコード性能に影響するため、NVMe SSDの使用は必須といえます。特に大容量の動画ファイルを扱う場合は、PCIe 4.0対応の高速SSDを選択することで、ファイルの転送時間を大幅に短縮できます。

8. まとめ

動画編集におけるハードウェアエンコードとソフトウェアエンコードの違いは、処理方法と最終的な出力品質にあります。ハードウェアエンコードは専用チップを活用するため高速処理が可能で、CPU負荷を大幅に軽減できる一方、画質面では制限があります。対してソフトウェアエンコードは処理時間がかかりCPU負荷が高いものの、細かい設定調整により高画質な映像を出力できます。

用途に応じた選択が重要で、YouTube投稿やライブ配信などスピードを重視する場面ではハードウェアエンコードが適しており、映画制作や商業映像など最高品質を求める場合はソフトウェアエンコードを選ぶべきです。また、どちらの方式を選ぶにしても、適切なハードウェア環境が必要不可欠です。ハードウェアエンコードには高性能GPU、ソフトウェアエンコードには多コアCPUが求められます。ゲーミングPC/クリエイターPCのパソコン選びで悩んだらブルックテックPCへ。

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