マルウェアとは何?種類・感染対策・駆除方法を図解でやさしく説明

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マルウェアとは、コンピュータに害を与える悪意あるソフトウェアの総称です。
近年、企業や個人を狙ったサイバー攻撃が増加しており、マルウェアによる情報漏洩や金銭的被害が深刻化しています。
この記事では、マルウェアの基本的な仕組みから、ウイルスやランサムウェアなど主要な種類、感染経路、具体的な被害事例まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。
さらに、感染を未然に防ぐための実践的な対策方法や、万が一感染してしまった場合の駆除手順についても詳しくご紹介します。セキュリティソフトの選び方から企業におけるマルウェア対策まで、この記事を読めば必要な知識が網羅的に身につきます。

目次

1. マルウェアとは

マルウェアとは、「Malicious Software(悪意のあるソフトウェア)」を略した言葉で、コンピュータやネットワークに害を与える目的で作られた不正なプログラムの総称です。
現代のデジタル社会において、マルウェアは個人のパソコンから企業のサーバーまで、あらゆるデバイスを標的にしています。

マルウェアという言葉は総称であり、ウイルス、ワーム、トロイの木馬、ランサムウェアなど、さまざまな種類の不正プログラムが含まれます。
これらはそれぞれ異なる特徴や感染経路を持っていますが、いずれも利用者やシステムに何らかの被害をもたらす点で共通しています。

1.1 マルウェアの定義と基本的な仕組み

マルウェアは、正規のプログラムを装ったり、システムの脆弱性を突いたりして、コンピュータに侵入する不正なソフトウェアです。
一度侵入すると、利用者の知らないところでさまざまな悪意ある活動を行います。

マルウェアの基本的な動作の仕組みは、次のような段階に分けられます。

段階内容
侵入段階メール添付ファイル、Webサイト、外部記憶媒体などを通じてシステムに侵入します
潜伏段階システム内に隠れて活動し、セキュリティソフトによる検知を回避しようとします
実行段階データの盗み出し、破壊、暗号化など、設計された悪意ある動作を実行します
拡散段階他のファイルやシステムに自身をコピーして感染を広げます

マルウェアの多くは、正規のプログラムやファイルに偽装することで、利用者が気づかないうちに実行されるように設計されています。
また、OSやアプリケーションの脆弱性を悪用して自動的に侵入する高度なマルウェアも存在します。

近年のマルウェアは、単独で動作するだけでなく、ネットワークを通じて外部のサーバーと通信し、攻撃者からの指令を受けたり、盗み出した情報を送信したりする機能を持つものが増えています。
このような仕組みにより、攻撃者はリアルタイムで被害状況を監視し、さらなる攻撃を仕掛けることが可能になっています。

1.2 マルウェアが作られる目的

マルウェアは、攻撃者のさまざまな目的を達成するために作られています。
金銭的な利益を得ることが最も多い動機ですが、それ以外にも複数の目的が存在します。

マルウェアが作られる主な目的は以下の通りです。

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目的具体的な内容
金銭の窃取クレジットカード情報、銀行口座情報、暗号資産のウォレット情報などを盗み出して不正に利用します
身代金の要求ファイルを暗号化して使えなくし、復号の対価として金銭を要求します
個人情報の収集氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報を収集し、闇市場で販売します
企業機密の窃取技術情報、顧客データ、経営戦略などの機密情報を盗み出して競合他社や第三者に売却します
システムの破壊データを削除したりシステムを使用不能にしたりして、組織の業務を妨害します
他のシステムへの攻撃の踏み台感染したパソコンを乗っ取り、他のシステムへの攻撃やスパムメールの送信に利用します
政治的・イデオロギー的な目的特定の国家、組織、個人に対する抗議や妨害のために使用します

特に近年では、ランサムウェアによる身代金要求が急増しており、個人だけでなく企業や公共機関も標的になっています。攻撃者は暗号資産での支払いを要求することで、追跡を困難にしています。

また、産業スパイ目的のマルウェアも増加しており、企業の知的財産や研究開発の情報が狙われるケースが後を絶ちません。このようなマルウェアは、長期間にわたってシステム内に潜伏し、継続的に情報を盗み出すように設計されています。

1.3 マルウェアによる被害の実例

マルウェアによる被害は年々深刻化しており、個人から大企業、行政機関まで幅広い範囲で実際の被害が報告されています。ここでは代表的な被害事例を紹介します。

個人利用者への被害としては、ランサムウェアによるファイルの暗号化被害が多発しています。
家族の写真や仕事のデータがすべて暗号化され、身代金を支払わなければ復元できない状態になってしまうケースが報告されています。また、インターネットバンキングの認証情報が盗まれ、不正送金の被害に遭う事例も増加しています。

企業への被害では、大規模なランサムウェア攻撃により、業務システムが停止して数日から数週間にわたって営業できなくなる事例が発生しています。
製造業では工場の制御システムが感染し、生産ラインが停止して多額の損失が出たケースもあります。
また、顧客情報が流出して信用を失い、損害賠償を求められる企業も少なくありません。

医療機関でも深刻な被害が報告されています。
電子カルテシステムがランサムウェアに感染し、患者の診療記録にアクセスできなくなった結果、救急患者の受け入れを停止せざるを得なくなった事例があります。
このような被害は、人命に関わる可能性もあるため、特に深刻です。

行政機関においても、住民の個人情報を管理するシステムが攻撃を受け、行政サービスの提供が困難になる被害が発生しています。
マイナンバーに関連する情報や税務情報などの機密性の高いデータが狙われるケースも増えています。

金銭的な被害だけでなく、マルウェア感染による信用失墜や事業継続の困難さも大きな問題です。
中小企業では、マルウェア被害によって事業の継続が困難になり、廃業に追い込まれるケースもあります。また、感染したパソコンが他者への攻撃の踏み台として使われ、知らないうちに加害者になってしまう可能性もあります。

このように、マルウェアによる被害は多岐にわたり、その影響は計り知れません。
適切なセキュリティ対策を講じることは、現代のデジタル社会において必須の取り組みと言えます。セキュリティ対策の一環として、信頼性の高いパソコンを選ぶことも重要です。

2. マルウェアの種類と特徴

マルウェアには様々な種類があり、それぞれ異なる特徴と攻撃手法を持っています。
ここでは代表的なマルウェアの種類について、その仕組みと被害の特徴を詳しく解説します。

2.1 ウイルス

ウイルスは、正常なファイルやプログラムに寄生して自己増殖するマルウェアです。
生物学的なウイルスと同様に、宿主となるファイルがなければ単独では存在できません。

ウイルスの最大の特徴は、感染したファイルが実行されると同時に活動を開始し、他のファイルへと次々に感染を広げていく点です。感染経路としては、メール添付ファイル、USBメモリ、ネットワーク経由でのファイル共有などがあります。

ウイルスによる被害には、ファイルの破壊、システムの動作不良、データの改ざんなどがあります。
近年では、ファイルを完全に削除するのではなく、システムに潜伏して情報を収集するタイプも増えています。

特徴内容
増殖方法他のファイルに寄生して増殖
単独存在不可能(宿主ファイルが必要)
主な被害ファイル破壊、システム障害、データ改ざん

2.2 ワーム

ワームは、単独で存在し、自己増殖しながらネットワークを通じて拡散するマルウェアです。
ウイルスとは異なり、宿主となるファイルを必要としません。

ワームの特徴は、その驚異的な拡散スピードにあります。
ネットワークの脆弱性を利用して自動的に他のコンピュータへと感染を広げるため、短時間で大規模な被害をもたらします。感染したコンピュータは、さらに別のコンピュータへの攻撃の踏み台として利用されます。

ワームによる主な被害は、ネットワーク帯域の占有によるシステムの速度低下、大量のメール送信によるメールサーバーの負荷増大、システムリソースの消費などです。
また、ワーム自体が他のマルウェアをダウンロードする機能を持つこともあります。

特徴内容
増殖方法ネットワークを通じて自動的に拡散
単独存在可能(宿主ファイル不要)
主な被害ネットワーク負荷増大、システムリソース消費

2.3 トロイの木馬

トロイの木馬は、正規のソフトウェアを装って侵入し、バックドアを作成するマルウェアです。
ギリシャ神話の「トロイの木馬」になぞらえてこの名前が付けられました。

トロイの木馬の最大の特徴は、ユーザーを騙して自らインストールさせる点です。
便利なツールやゲーム、セキュリティソフトなどに偽装し、ユーザーが自発的にダウンロードして実行するのを待ちます。一度実行されると、システムに侵入経路を作成し、攻撃者が自由にコンピュータを操作できる状態にします。

トロイの木馬による被害には、個人情報の窃取、遠隔操作によるシステムの悪用、他のマルウェアのダウンロードと実行などがあります。
特にオンラインバンキングの認証情報を盗み取るタイプは、金銭的な被害に直結するため注意が必要です。

ウイルスやワームとは異なり、トロイの木馬は自己増殖機能を持ちません。
しかし、その潜伏性の高さと多様な攻撃手法により、深刻な被害をもたらす危険性があります。

2.4 ランサムウェア

ランサムウェアは、コンピュータ内のファイルを暗号化し、復号化と引き換えに身代金を要求するマルウェアです。ランサム(ransom)は「身代金」を意味します。

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ランサムウェアの攻撃プロセスは非常に組織的です。
まず、システムに侵入すると重要なファイルを検索し、それらを強力な暗号化アルゴリズムで暗号化します。
次に、画面に身代金の要求メッセージを表示し、支払いがなければファイルを復元できないと脅迫します。支払い方法として、追跡が困難な暗号資産が指定されることが一般的です。

近年のランサムウェアは、ファイルの暗号化だけでなく、データを外部に流出させて二重の脅迫を行うタイプも登場しています。
身代金を支払わなければ、企業の機密情報や個人情報をインターネット上に公開すると脅すのです。

ランサムウェアによる被害は、個人だけでなく企業や医療機関、行政機関にも及んでおり、業務停止による経済的損失や信用失墜など、深刻な影響をもたらしています。

ランサムウェアの特徴詳細
攻撃方法ファイルの暗号化と身代金要求
要求される支払い暗号資産(ビットコインなど)
二重脅迫型暗号化とデータ流出の脅迫を併用
主な標的企業、医療機関、行政機関、個人

2.5 スパイウェア

スパイウェアは、ユーザーの行動や個人情報を密かに収集し、外部に送信するマルウェアです。
その名の通り、スパイ活動を行うソフトウェアです。

スパイウェアの特徴は、その高い潜伏性にあります。
ユーザーに気づかれないようにバックグラウンドで動作し、キーボード入力、閲覧したWebサイト、メールの内容、保存されたパスワードなどの情報を収集します。収集された情報は、定期的に攻撃者のサーバーへと送信されます。

スパイウェアによる被害には、オンラインバンキングのログイン情報の窃取、クレジットカード番号の流出、個人のプライバシー侵害などがあります。
また、企業に侵入した場合は、機密情報や営業秘密が盗まれる危険性があります。

スパイウェアには、キーロガー(キーボード入力を記録)、スクリーンキャプチャ型(画面を定期的に撮影)、Webカメラやマイクを起動して盗撮・盗聴を行うタイプなど、様々な種類が存在します。

2.6 アドウェア

アドウェアは、ユーザーの意図しない広告を強制的に表示するマルウェアです。
アドバタイズメント(advertisement:広告)とソフトウェアを組み合わせた造語です。

アドウェアは、必ずしもすべてが悪意のあるものではありません。
無料ソフトウェアの開発費を広告収入で賄うために、正当な形で組み込まれているケースもあります。
しかし、ユーザーの同意なく勝手にインストールされ、過剰な広告表示や情報収集を行うタイプは、明確なマルウェアとして扱われます。

悪質なアドウェアによる被害には、ブラウザのホームページや検索エンジンが勝手に変更される、大量のポップアップ広告が表示される、閲覧履歴や検索履歴が収集される、システムリソースが消費されてパソコンの動作が遅くなる、などがあります。

アドウェアの中には、クリック詐欺に利用されるものもあります。
ユーザーの知らないうちに広告をクリックさせ、不正に広告収入を得る手口です。また、アドウェアが他のマルウェアのダウンロードや侵入の入口となることもあります。

2.7 ボット

ボットは、感染したコンピュータを遠隔操作し、攻撃者の指示に従って動作するマルウェアです。
ロボットから派生した言葉で、自動化された動作を行います。

ボットに感染したコンピュータは「ゾンビPC」と呼ばれ、攻撃者の命令を待つ状態になります。
複数のゾンビPCで構成されるネットワークを「ボットネット」といい、攻撃者はこのボットネットを使って大規模なサイバー攻撃を実行します。

ボットネットを利用した攻撃には、DDoS攻撃(大量のアクセスでサーバーをダウンさせる)、スパムメールの大量送信、他のコンピュータへの感染拡大、仮想通貨のマイニング(採掘)、個人情報の収集などがあります。ユーザー自身は被害者であると同時に、知らないうちに加害者になってしまう可能性があります。

ボットの特徴は、感染していても明確な症状が現れにくい点です。
パソコンの動作が若干重くなる程度で、ユーザーが気づかないまま長期間感染し続けることがあります。そのため、セキュリティソフトによる定期的なスキャンが重要です。

ボットの利用目的説明
DDoS攻撃標的のサーバーに大量アクセスして機能停止させる
スパムメール送信大量の迷惑メールを配信する
仮想通貨マイニング他人のPCリソースを使って仮想通貨を採掘する
情報窃取個人情報やログイン情報を収集する

2.8 ルートキット

ルートキットは、システムの深い階層に潜伏し、マルウェアの存在を隠蔽する機能を持つマルウェアです。ルート(root)は管理者権限、キット(kit)は道具の集まりを意味します。

ルートキットの最大の特徴は、その高度なステルス機能です。
オペレーティングシステムの中核部分に侵入し、システムの動作を改ざんすることで、自分自身や他のマルウェアの存在を隠します。ファイル、プロセス、レジストリエントリ、ネットワーク通信などを不可視化するため、通常のセキュリティソフトでは検出が困難です。

ルートキットには、ユーザーモードルートキットとカーネルモードルートキットがあります。
ユーザーモードルートキットは比較的検出が容易ですが、カーネルモードルートキットはOSの中核部分で動作するため、検出と駆除が非常に困難です。
さらに、ファームウェアレベルで動作するルートキットも存在し、OSを再インストールしても駆除できないケースもあります。

ルートキットによる被害には、長期間にわたる情報窃取、システムの完全な乗っ取り、他のマルウェアの活動支援などがあります。ルートキット自体が直接的な破壊活動を行うことは少ないですが、他のマルウェアが検出されずに活動できる環境を提供するため、複合的な被害をもたらします。

ルートキット感染を防ぐには、信頼できるソフトウェアのみをインストールする、管理者権限での作業を最小限にする、BIOS・UEFIのセキュリティ機能を有効にする、などの対策が重要です。
また、定期的なシステム全体のスキャンや、専用のルートキット検出ツールの使用も効果的です。

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3. マルウェアの感染経路

マルウェアに感染しないためには、どのような経路で感染するのかを正しく理解することが重要です。
感染経路を知ることで、日常的なパソコンの使用において注意すべきポイントが明確になります。
ここでは、代表的な4つの感染経路について詳しく解説します。

3.1 メール添付ファイルからの感染

メール添付ファイルは、マルウェアの感染経路として最も一般的な手段の一つです。
攻撃者は実在する企業や公的機関を装ったメールを送信し、添付ファイルを開かせようとします

典型的な手口としては、請求書や配送通知、重要なお知らせなどを装ったメールに、ZIPファイルやOffice文書ファイルを添付するものがあります。受信者がファイルを開くと、マクロやスクリプトが実行されてマルウェアがダウンロードされる仕組みです。

特に注意が必要なのは、送信者のメールアドレスが正規のものに見えても、実際には偽装されている可能性がある点です。メールヘッダーを確認したり、送信元に直接確認したりする慎重さが求められます。

ファイル形式危険性注意点
.exe、.com非常に高い実行ファイルは原則として開かない
.zip、.rar高い圧縮ファイル内に実行ファイルが含まれる可能性
.docx、.xlsx中程度マクロが有効化されると感染リスクあり
.pdf低~中程度脆弱性を突いた攻撃の可能性

メールの添付ファイルを開く前には、送信者が信頼できるか、ファイル名や拡張子に不自然な点がないかを必ず確認しましょう。少しでも疑わしい場合は、開かずに削除することが安全です。

3.2 Webサイト閲覧による感染

Webサイトを閲覧するだけでマルウェアに感染することがあります。
これはドライブバイダウンロードと呼ばれる攻撃手法で、ユーザーが何も操作しなくても自動的にマルウェアがダウンロードされる仕組みです。

攻撃者は正規のWebサイトを改ざんしたり、悪意のある広告を配信したりすることで、訪問者のパソコンにマルウェアを送り込みます。
特にブラウザやプラグインの脆弱性が放置されている場合、この攻撃が成功しやすくなります。

また、違法コンテンツを扱うサイトやアダルトサイト、海賊版ソフトウェアの配布サイトなどは、意図的にマルウェアを仕込んでいることが多く、アクセスするだけで危険にさらされます。

フィッシングサイトも重要な脅威です。これは正規のサービスのログインページを模倣したWebサイトで、ユーザーがIDやパスワードを入力すると、その情報が攻撃者に送信されます。
さらに、ログイン後にマルウェアがダウンロードされることもあります。

Webサイト閲覧による感染を防ぐには、ブラウザを常に最新バージョンに更新し、セキュリティソフトのWeb保護機能を有効にすることが効果的です。
また、URLを注意深く確認し、不審なサイトにはアクセスしないよう心がけましょう。

3.3 USBメモリなど外部記憶媒体からの感染

USBメモリ、外付けハードディスク、SDカードなどの外部記憶媒体も、マルウェアの感染経路として利用されます。特に複数の人や複数のパソコンで共有される記憶媒体は感染リスクが高くなります

マルウェアはUSBメモリなどに自動実行ファイルを仕込むことで、パソコンに接続された瞬間に起動するよう設計されていることがあります。
以前のWindowsでは自動再生機能がデフォルトで有効だったため、この手法による感染が多発しました。

また、公共の場所や会社で拾ったUSBメモリを好奇心から自分のパソコンに接続してしまい、感染するケースもあります。これは攻撃者が意図的に仕掛けた罠である可能性があり、非常に危険です。

外部記憶媒体からの感染を防ぐためには、出所が不明な媒体を接続しないこと、自動再生機能を無効にすること、接続前にセキュリティソフトでスキャンすることが重要です。
企業では、USBメモリの使用を制限したり、業務用に支給されたもの以外の接続を禁止したりする対策も有効です。

3.4 ソフトウェアの脆弱性を突いた感染

ソフトウェアの脆弱性とは、プログラムに存在するセキュリティ上の欠陥のことです。
攻撃者はこの脆弱性を悪用して、ユーザーの許可なくマルウェアをインストールします

脆弱性はOSだけでなく、ブラウザ、PDF閲覧ソフト、動画再生ソフト、Officeソフトなど、あらゆるアプリケーションに存在する可能性があります。
ソフトウェアメーカーは脆弱性が発見されると修正プログラムであるセキュリティパッチを配布しますが、ユーザーが更新を怠ると脆弱性が放置されたままになります。

特に危険なのは、ゼロデイ攻撃と呼ばれる手法です。
これは脆弱性が公表される前、つまり修正プログラムが存在しない段階で攻撃が行われるもので、防御が非常に困難です。

対象ソフトウェア脆弱性の影響対策
OS(Windows、macOSなど)システム全体への侵入自動更新を有効化し、定期的に更新を確認
Webブラウザ閲覧中の自動感染最新バージョンに保ち、不要な拡張機能を削除
Java、Flash PlayerWebサイト経由の感染不要であればアンインストール、必要なら常に最新版に
Officeソフトマクロウイルスの実行定期的な更新とマクロのセキュリティ設定を強化

脆弱性を突いた攻撃から身を守るには、すべてのソフトウェアを常に最新の状態に保つことが最も重要です。
自動更新機能が利用できる場合は必ず有効にし、定期的に手動でも更新を確認する習慣をつけましょう。また、使用していないソフトウェアはアンインストールすることで、攻撃の入り口を減らすことができます。

業務で多数のパソコンを管理している場合は、パッチ管理ツールを導入し、組織全体のソフトウェアを一元的に更新できる体制を整えることが効果的です。セキュリティ対策が施された高品質なパソコンを使用することも、脆弱性への対策として有効な選択肢となります。

4. マルウェアに感染したときの症状

マルウェアに感染すると、パソコンにはさまざまな異変が現れます。感染初期の段階では症状が軽微なことも多く、気づかないまま被害が拡大してしまうケースも少なくありません。
ここでは、マルウェア感染時に現れる代表的な症状について詳しく解説します。早期発見が被害を最小限に抑える鍵となりますので、これらの症状を理解しておくことが重要です。

4.1 パソコンの動作が遅くなる

マルウェアに感染したときの最も典型的な症状が、パソコンの動作が著しく遅くなることです。
起動時間が以前より長くなったり、アプリケーションの立ち上がりに時間がかかったりする場合は注意が必要です。

マルウェアがバックグラウンドで動作し続けることでCPUやメモリのリソースを消費するため、通常の作業に必要な処理能力が不足してしまいます。
特にブラウザの表示が遅い、ファイルを開くのに時間がかかる、複数のアプリケーションを同時に使うと極端に重くなるといった症状が見られる場合は、マルウェア感染を疑うべきです。

ただし、パソコンの動作が遅くなる原因はマルウェアだけではありません。
ハードディスクの容量不足や経年劣化、不要なプログラムの蓄積なども考えられます。タスクマネージャーを開いて、見覚えのないプロセスが大量のリソースを消費していないか確認することが有効です。

4.2 見覚えのないプログラムが起動する

自分がインストールした覚えのないプログラムが勝手に起動したり、画面に身に覚えのない広告やポップアップが頻繁に表示されたりする場合、アドウェアやスパイウェアなどのマルウェアに感染している可能性があります。

ブラウザのホームページが勝手に変更されていたり、検索エンジンが知らないものに置き換わっていたりするのも、マルウェア感染の典型的なサインです。
また、タスクバーやデスクトップに見慣れないアイコンが追加されている、スタートアップに登録された不明なプログラムが自動起動するといった症状も見られます。

これらの症状は、ユーザーの操作履歴を監視したり、強制的に広告を表示させて広告収入を得たりする目的のマルウェアによるものです。
放置すると個人情報の流出につながる危険性があるため、早急な対処が必要です。

症状考えられるマルウェアの種類危険度
勝手にブラウザが開くアドウェア、ブラウザハイジャッカー
不明なツールバーの追加アドウェア、スパイウェア
デスクトップに広告表示アドウェア低~中
バックグラウンドで通信スパイウェア、ボット

4.3 ファイルが勝手に暗号化される

ある日突然、パソコン内のファイルが開けなくなり、拡張子が見慣れないものに変わっている場合は、ランサムウェアに感染している可能性が極めて高いです。
ランサムウェアは感染したパソコン内のファイルを暗号化し、復号するための身代金を要求する悪質なマルウェアです。

感染すると、デスクトップに脅迫文が表示されたり、壁紙が変更されて身代金の支払い方法が記載されたメッセージが現れたりします。文書ファイル、画像、動画、データベースなど、重要なファイルが次々と使用不能になり、業務に深刻な影響を及ぼします。

ランサムウェアは近年、企業や医療機関を標的にした攻撃が増加しており、被害額も高額化しています。身代金を支払ったとしても、必ずしもファイルが復号される保証はなく、さらなる攻撃の標的になる危険性もあります。最も有効な対策は、日頃から重要なデータをバックアップしておくことです。

4.4 個人情報が流出する

マルウェアに感染すると、パソコン内に保存されている個人情報や機密情報が外部に流出する危険性があります。スパイウェアは利用者の操作を監視し、入力したパスワードやクレジットカード番号などの情報を盗み取ることを目的としています。

具体的な症状としては、覚えのないオンラインショッピングの履歴がある、銀行口座から不正な引き落としがある、SNSアカウントが乗っ取られて身に覚えのない投稿がされている、知人に迷惑メールが送信されているといったケースがあります。

また、キーロガーと呼ばれるマルウェアは、キーボードで入力した内容をすべて記録して外部に送信します。パスワード管理ツールを使用していない場合、ログイン時に入力したIDやパスワードがすべて盗まれてしまう危険性があります。

情報流出は目に見える症状として現れにくいため、気づいたときには既に大きな被害が発生していることも珍しくありません。セキュリティソフトによる定期的なスキャンと、不審な通信がないかネットワーク監視を行うことが重要です。

マルウェアによる被害を防ぐためには、高品質で安定したパソコン環境を整えることも大切です。
セキュリティソフトが正常に動作し、OSやソフトウェアのアップデートがスムーズに行える信頼性の高いパソコンを選ぶことで、マルウェア対策の基盤を固めることができます。

5. マルウェアの感染対策

マルウェアの感染を防ぐためには、日常的なセキュリティ対策が欠かせません。
ここでは、個人でも企業でも実践できる効果的な感染対策について詳しく解説します。
これらの対策を組み合わせることで、マルウェアの感染リスクを大幅に低減できます

5.1 セキュリティソフトの導入と更新

セキュリティソフトは、マルウェア対策の基本となる重要なツールです。
ウイルス対策ソフトやアンチマルウェアソフトとも呼ばれ、パソコンに侵入しようとする脅威を検知してブロックする役割を果たします。

セキュリティソフトの主な機能には、リアルタイム保護、定期スキャン、危険なWebサイトのブロック、ファイアウォール機能などがあります。
リアルタイム保護では、ファイルのダウンロードやプログラムの実行時に自動的にチェックを行い、怪しい動作を検知した時点で即座に警告や隔離を実行します

セキュリティソフトを導入する際は、信頼性の高い製品を選ぶことが重要です。
日本国内で広く利用されているセキュリティソフトには、トレンドマイクロのウイルスバスター、シマンテックのノートン、マカフィー、ESET、カスペルスキーなどがあります。

ただし、セキュリティソフトを導入しただけでは不十分です。
マルウェアは日々新しい種類が生まれているため、ウイルス定義ファイルを常に最新の状態に保つ必要があります。多くのセキュリティソフトは自動更新機能を備えていますが、定期的に更新状態を確認する習慣をつけましょう。

セキュリティソフトの主な機能説明
リアルタイム保護ファイルのダウンロードやプログラム実行時に自動でチェック
定期スキャンシステム全体を定期的にスキャンして潜んでいるマルウェアを検出
Webフィルタリング危険なWebサイトへのアクセスを事前にブロック
ファイアウォール不正なネットワーク通信を遮断
メール保護メール添付ファイルやリンクの安全性をチェック

また、セキュリティソフトを選ぶ際には、パソコンの性能への影響も考慮する必要があります。
セキュリティソフトは常に動作しているため、システムリソースを消費します。
高性能なパソコンであればほとんど影響はありませんが、スペックが低いパソコンでは動作が重くなることがあります。

5.2 OSやソフトウェアを最新の状態に保つ

WindowsやmacOSなどのオペレーティングシステム、そして各種アプリケーションソフトウェアには、セキュリティ上の脆弱性が発見されることがあります。
これらの脆弱性を放置すると、マルウェアの侵入経路となってしまいます

ソフトウェアメーカーは、脆弱性が発見されると速やかにセキュリティパッチや更新プログラムを提供します。これらのアップデートには、セキュリティホールを修正する重要な内容が含まれているため、通知が来たら速やかに適用することが推奨されます。

Windowsの場合、Windows Updateを通じて自動的に更新プログラムが配信されます。
設定で自動更新を有効にしておけば、重要なセキュリティアップデートを見逃すリスクを減らせます。macOSの場合も、システム環境設定からソフトウェアアップデートの自動インストールを設定できます。

OSだけでなく、日常的に使用するソフトウェアも最新の状態に保つ必要があります。
特に注意が必要なのは、以下のようなソフトウェアです。

  • Webブラウザ(Google Chrome、Microsoft Edge、Mozilla Firefox、Safariなど)
  • Adobe Reader(PDFファイルを開くソフト)
  • Adobe Flash Player(現在は提供終了)
  • Java
  • Microsoft Office
  • 各種圧縮解凍ソフト

これらのソフトウェアは、ファイルを開いたりWebサイトを閲覧したりする際に使われるため、脆弱性があるとマルウェア感染のリスクが高まります
多くのソフトウェアには自動更新機能があるので、有効にしておくことをおすすめします。

また、サポートが終了した古いOSを使い続けることは、セキュリティ上非常に危険です。サポート終了後はセキュリティアップデートが提供されなくなるため、新しく発見された脆弱性に対処できません。
Windows 7やWindows 8.1などの古いOSを使用している場合は、サポート中のバージョンへのアップグレードを検討しましょう。

5.3 怪しいメールやリンクを開かない

メール経由でのマルウェア感染は、最も一般的な感染経路の一つです。
攻撃者は、巧妙に作られた偽のメールを送信して、受信者に添付ファイルを開かせたり、悪意のあるリンクをクリックさせたりしようとします。

フィッシングメールやなりすましメールを見分けるポイントを理解しておくことが重要です
以下のような特徴があるメールには特に注意が必要です。

危険なメールの特徴具体例
差出人が不明または怪しい知らない人からの突然のメール、アドレスが不自然
緊急性を煽る内容「すぐに対応しないとアカウントが停止されます」などの脅迫的な文言
個人情報の入力を要求パスワード、クレジットカード番号、銀行口座情報などの入力を求める
日本語が不自然機械翻訳のような文章、誤字脱字が多い
予期しない添付ファイル実行ファイル(.exe)、圧縮ファイル(.zip)、マクロ付きOfficeファイルなど
短縮URLやリンク先が不明リンクにマウスカーソルを合わせると、表示と異なるURLが表示される

メールの添付ファイルを開く前には、送信者が本当に信頼できる相手かを確認しましょう。
たとえ知人からのメールであっても、その人のパソコンがマルウェアに感染していて、自動的に送信されている可能性もあります。予期しない添付ファイルが届いた場合は、電話などの別の方法で送信者に確認を取ることが安全です。

リンクをクリックする前には、リンク先のURLを確認する習慣をつけましょう。
パソコンではリンクにマウスカーソルを合わせると、画面下部やポップアップで実際のリンク先URLが表示されます。表示されているテキストとリンク先が異なる場合は、フィッシング詐欺の可能性が高いため、クリックしてはいけません。

金融機関や通販サイトなどを装ったフィッシングメールも増加しています。
これらのメールでは、「不正アクセスが検知されました」「アカウント情報の確認が必要です」などの文言で不安を煽り、偽のログインページに誘導してパスワードを盗み取ろうとします。正規の企業は、メールでパスワードの入力を求めることはありません。

5.4 定期的なバックアップの実施

バックアップは、マルウェア感染後の被害を最小限に抑えるための重要な対策です。
特にランサムウェアに感染してファイルが暗号化されてしまった場合、バックアップがあれば身代金を支払わずにデータを復旧できます

効果的なバックアップを行うには、「3-2-1ルール」と呼ばれる方法が推奨されます。
これは、データのコピーを3つ作成し、そのうち2つを異なる記録媒体に保存し、1つはオフサイト(別の場所)に保管するという考え方です。

バックアップの保存先としては、以下のような選択肢があります。

  • 外付けハードディスク(HDD)
  • 外付けソリッドステートドライブ(SSD)
  • NAS(ネットワーク接続ストレージ)
  • クラウドストレージサービス
  • 光学メディア(DVD、Blu-rayなど)

外付けハードディスクは、大容量のデータを比較的安価にバックアップできる方法です。
ただし、バックアップ作業時以外はパソコンから取り外しておくことが重要です
常時接続していると、マルウェアに感染した際にバックアップデータも被害を受ける可能性があります。

クラウドストレージサービスを利用する方法も有効です。
Google ドライブ、Microsoft OneDrive、Dropboxなどのサービスでは、自動バックアップ機能が提供されています。インターネット経由でバックアップされるため、火災や盗難などの物理的な災害からもデータを守れます。ただし、容量に制限があることや、インターネット接続が必要なことに注意しましょう。

バックアップの頻度は、データの重要性や更新頻度に応じて決めます。
仕事で毎日使用する重要なデータであれば毎日、個人的な写真やドキュメントであれば週1回程度が目安です。Windows 10や11には「ファイル履歴」という機能があり、自動的に定期バックアップを実行できます。

バックアップを取るだけでなく、定期的に復元テストを行うことも大切です。
いざという時にバックアップから復元できなければ意味がありません。数ヶ月に一度は、バックアップから実際にファイルを復元できるか確認しておきましょう。

5.5 信頼できるサイトからのみダウンロードする

ソフトウェアやファイルをダウンロードする際には、信頼できる公式サイトや正規の配信サイトからのみダウンロードすることが重要です。非公式のダウンロードサイトや怪しいWebサイトからダウンロードしたファイルには、マルウェアが仕込まれている危険性があります。

無料ソフトウェアをダウンロードする場合、ソフトウェア作者の公式サイトや、窓の杜、Vectorなどの信頼できる国内ダウンロードサイトを利用しましょう。
海外の不明なサイトから「無料」「crack」「keygen」などのキーワードを含むファイルをダウンロードすることは、マルウェア感染のリスクが非常に高く絶対に避けるべきです

また、ファイルをダウンロードした後は、すぐに開くのではなく、セキュリティソフトでスキャンしてから開く習慣をつけましょう。
多くのセキュリティソフトには、右クリックメニューから手動でスキャンできる機能があります。

ダウンロード元安全性注意点
ソフトウェアメーカーの公式サイトURLが本物か確認する
Microsoft Store、Mac App Store審査を通過したアプリのみ
窓の杜、Vectorなどの国内大手サイト信頼性の高いサイトを選ぶ
検索結果の上位サイト広告と検索結果を見分ける
不明な海外サイト利用を避ける
ファイル共有サイト違法コンテンツやマルウェアのリスクが高い

スマートフォンアプリをインストールする際も同様です。
iPhoneであればApp Store、AndroidであればGoogle Play ストアなどの公式ストアからのみインストールしましょう。提供元不明のアプリをインストールできる設定もありますが、セキュリティリスクが高いため有効にしないことをおすすめします。

動画再生や書類閲覧のために特殊なプラグインやコーデックのインストールを求められた場合も注意が必要です。正規のWebサイトであれば、一般的なブラウザで問題なく閲覧できるはずです。
不審なソフトウェアのインストールを求められた場合は、そのサイトの利用を中止しましょう。

業務用のパソコンでは、管理者がソフトウェアのインストールを制限していることがあります。
これはセキュリティ対策の一環であり、勝手に制限を解除したり、個人的な判断で未承認のソフトウェアをインストールしたりすることは避けるべきです。
必要なソフトウェアがある場合は、情報システム部門に相談しましょう。

万が一マルウェアに感染してしまった場合に備えて、信頼性の高いパソコンを使用することも重要な対策の一つです。特に業務で使用するパソコンには、高品質で耐久性に優れた機器を選ぶことで、セキュリティソフトが安定して動作し、長期的に安全性を保つことができます

6. マルウェアの駆除方法

マルウェアに感染してしまった場合でも、適切な対処を行うことで駆除できる可能性があります。
ここでは、感染の程度や状況に応じた具体的な駆除方法を紹介します。自分で対処できる方法から専門家に依頼する方法まで、段階的に解説していきますので、落ち着いて対応しましょう。

6.1 セキュリティソフトでスキャンする

マルウェア駆除の第一歩は、セキュリティソフトによる全体スキャンです。
既にセキュリティソフトがインストールされている場合は、まず最新の定義ファイルに更新してからフルスキャンを実行してください。

スキャンを実行する際は、通常モードではなくセーフモードで起動することをおすすめします。
セーフモードでは必要最低限のプログラムのみが起動するため、マルウェアの活動を抑制しながらスキャンできます。Windowsの場合、起動時にF8キーを連打することでセーフモードに入ることができます。

スキャンで検出されたマルウェアは、セキュリティソフトの指示に従って隔離または削除してください。
ただし、一部の高度なマルウェアはセキュリティソフトでは完全に駆除できない場合もあるため、スキャン後も症状が続く場合は次の方法を試しましょう。

セキュリティソフトの種類特徴おすすめの用途
総合セキュリティソフトリアルタイム保護、ファイアウォール、スパイウェア対策などを統合日常的な保護と基本的な駆除
オンラインスキャンツールインストール不要でブラウザから利用可能セカンドオピニオンとしての確認
駆除専用ツール特定のマルウェアに特化した駆除機能既知のマルウェアへの対処

6.2 駆除専用ツールを使用する

セキュリティソフトで駆除できなかった場合や、特定のマルウェアに感染したことが判明している場合は、駆除専用ツールの使用が効果的です。
多くのセキュリティベンダーが、特定のマルウェアに特化した無料の駆除ツールを提供しています。

駆除専用ツールは、ランサムウェアやルートキットなど、通常のセキュリティソフトでは対処が難しいマルウェアに対して有効です。トレンドマイクロのランサムウェアファイル復号ツールや、カスペルスキーのTDSSKillerなど、症状に応じた適切なツールを選択してください。

駆除専用ツールを使用する際の注意点として、必ず信頼できるセキュリティベンダーの公式サイトからダウンロードすることが重要です。偽の駆除ツールを装ったマルウェアも存在するため、検索結果の上位に表示されるサイトであっても、URLが正規のものであることを確認してからダウンロードしましょう。

6.3 システムの復元を実行する

Windows には、パソコンを過去の正常な状態に戻すシステムの復元機能が搭載されています。
マルウェア感染前の復元ポイントが作成されている場合、この機能を使って感染前の状態に戻すことが可能です。

システムの復元を実行する手順は以下の通りです。コントロールパネルから「システムとセキュリティ」を開き、「システム」をクリックします。
左側のメニューから「システムの保護」を選択し、「システムの復元」ボタンをクリックしてください。表示される復元ポイントの一覧から、マルウェア感染前の日付のものを選択して復元を実行します。

ただし、システムの復元にはいくつかの制限があります。
個人ファイルは影響を受けませんが、復元ポイント作成後にインストールしたプログラムは削除される可能性があります。また、一部のマルウェアはシステムの復元機能を無効化したり、復元ポイントを削除したりするため、この方法が使えない場合もあります。

6.4 初期化して再インストールする

上記の方法で駆除できない場合や、マルウェアによって深刻な被害を受けた場合は、パソコンを初期化して OS を再インストールする方法が最も確実です。
この方法は、システムファイルやレジストリに深く潜り込んだマルウェアも完全に除去できるため、感染の痕跡を残さず新しい環境を構築できます。

初期化を実行する前に、重要なデータのバックアップを取ることが必須です。
ただし、バックアップするデータにマルウェアが含まれている可能性もあるため、文書ファイルや画像ファイルなど、実行ファイルではないデータのみをバックアップしてください。
バックアップしたデータは、初期化後にセキュリティソフトでスキャンしてから復元しましょう。

Windows の初期化は、設定画面の「更新とセキュリティ」から「回復」を選択し、「この PC を初期状態に戻す」を実行します。
初期化には「個人用ファイルを保持する」オプションと「すべて削除する」オプションがありますが、マルウェア駆除の観点からは、すべてのデータを削除するオプションを選択することが推奨されます。

初期化後は、OS の更新プログラムをすべて適用し、セキュリティソフトをインストールしてから、必要なアプリケーションを順次インストールしていきます。
この際、信頼できるソースからのみソフトウェアをダウンロードし、不要なプログラムはインストールしないよう注意してください。

6.5 専門業者に依頼する

自分での対処が難しい場合や、企業の重要なデータが関わる場合は、専門業者に駆除を依頼することを検討しましょう。
特に、ランサムウェアによってファイルが暗号化された場合や、システムの深部に感染が広がっている場合は、専門的な知識と技術が必要となります。

専門業者に依頼するメリットは、高度な技術と専用ツールを用いた確実な駆除が期待できる点です。
また、感染経路の特定や再発防止のためのアドバイスも受けられます。企業の場合は、情報漏洩の有無の調査や、被害範囲の特定なども依頼できます。

業者を選ぶ際は、実績や対応可能なマルウェアの種類、料金体系などを確認してください。
緊急時の対応が必要な場合は、24時間対応や出張サービスを提供している業者を選ぶとよいでしょう。
見積もりは複数の業者から取得し、サービス内容と価格を比較検討することをおすすめします。

マルウェア駆除後は、パソコンの動作が正常に戻ったか確認するとともに、感染を防ぐための対策を徹底することが重要です。
定期的なセキュリティソフトの更新や、OS のアップデート、バックアップの習慣化など、日頃からの予防策が最も効果的なマルウェア対策となります。
業務用のパソコンを使用している場合は、安定性とセキュリティ性能に優れた高品質なマシンを選ぶことも、マルウェアによる被害を最小限に抑えるための重要な要素です。

7. 企業におけるマルウェア対策

企業におけるマルウェア対策は、個人レベルの対策とは異なり、組織全体を守るための包括的なアプローチが必要です。企業が保有する重要な情報資産や顧客データを保護するためには、技術的な対策と人的な対策を組み合わせた多層防御の仕組みを構築することが不可欠です。

一度マルウェアに感染すると、事業の停止や取引先への二次被害、企業の信用失墜など、計り知れない損失が発生する可能性があります。
そのため、事前の予防策と万が一の際の対応体制の両方を整備しておくことが重要です。

7.1 従業員へのセキュリティ教育

マルウェア感染の多くは、従業員の不注意や知識不足が原因で発生します。
定期的なセキュリティ教育を実施することで、従業員一人ひとりがセキュリティリスクを理解し、適切な行動をとれるようになります

効果的なセキュリティ教育には、座学だけでなく実践的な訓練も含めることが推奨されます。
例えば、擬似的なフィッシングメールを送信して従業員の反応を確認する標的型攻撃メール訓練は、実際の攻撃に対する警戒心を高める効果があります。

7.1.1 セキュリティ教育で扱うべき主な内容

教育項目内容実施頻度の目安
マルウェアの基礎知識マルウェアの種類や感染経路、被害事例についての理解を深める年1回以上
メールセキュリティ不審なメールの見分け方、添付ファイルやリンクのチェック方法年2回以上
パスワード管理強固なパスワードの作成方法、多要素認証の利用方法年1回以上
外部デバイスの取り扱いUSBメモリなど外部記憶媒体の安全な使用方法年1回以上
インシデント対応マルウェア感染が疑われる場合の初動対応と報告手順年2回以上

教育の効果を高めるためには、セキュリティインシデントの最新事例を取り入れたり、自社で実際に発生したヒヤリハット事例を共有したりすることが有効です。
また、理解度テストを実施して従業員の習熟度を確認し、必要に応じて追加教育を行うことも重要です。

7.1.2 効果的な教育方法

セキュリティ教育を形骸化させないためには、従業員が主体的に参加できる工夫が必要です。
eラーニングシステムを活用すれば、従業員が自分のペースで学習できるだけでなく、理解度の確認や再学習も容易になります。

また、情報セキュリティに関する社内ルールやポリシーを明文化し、全従業員に周知徹底することも欠かせません。単に規則を伝えるだけでなく、なぜそのルールが必要なのか、違反した場合にどのようなリスクがあるのかを具体的に説明することで、従業員の理解と協力を得やすくなります。

7.2 ネットワークのセキュリティ強化

企業ネットワークは外部からの攻撃に常にさらされています。
ファイアウォールや侵入検知システムを導入し、不正なアクセスやマルウェアの侵入を防ぐ多層的な防御体制を構築することが必要です。

ネットワークセキュリティの強化には、技術的な対策だけでなく、ネットワーク構成の見直しも含まれます。例えば、社内ネットワークをセグメント化することで、万が一マルウェアが侵入した場合でも被害の拡大を最小限に抑えることができます。

7.2.1 ネットワークセキュリティの主要な対策

対策目的具体的な施策
ファイアウォールの設定不正なアクセスを遮断する必要なポートのみを開放し、不要な通信を遮断する設定を行う
侵入検知・防御システム攻撃の兆候を検知し対処するIDS/IPSを導入し、異常な通信パターンを監視する
ネットワークセグメンテーション被害の拡大を防ぐ部署ごとや用途ごとにネットワークを分離し、相互のアクセスを制限する
VPNの利用外部からの安全な接続を実現するリモートワーク時に暗号化された通信経路を確保する
ログ監視不審な活動を早期発見するアクセスログや通信ログを定期的に分析し、異常を検知する

7.2.2 UTM(統合脅威管理)の活用

UTMは、ファイアウォール、侵入検知、アンチウイルス、Webフィルタリングなど、複数のセキュリティ機能を一つの機器に統合したソリューションです。
中小企業においては、限られたリソースで効率的にセキュリティ対策を実施できるため、導入を検討する価値があります。

UTMを導入する際は、自社のネットワーク規模や通信量に適した性能の機器を選択することが重要です。
また、定期的なファームウェアの更新や設定の見直しを行い、最新の脅威に対応できる状態を維持する必要があります。

7.2.3 エンドポイントセキュリティの強化

ネットワーク境界だけでなく、個々のパソコンやサーバーなどのエンドポイントを保護することも重要です。エンドポイントセキュリティソフトを導入し、マルウェアの侵入を防ぐとともに、万が一侵入された場合でも迅速に検知・駆除できる体制を整えます。

特に、業務用のパソコンには高い処理能力と安定性が求められます。
セキュリティソフトを常時稼働させながらも快適に業務を行うためには、十分なスペックを持つパソコンを選択することが大切です。
業務用途に最適化された高品質なパソコンを選ぶことで、セキュリティと生産性の両立が可能になります。

7.3 アクセス権限の適切な管理

企業内の情報資産を保護するためには、誰がどの情報やシステムにアクセスできるかを厳格に管理することが不可欠です。必要最小限の権限のみを付与する原則に基づき、従業員の役割や業務内容に応じた適切なアクセス権限を設定します。

アクセス権限の管理が不適切だと、マルウェアに感染したアカウントが悪用され、重要な情報が流出したり、システム全体が被害を受けたりする危険性が高まります。
定期的に権限設定を見直し、不要な権限は速やかに削除することが重要です。

7.3.1 アクセス権限管理の基本原則

原則内容実施方法
最小権限の原則業務に必要な最小限の権限のみを付与する役割ごとに必要な権限を定義し、それ以上の権限は付与しない
職務分離の原則重要な処理は複数の担当者で分担する承認プロセスを設け、一人で完結させない仕組みを作る
定期的な見直し権限設定が適切かを定期的に確認する四半期ごとや人事異動のタイミングで権限を見直す
離職時の権限削除退職者のアクセス権限を速やかに削除する退職日当日にすべてのアカウントを無効化する手順を確立する
多要素認証の導入パスワードだけでなく追加の認証を求める重要なシステムへのアクセスには生体認証やワンタイムパスワードを併用する

7.3.2 特権アカウントの管理

管理者権限を持つ特権アカウントは、システム全体に影響を及ぼす操作が可能なため、特に厳重な管理が必要です。特権アカウントが悪用されると、マルウェアがシステム全体に拡散したり、セキュリティ対策を無効化されたりする恐れがあります。

特権アカウントは通常業務では使用せず、必要な場合にのみ使用するようルール化します。
また、特権アカウントの使用履歴をログとして記録し、定期的に監査することで、不正使用を早期に発見できる体制を整えます。

7.3.3 アクセスログの監視と分析

誰がいつどの情報にアクセスしたかを記録するアクセスログは、セキュリティインシデントの早期発見や事後調査に欠かせません。ログを単に記録するだけでなく、定期的に分析して異常なアクセスパターンがないかを確認することが重要です。

例えば、通常はアクセスしない時間帯に大量のファイルがダウンロードされていたり、権限のないシステムへのアクセス試行が繰り返されていたりする場合は、マルウェア感染やアカウントの不正使用が疑われます。このような異常を早期に検知するために、ログ監視ツールやSIEM(セキュリティ情報イベント管理)システムの導入を検討することも有効です。

7.3.4 セキュアなパソコン環境の整備

アクセス権限管理を徹底するためには、従業員が使用するパソコン自体のセキュリティも重要です。
パソコンのセキュリティ設定を適切に行い、OSやソフトウェアを常に最新の状態に保つことで、脆弱性を突かれるリスクを減らすことができます。

また、業務用パソコンは長時間の使用に耐える耐久性と、セキュリティソフトを稼働させながらも快適に動作する性能が求められます。品質の高いパソコンを選ぶことで、セキュリティ対策を確実に実行しながら、従業員の生産性を維持することが可能になります。

企業におけるマルウェア対策は、これらの施策を組み合わせた包括的なアプローチが必要です。
技術的な対策だけでなく、従業員一人ひとりがセキュリティ意識を持ち、適切な行動をとることで、組織全体のセキュリティレベルを高めることができます。

8. まとめ

マルウェアは悪意を持って作られたソフトウェアの総称で、ウイルス、ワーム、トロイの木馬、ランサムウェアなど様々な種類があります。
感染経路はメール添付ファイル、Webサイト閲覧、USBメモリ、ソフトウェアの脆弱性など多岐にわたるため、セキュリティソフトの導入と更新、OSやソフトウェアを最新の状態に保つこと、怪しいメールやリンクを開かないこと、定期的なバックアップの実施が重要な対策となります。

万が一感染した場合は、セキュリティソフトでスキャンする、駆除専用ツールを使用する、システムの復元を実行するなどの方法がありますが、状況によっては初期化や専門業者への依頼が必要になることもあります。企業では従業員へのセキュリティ教育やネットワークのセキュリティ強化も欠かせません。

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