マザーボードのチップセットとは?Intel・AMD別の種類と特徴を分かりやすく説明

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パソコンを自作したりBTOパソコンを選ぶ際に、マザーボードの仕様を見て「チップセットって何?」と疑問に思ったことはありませんか?
チップセットはマザーボードの心臓部とも言える重要なパーツで、CPUと各種パーツを結ぶ橋渡し役を担っています。この記事では、チップセットの基本的な役割から、Intel・AMD別の具体的な種類と特徴、さらには用途に応じた選び方まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。チップセットの違いを理解することで、ゲーミングPC、クリエイター向け、オフィス用途など、目的に最適なマザーボード選びができるようになり、無駄な出費を避けながら必要十分な性能を確保できます。

1. マザーボードのチップセットとは何か

マザーボードのチップセットは、CPUと各種パーツの橋渡しを行う重要な制御回路です。パソコンの中枢部分として、CPUからの指令を受けて様々なハードウェアの動作を制御し、データの流れを管理する役割を担っています。

チップセットは複数のICチップで構成されており、現在では主に1つまたは2つのチップにまとめられています。このチップセットの性能や機能によって、マザーボードが対応できるCPUの種類、メモリの最大容量、拡張スロットの数、USB端子の数などが決まるため、パソコンの基本性能を左右する重要なパーツといえます。

1.1 チップセットの基本的な役割と機能

チップセットの最も重要な役割は、CPUと各種ハードウェア間のデータ通信を制御することです。具体的には以下のような機能を担っています。

機能分類主な役割制御対象
メモリ制御RAMへのアクセス管理DDR4/DDR5メモリ
拡張スロット制御PCIeレーンの割り当てグラフィックボード、NVMe SSD
入出力制御各種インターフェースの管理USB、SATA、LAN、オーディオ
電源管理各パーツへの電力供給制御CPUクロック、ファン制御

チップセットは高速なデータ処理が要求される部分とそれ以外の部分に分かれており、それぞれが効率的にパソコン全体の動作を支えています。特に現代のパソコンでは大容量のデータを高速で処理する必要があるため、チップセットの性能がシステム全体のパフォーマンスに大きく影響します。

1.2 CPUとチップセットの関係性

CPUとチップセットは密接に連携して動作しており、両者の組み合わせによってパソコンの基本性能が決定されます。CPUが計算処理を担当する一方で、チップセットはその他のすべてのハードウェア制御を引き受けています。

現在のIntelとAMDの最新CPUでは、メモリコントローラーがCPU内部に統合されているため、メモリへの直接アクセスが可能になっています。これにより従来よりも高速なメモリアクセスが実現され、システム全体のパフォーマンス向上に貢献しています。

チップセットとCPUの間は専用の高速バスで接続されており、この接続方式によってデータ転送速度が決まります。IntelではDMI(Direct Media Interface)、AMDではInfinity Fabricという独自の接続方式を採用しており、それぞれ異なる特性を持っています。

また、CPUの世代とチップセットの世代は必ずしも一致しない場合があり、新しいCPUが古いチップセットでも動作することがあります。ただし、この場合は最新機能の一部が制限される可能性があるため、最適な性能を発揮するには対応するチップセットの選択が重要です。

1.3 ノースブリッジとサウスブリッジの違い

従来のチップセット設計では、ノースブリッジとサウスブリッジという2つのチップに機能が分離されていました。この構成は長年にわたって使用されてきましたが、現在では統合化が進んでいます。

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ノースブリッジは高速処理が要求される部分を担当し、CPUとの直接通信、メモリコントローラー、AGPやPCI Expressスロットの制御を行っていました。一方、サウスブリッジは比較的低速な入出力機能を担当し、USB、SATA、PCI、オーディオ、LANなどの制御を行っていました。

チップ名主な制御対象特徴
ノースブリッジCPU、メモリ、PCIe高速処理、大容量データ転送
サウスブリッジUSB、SATA、LAN、オーディオ入出力制御、周辺機器接続

現在のIntelとAMDのチップセットでは、メモリコントローラーがCPU内部に移されたため、ノースブリッジの役割は大幅に縮小されました。その結果、多くの機能が1つのチップに統合され、PCH(Platform Controller Hub)やFCH(Fusion Controller Hub)と呼ばれる単一チップ構成が主流となっています。

この統合化により、製造コストの削減、消費電力の低減、基板サイズの小型化などのメリットが生まれています。また、チップ間の通信遅延が減少することで、システム全体のレスポンス向上も実現されています。

2. チップセットが担う主な機能

チップセットは、マザーボード上でCPUと各種パーツを橋渡しする重要な役割を果たしています。現代のパソコンが快適に動作するために必要な、さまざまな制御機能を一手に担っているのがチップセットです。ここでは、チップセットが持つ主要な機能について詳しく解説していきます。

2.1 メモリコントローラーの役割

現代のチップセットにおいて、メモリコントローラーはCPUに内蔵されているため、チップセットは主にメモリの動作をサポートする機能を担っています。具体的には、メモリの電圧制御やタイミング調整、オーバークロック時の安定動作をサポートしています。

チップセットによって対応するメモリ規格や最大容量が決まるため、DDR4やDDR5といった最新規格への対応状況は重要な選択ポイントとなります。また、メモリスロット数やデュアルチャネル・クアッドチャネル対応についても、チップセットの仕様によって制限されます。

機能チップセットの役割ユーザーへの影響
電圧制御メモリへの適切な電圧供給安定したシステム動作
タイミング調整メモリアクセスの最適化処理速度の向上
容量制限最大メモリ容量の決定拡張性の制約

2.2 PCIeレーンの管理

PCIeレーンの管理は、グラフィックボードや拡張カードの接続を制御する重要な機能です。チップセットによって提供されるPCIeレーン数が異なり、これが拡張性に大きく影響します。

高性能なチップセットでは、PCIe 4.0やPCIe 5.0といった最新規格に対応し、より高速なデータ転送を実現しています。特にゲーミング用途や動画編集などの用途では、十分なPCIeレーン数の確保が重要になります。

一般的に、CPUから直結されるPCIeレーンとチップセットから提供されるPCIeレーンがあり、用途に応じて最適な配分が行われています。グラフィックボードは通常CPU直結のレーンを使用し、M.2 SSDやその他の拡張カードはチップセット経由で接続されることが多くなっています。

2.3 USB・SATA・LANなどのI/O制御

チップセットは、パソコンの外部機器との接続を司る各種I/Oポートの制御機能を提供しています。これらの機能により、キーボードやマウス、外付けハードディスクなどの周辺機器を接続できます。

USB規格では、USB 2.0から最新のUSB 3.2、USB4まで幅広い規格に対応しており、チップセットのグレードによって対応ポート数や転送速度が異なります。また、USB Type-Cポートの対応状況も、現代では重要な選択要素となっています。

SATA接続については、従来のハードディスクやSSDの接続に使用され、多くのチップセットで4〜8ポートの提供が一般的です。ネットワーク機能では、有線LANコントローラーが内蔵されており、1Gbpsから2.5Gbps対応まで製品によって異なります。

接続規格主な用途転送速度
USB 3.2 Gen2外付けストレージ、周辺機器10Gbps
SATA 3.0内蔵ストレージ6Gbps
有線LANネットワーク接続1〜2.5Gbps

2.4 オーバークロック機能のサポート

オーバークロック機能は、CPUやメモリの動作クロックを定格以上に引き上げて性能向上を図る機能です。この機能は主に上位グレードのチップセットで提供され、enthusiast向けの重要な機能となっています。

Intelでは「Z」シリーズ、AMDでは「X」シリーズのチップセットでフルオーバークロック機能が提供されています。これらのチップセットでは、CPUの倍率変更、ベースクロック調整、メモリタイミングの細かな設定が可能です。

オーバークロック時の安定動作を支援するため、電圧制御機能や温度監視機能も強化されています。また、自動オーバークロック機能により、初心者でも比較的安全にオーバークロックを楽しむことができるようになっています。

ただし、オーバークロック機能を使用する際は、十分な冷却システムと安定した電源供給が必要であり、適切な知識なしに実行すると機器の故障リスクがあることを理解しておく必要があります。

3. Intelチップセットの種類と特徴

Intelのチップセットは、対応するCPUソケットごとに異なる種類が用意されており、それぞれ機能や価格帯が大きく異なります。現在主流となっているのは、最新の第13世代・第12世代Core iシリーズに対応するLGA1700ソケット用チップセットと、第11世代・第10世代Core iシリーズに対応するLGA1200ソケット用チップセットです。

各チップセットには明確な階層があり、上位モデルほどオーバークロック機能や拡張性に優れた特徴を持っています。用途や予算に応じて適切なチップセットを選択することで、PC全体の性能を最大限に引き出すことができます。

3.1 LGA1700対応チップセット

LGA1700ソケットは、Intel第12世代Alder Lake及び第13世代Raptor Lakeプロセッサーに対応する最新のソケット規格です。DDR5メモリやPCIe 5.0をサポートし、将来性に優れた構成が可能です。

チップセットオーバークロックPCIeレーン数メモリ対応主な用途
Z790対応20レーンDDR5/DDR4ハイエンド・ゲーミング
B760非対応12レーンDDR5/DDR4メインストリーム
H770非対応16レーンDDR5/DDR4ビジネス・一般用途

3.1.1 Z790チップセットの特徴

Z790チップセットは、LGA1700対応チップセットの最上位モデルで、完全なオーバークロック機能を提供します。CPUの倍率変更、ベースクロック調整、メモリのオーバークロックなど、あらゆる設定変更が可能です。

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PCIeレーンは合計20本を提供し、グラフィックボード用のPCIe x16スロットとNVMe SSD用のM.2スロットを同時に高速で動作させることができます。また、最大8つのSATAポートを備え、多数のストレージデバイスを接続可能です。

高速USB 3.2 Gen2x2ポートやThunderbolt 4対応など、最新のインターフェースもサポートしており、ハイエンドゲーミングPCやクリエイター向けワークステーションに最適です。

3.1.2 B760チップセットの特徴

B760チップセットは、コストパフォーマンスを重視したメインストリーム向けのチップセットです。オーバークロック機能は制限されていますが、第12世代・第13世代Core iプロセッサーの標準性能を十分に活用できます。

PCIeレーンは12本と、Z790より少なくなりますが、一般的な用途では十分な拡張性を提供します。メモリはDDR5とDDR4の両方をサポートし、予算に応じて選択可能です。

SATAポートは6つまで対応し、USB 3.2 Gen1/Gen2ポートも豊富に用意されています。ゲーミングからビジネス用途まで幅広く対応できる、バランスの良いチップセットです。

3.1.3 H770チップセットの特徴

H770チップセットは、ビジネス用途や一般的なデスクトップPC向けに設計されたチップセットです。オーバークロック機能は提供されませんが、安定性と信頼性を重視した設計となっています。

PCIeレーンは16本を提供し、B760より多くの拡張カードを接続できます。Intel vPro技術をサポートしており、企業環境でのリモート管理や セキュリティ機能を活用できます。

消費電力も抑えられており、長時間の連続稼働が求められるオフィス環境や、静音性を重視するHTPCなどに適しています。

3.2 LGA1200対応チップセット

LGA1200ソケットは、Intel第10世代Comet Lake及び第11世代Rocket Lakeプロセッサーに対応するソケット規格です。現在でも多くのユーザーに利用されており、コストパフォーマンスに優れた選択肢として人気があります。

3.2.1 Z590・B560・H570の違い

Z590チップセットは、LGA1200対応の最上位モデルで、第11世代プロセッサーでのメモリオーバークロックとCPUオーバークロックの両方をサポートします。PCIeレーンは20本を提供し、最新のNVMe SSDやグラフィックボードを最大性能で動作させることができます。

B560チップセットは、第11世代プロセッサーでメモリオーバークロックのみサポートし、CPUのオーバークロックは制限されています。PCIeレーンは12本となりますが、一般的な用途には十分な性能を提供します。

H570チップセットは、オーバークロック機能を持たない代わりに、安定性と低価格を重視した設計となっています。PCIeレーンは20本を提供し、ビジネス用途や一般的なデスクトップPCに適しています。

機能Z590B560H570
CPUオーバークロック対応非対応非対応
メモリオーバークロック対応対応非対応
PCIeレーン数20本12本20本
SATAポート6個6個6個

これらのチップセットの選択において重要なのは、使用するCPUの世代とオーバークロックの必要性です。第11世代プロセッサーを使用し、高性能を追求する場合はZ590が最適ですが、標準的な性能で十分な場合はB560やH570でもコストを抑えながら良好な性能を得ることができます。

4. AMDチップセットの種類と特徴

AMDチップセットは、AMD製CPUに対応したマザーボードに搭載される重要な制御チップです。AMDチップセットは世代ごとにソケット形状が異なり、最新のAM5ソケットと従来のAM4ソケットで大きく分類されます。各チップセットには明確な機能差があり、用途や予算に応じて最適な選択が可能です。

AMDチップセットの特徴として、Intel製品と比較してコストパフォーマンスに優れた製品ラインナップを展開しており、ゲーミングからクリエイター向けまで幅広いニーズに対応しています。また、PCIeレーン数やオーバークロック機能の有無により、明確にグレード分けされているのも特徴です。

4.1 AM5対応チップセット

AM5ソケットは、AMD Ryzen 7000シリーズ以降のCPUに対応する最新のソケット規格です。DDR5メモリとPCIe 5.0に標準対応し、従来のAM4ソケットから大幅な性能向上を実現しています。AM5対応チップセットは、高性能なX670E・X670と、ミドルレンジのB650E・B650に分類されます。

4.1.1 X670E・X670チップセットの特徴

X670EとX670は、AM5対応チップセットの最上位グレードに位置します。X670Eは最も多機能で拡張性に優れたハイエンドチップセットとして設計されており、エンスージアスト向けの機能を豊富に搭載しています。

項目X670EX670
PCIe 5.0レーン数24レーン20レーン
PCIe 4.0レーン数8レーン12レーン
USBポート数最大20ポート最大20ポート
オーバークロック対応フル対応フル対応
SATA接続数最大8ポート最大8ポート

X670Eの最大の特徴は、PCIe 5.0レーンを24本提供することで、複数の高速デバイスを同時接続可能な点です。これにより、最新のグラフィックボードやNVMe SSDを複数枚搭載する際も帯域制限を受けにくくなります。また、USB 3.2 Gen2×2やUSB4に対応し、高速な外部ストレージとの接続も快適です。

X670は、X670Eと比較してPCIe 5.0レーンが若干少なくなっていますが、一般的なハイエンド構成であれば十分な拡張性を提供します。価格面でもX670Eより抑えられており、バランスの取れた選択肢として人気があります。

4.1.2 B650E・B650チップセットの特徴

B650EとB650は、AM5対応のミドルレンジチップセットです。コストパフォーマンスを重視しながらも、基本的な高性能機能は維持されており、多くのユーザーにとって最適な選択肢となります。

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項目B650EB650
PCIe 5.0レーン数20レーン16レーン
PCIe 4.0レーン数8レーン8レーン
USBポート数最大12ポート最大12ポート
オーバークロック対応メモリOCのみメモリOCのみ
SATA接続数最大4ポート最大4ポート

B650Eは、PCIe 5.0レーンを20本提供し、ハイエンドグラフィックボード1枚とNVMe SSD複数枚の構成に最適です。一方、B650は16レーンながら、一般的なゲーミング用途には十分な性能を発揮します。

B650E・B650の重要な特徴として、CPUオーバークロックには対応していませんが、メモリオーバークロックには対応しているため、DDR5メモリの高速化によるパフォーマンス向上は可能です。これにより、コストを抑えながらもシステム全体の性能向上を図れます。

4.2 AM4対応チップセット

AM4ソケットは、AMD Ryzen 1000シリーズから5000シリーズまでの幅広いCPUに対応する長寿命なソケット規格です。DDR4メモリとPCIe 4.0に対応し、優れた互換性と安定性を提供します。現在でも多くのユーザーに選ばれており、コストパフォーマンスの高い構成が可能です。

4.2.1 X570・B550・A520の違い

AM4対応チップセットは、機能と価格帯により3つのグレードに分類されます。X570が最上位、B550がミドルレンジ、A520がエントリーレベルとして位置づけられており、用途に応じた選択が可能です。

項目X570B550A520
PCIe 4.0対応フル対応CPU直結レーンのみ非対応
PCIeレーン数40レーン30レーン26レーン
オーバークロック対応フル対応CPU・メモリOC対応メモリOCのみ
USBポート数最大12ポート最大12ポート最大10ポート
SATA接続数最大8ポート最大6ポート最大4ポート

X570チップセットは、AM4対応チップセットの中で唯一、チップセット経由でもPCIe 4.0に対応しています。これにより、複数の高速NVMe SSDを同時接続した際も、十分な帯域を確保できます。また、豊富なI/Oポートと拡張性により、ワークステーション用途にも適しています。

B550チップセットは、CPU直結のPCIeレーンでPCIe 4.0に対応し、グラフィックボードとプライマリNVMe SSDで高速接続を実現します。コストと性能のバランスが優れており、ゲーミング用途では最も人気の高いチップセットです。

A520チップセットは、基本的な機能に特化したエントリーモデルです。PCIe 4.0には対応していませんが、オフィス用途や軽度なゲーミング用途には十分な機能を提供します。価格を最優先に考える場合の選択肢として位置づけられます。

5. チップセットの選び方のポイント

チップセットの選択は、パソコンの性能や機能を左右する重要な要素です。適切なチップセットを選ぶことで、CPUの性能を最大限に引き出し、必要な機能を確保できます。ここでは、チップセット選びの際に考慮すべき重要なポイントを詳しく解説します。

5.1 用途別チップセットの選択基準

チップセットの選択において最も重要なのは、パソコンの用途に応じた適切なグレードを選ぶことです。用途によって必要な機能や性能が大きく異なるため、自分の使用目的を明確にしてからチップセットを選択することが重要です。

用途推奨チップセット重要な機能
ゲーミングIntel Z790、AMD X670E高速PCIeレーン、オーバークロック対応
クリエイティブ作業Intel Z790、AMD X670多数のPCIeレーン、高速ストレージ対応
オフィス作業Intel B760、AMD B650基本的なI/O機能、コストパフォーマンス
エントリーレベルIntel H610、AMD A620必要最小限の機能、低価格

ゲーミング用途では、高性能なグラフィックボードを搭載するため、PCIe 5.0対応やオーバークロック機能が重要になります。一方、オフィス作業中心の場合は、基本的な機能を備えたミドルレンジのチップセットで十分な性能を得られます。

クリエイティブ作業を行う場合は、複数のストレージデバイスや拡張カードを接続する可能性があるため、PCIeレーン数の多いハイエンドチップセットが適しているでしょう。

5.2 オーバークロック対応の必要性

オーバークロック機能は、CPUやメモリの動作クロックを定格以上に引き上げて性能を向上させる機能です。この機能を使用する予定がある場合は、オーバークロック対応のチップセットを選択する必要があります。

Intelの場合、Zシリーズ(Z790、Z690など)のみがオーバークロックに対応しており、BシリーズやHシリーズではオーバークロック機能を使用できません。AMDの場合は、X670E、X670、B650E、B650といった主要なチップセットでオーバークロックが可能です。

オーバークロックを行わない場合でも、ハイエンドチップセットは他の機能面で優れているため、予算に余裕があれば上位モデルを選択することで将来的な拡張性を確保できます。ただし、オーバークロック機能を使わない場合は、ミドルレンジのチップセットでも十分な性能を得られることが多いです。

5.3 拡張性と接続端子数の確認

チップセットによって提供される拡張スロットや接続端子の数は大きく異なります。将来的な拡張を考慮して、必要な接続端子数を事前に確認しておくことが重要です。

機能ハイエンドミドルレンジエントリー
PCIeレーン数28~32レーン20~24レーン16~20レーン
USB 3.2 Gen2ポート6~8ポート4~6ポート2~4ポート
SATAポート6~8ポート4~6ポート4ポート
M.2スロット3~4スロット2~3スロット1~2スロット

グラフィックボードを複数枚搭載する場合や、多数のストレージデバイスを接続する場合は、PCIeレーン数の多いチップセットが必要になります。また、外付けデバイスを多数接続する場合は、USB接続端子数も重要な要素となります。

M.2スロットの数も重要な要素で、高速SSDを複数搭載したい場合は、M.2スロットが多く搭載されたチップセットを選択する必要があります。特に、PCIe 5.0対応のM.2スロットがあると、将来的な高速ストレージの活用が可能になります。

5.4 価格帯による機能の違い

チップセットの価格帯によって、搭載される機能や性能に明確な違いがあります。予算と必要な機能のバランスを考慮して、コストパフォーマンスの高いチップセットを選択することが重要です。

ハイエンドチップセット(Intel Z790、AMD X670E)は、最新の規格に対応し、豊富な拡張性を提供しますが、価格も高くなります。これらのチップセットは、プロフェッショナルな用途やハイエンドゲーミングに適しています。

ミドルレンジチップセット(Intel B760、AMD B650)は、一般的な用途に必要な機能を備えながら、価格を抑えたモデルです。多くのユーザーにとって、ミドルレンジチップセットで十分な性能と機能を得られるでしょう。

エントリーレベルチップセット(Intel H610、AMD A620)は、基本的な機能に特化し、価格を最優先に考えたモデルです。オフィス作業や軽い用途であれば、これらのチップセットでも問題なく使用できます。

チップセットの選択は、単純に高性能なものを選べば良いというわけではありません。自分の用途や予算に応じて、必要な機能を備えたチップセットを選ぶことで、最適なパソコン構成を実現できます。

6. チップセットと他パーツの互換性

マザーボード選びで最も重要なのが、チップセットと他のパーツとの互換性です。チップセットは単体で動作するものではなく、CPU、メモリ、グラフィックボードなどの各パーツと密接に連携して動作します。適切な組み合わせを選ばなければ、せっかく高性能なパーツを用意しても本来の性能を発揮できません。

6.1 CPUソケットとの対応関係

チップセットとCPUの関係は、物理的なソケット形状と論理的な制御機能の両面で厳密に決められています。同じソケットでも対応するチップセットが異なれば、利用できる機能に大きな差が生まれます。

Intel CPUの場合、現在主流のLGA1700ソケットでは、第12世代・第13世代・第14世代のCore iシリーズが対応しています。ただし、古いチップセットでは新しいCPUが動作しない場合があるため、BIOSアップデートの必要性を事前に確認する必要があります

CPUソケット対応CPU世代主要チップセット特徴
LGA1700第12世代〜第14世代Z790、B760、H770DDR5・DDR4両対応
LGA1200第10世代・第11世代Z590、B560、H570DDR4のみ対応
AM5Ryzen 7000シリーズX670E、X670、B650E、B650DDR5のみ対応
AM4Ryzen 1000〜5000シリーズX570、B550、A520DDR4のみ対応

AMD CPUでは、AM5ソケットがRyzen 7000シリーズ専用、AM4ソケットがRyzen 1000シリーズから5000シリーズまで対応しています。AMDの場合、同じソケットでも世代によってチップセットの機能が大幅に向上しているため、新しいCPUを使用する場合は最新チップセットの選択が推奨されます

6.2 メモリの対応規格と速度

メモリの互換性は、チップセットのメモリコントローラーの性能によって決まります。対応するメモリ規格、最大容量、動作速度はチップセット別に明確に分かれています。

最新のチップセットでは、DDR5メモリへの対応が進んでいます。Intel Z790チップセットでは、DDR5-5600までのJEDEC標準規格に対応し、オーバークロックによってDDR5-7800以上の高速動作も可能です。一方、エントリー向けのH770チップセットでは、DDR5-4800までの対応となっています。

AMD AM5プラットフォームでは、全てのチップセットでDDR5メモリのみに対応しており、DDR4メモリは使用できません。X670EやX670チップセットでは、DDR5-5200までのJEDEC規格に対応し、手動オーバークロックによってさらに高速な動作が可能です

チップセット対応メモリ規格JEDEC最大速度OC時最大速度
Z790DDR5/DDR4DDR5-5600DDR5-7800+
B760DDR5/DDR4DDR5-5600DDR5-7200+
X670EDDR5のみDDR5-5200DDR5-6400+
B650DDR5のみDDR5-5200DDR5-6000+

メモリ選択時の注意点として、チップセットが対応していても、使用するCPUのメモリコントローラーの性能によって実際の動作速度が制限される場合があります。特に高速なメモリを使用する場合は、CPUとチップセットの両方の仕様を確認することが重要です。

6.3 グラフィックボードとの関係

グラフィックボードとチップセットの関係は、PCIeレーンの提供数と世代によって決まります。現代のハイエンドグラフィックボードは、PCIe 4.0 x16レーンでの接続が標準となっており、チップセットがこれらのレーンを適切に提供できるかが重要です。

Intel Z790チップセットでは、CPUから直接20本のPCIe 5.0レーンが提供され、これらはグラフィックボード専用として使用できます。また、チップセット側からも最大28本のPCIe 4.0レーンが提供されるため、複数のグラフィックボードやNVMe SSDを同時に使用する場合でも十分な帯域幅を確保できます

AMD X670Eチップセットでは、CPUから24本のPCIe 5.0レーンが提供され、グラフィックボード用として16本、NVMe SSD用として8本を使用できます。さらに、チップセット側から最大12本のPCIe 4.0レーンが追加され、拡張カードやストレージデバイスの接続に使用できます。

エントリー向けチップセットでは、PCIeレーン数が制限されるため注意が必要です。Intel B760チップセットでは、チップセット側のPCIeレーン数が20本に制限され、AMD B650チップセットでは8本まで削減されています。複数のグラフィックボードやNVMe SSDを使用する場合は、上位チップセットの選択が必要です

また、グラフィックボードの性能を最大限引き出すために、チップセットがサポートするPCIe世代も重要な要素です。最新のRTX 4090やRX 7900 XTXなどのハイエンドグラフィックボードでは、PCIe 4.0の帯域幅を活用することで、わずかながら性能向上が期待できます。

マルチGPU環境を構築する場合は、チップセットがSLIやCrossFire技術に対応しているかも確認が必要です。現在では、NVIDIAのSLI対応は終了しており、AMDのCrossFire対応も限定的になっているため、マルチGPU環境よりも単体の高性能グラフィックボードを選択することが一般的です

7. まとめ

マザーボードのチップセットは、CPUと各種パーツを繋ぐ重要な役割を担っており、パソコンの性能や機能を大きく左右する部品です。Intelでは用途に応じてZ790、B760、H770などのチップセットが用意され、AMDではX670E、B650E、X570などの選択肢があります。ゲーミングやクリエイティブ作業では高性能なZシリーズやXシリーズ、一般用途では価格を重視したBシリーズが適しています。チップセット選びでは、オーバークロック対応の必要性、拡張性、価格帯を総合的に判断することが重要です。CPUソケットとの対応関係やメモリ規格、PCIeレーン数なども確認しておきましょう。ゲーミングPC/クリエイターPCのパソコン選びで悩んだらブルックテックPCへ

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