エッジボイスとは何か?歌に活かせる正しい出し方

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エッジボイスは、声帯を適度に閉じた状態で出す独特のガラガラとした声質のことで、歌唱表現の幅を広げる重要なボーカルテクニックのひとつです。
カラオケや本格的な歌の練習で「エッジボイスって何?」「どうすれば出せるの?」と疑問を持つ方に向けて、プロのボイストレーナーが実際に指導する内容をもとに、意味や出し方、歌への活かし方をわかりやすく解説します。練習のステップや喉を傷めないための注意点も合わせてお伝えするので、初心者の方でも安心して取り組めます。

1. エッジボイスとは

1.1 エッジボイスの意味と定義

エッジボイスとは、声帯を緩やかに閉じた状態で息を少量通すことで生まれる、ビリビリとした細かい振動音のことです。その音の質感が「刃(エッジ)」を連想させることから、エッジボイスという名称で広く知られています。日本語では「声帯閉鎖音」や「エッジの効いた声」とも表現されることがあります。

発声した際に生まれる音は、いわゆる「綺麗な歌声」とは異なり、ザラついた粗さやかすれを持つのが特徴です。しかし、この独特の質感こそがエッジボイスの本質であり、歌唱表現において欠かせない技術として多くのボイストレーナーや歌手に注目されています。

エッジボイスは、単独で使われることよりも、通常の発声や歌声に組み合わせることで、表現力を大きく高めるテクニックとして活用されます。
声に「芯」や「迫力」を与える効果があるため、プロの歌手はもちろん、歌を上達させたい一般の方にとっても重要なスキルのひとつです。

1.2 エッジボイスが注目される理由

近年、ボイストレーニングの現場やYouTubeなどの動画プラットフォームを通じて、エッジボイスへの関心が急速に高まっています。その理由のひとつとして、J-POPや洋楽のアーティストが楽曲の中でエッジボイスを多用するようになったことが挙げられます。

たとえば、感情を強く込めたサビの部分や、静かなAメロにあえて粗さを加えるような場面で、エッジボイスが効果的に使われています。聴き手に「グッとくる」「鳥肌が立つ」といった感覚を与える音の質は、エッジボイスによってもたらされるものが少なくありません。

また、エッジボイスは声帯の閉鎖力を高めるトレーニングとしても非常に有効であることが、ボイストレーニングの専門家の間で広く認識されています。声帯閉鎖の感覚をつかむことで、ミックスボイスや高音発声の安定につながるため、ボイトレの基礎練習として取り入れるトレーナーも多くいます。

このように、エッジボイスは「表現技術」と「発声トレーニング」の両面において注目を集めており、歌を本格的に学ぶうえで避けては通れないテーマとなっています。

1.3 エッジボイスと声帯の関係

エッジボイスを正しく理解するためには、声帯の仕組みを把握しておくことが重要です。声帯は喉の奥にある2枚のひだ状の組織で、呼吸時には開き、発声時には閉じて振動することで音を生み出します。

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通常の発声では、声帯はしっかりと閉じた状態で安定した振動が起こります。一方、エッジボイスを出すときは、声帯を完全には閉じず、ごくわずかに開いた状態に保ちながら、少ない息で声帯をゆっくりと振動させます。この状態が、あのビリビリとした独特の振動音を生み出す仕組みです。

以下の表に、通常の発声とエッジボイスにおける声帯の状態の違いをまとめました。

項目通常の発声エッジボイス
声帯の閉じ具合しっかりと閉じているわずかに開いた状態(軽い閉鎖)
息の量適度な息圧をかける非常に少ない息を使う
声帯の振動数毎秒100〜数百回(音程による)非常にゆっくりとした低速振動
音の質感クリアで安定した音ビリビリとしたザラついた音
主な用途歌唱・会話全般表現の強調・声帯閉鎖トレーニング

声帯の閉鎖感覚は、発声技術全般の土台となるものです。エッジボイスの練習を通じてこの感覚を身につけることで、声帯のコントロール能力が向上し、歌声の安定感や表現の幅が大きく広がります。無理に喉に力を入れるのではなく、声帯がそっと触れ合う感覚をていねいに体感していくことが、エッジボイス習得の第一歩です。

2. エッジボイスの種類と特徴

エッジボイスと一口に言っても、実は似たような発声技術がいくつか存在しており、それぞれに異なる特徴と使い方があります。歌やボイストレーニングの場面で正しく活用するためには、エッジボイスと混同されやすい発声技術との違いをしっかり理解しておくことが大切です。ここでは、特に混同されやすいボーカルフライ、ファルセット、ミックスボイスとの違いを詳しく解説します。

2.1 ボーカルフライとの違い

エッジボイスとボーカルフライは、どちらも声帯を細かく振動させる発声であることから、同じものとして扱われるケースが少なくありません。しかし、厳密には両者の間には明確な違いがあります。

ボーカルフライとは、声帯をゆるく閉じた状態で息をごく少量だけ流すことで生まれる、低音域のパチパチ・バリバリとした粗い音のことを指します。英語圏では「Vocal Fry(ボーカルフライ)」と呼ばれ、揚げ物をするときの油の音に例えられることもあります。声域の中でも最も低い音域、いわゆる「パルス発声域」で生じる現象です。

一方でエッジボイスは、声帯をしっかりと閉鎖させながら振動させることで生まれる、より輪郭のはっきりした引っかかりのある音です。ボーカルフライが「声帯をゆるく閉じた状態」で生まれるのに対し、エッジボイスは「声帯をしっかり閉じた状態」で生まれるという点が最大の違いです。

以下の表で、ボーカルフライとエッジボイスの特徴を比較してまとめます。

項目ボーカルフライエッジボイス
声帯の状態ゆるく閉じた状態しっかりと閉じた状態(声帯閉鎖)
音の印象低くパチパチとした粗い音ザラザラ・ガリガリとした輪郭のある音
使われる音域最低音域(パルス発声域)比較的幅広い音域で活用可能
主な用途声の出し始めのウォームアップ、会話表現歌唱テクニック、声帯閉鎖の練習
声帯閉鎖の強さ弱い強い

ボイストレーニングの現場では、エッジボイスとボーカルフライを意図的に区別せずに使うトレーナーもいますが、声帯閉鎖の強さと音の輪郭のはっきり度合いによって、両者は明確に区別されることを覚えておきましょう。

2.2 ファルセットやミックスボイスとの違い

エッジボイスはファルセット(裏声)やミックスボイスとも混同されることがありますが、発声のメカニズムや目的が大きく異なります。それぞれの特徴と違いを正確に把握することで、練習の目的や方向性がより明確になります。

2.2.1 ファルセットとの違い

ファルセットとは、声帯の一部だけが振動することで生まれる軽やかで柔らかい裏声のことです。声帯がしっかり閉じておらず、息が多く漏れるため、エアリーで透明感のある音色になります。

エッジボイスが声帯をしっかり閉鎖させて摩擦感のある音を生み出すのに対し、ファルセットは声帯の閉鎖が弱く、息漏れを伴うふんわりとした音になるという点が最も大きな違いです。エッジボイスがザラザラとした質感を持つのに対し、ファルセットはなめらかで柔らかい質感を持ちます。

2.2.2 ミックスボイスとの違い

ミックスボイスとは、地声(チェストボイス)と裏声(ファルセット)を混合させた発声のことで、地声の強さと裏声の高さを両立させることができる発声技術です。声区(発声域)のつなぎ目であるブレイクポイントをなめらかに越えるために欠かせないテクニックとして、多くのボーカリストが習得を目指しています。

エッジボイスとミックスボイスの関係でいえば、エッジボイスを練習することで声帯閉鎖の感覚を身につけることができ、その感覚がミックスボイスの習得につながるとされています。つまりエッジボイスは、ミックスボイスを習得するための土台となる重要な発声練習の一つとも言えます。

以下の表で、エッジボイス・ファルセット・ミックスボイスの特徴を比較してまとめます。

項目エッジボイスファルセットミックスボイス
声帯の状態強く閉鎖した状態ゆるく閉じた状態(息漏れあり)地声と裏声の中間の状態
音の印象ザラザラ・ガリガリとした引っかかりのある音柔らかく透明感のある音地声の芯と裏声の滑らかさを兼ね備えた音
息の量少ない多い(息漏れを伴う)コントロールされた中程度の量
声帯閉鎖の強さ強い弱い中程度
主な用途声帯閉鎖の感覚習得、歌の表現技術高音域の歌唱、柔らかい表現高音域の地声的な歌唱、音域の拡張
習得難易度比較的習得しやすい比較的習得しやすい習得に時間がかかることが多い

このように、エッジボイス・ファルセット・ミックスボイスはそれぞれ異なる声帯の状態と音色を持っており、目的や場面に応じて使い分けることが求められます。エッジボイスは声帯閉鎖の感覚を鍛えるための基礎的な発声練習として位置づけられており、ファルセットやミックスボイスの習得にも深く関わっていることがわかります。発声の仕組みをひとつひとつ丁寧に理解しながら練習に取り組むことが、上達への近道です。

3. エッジボイスの正しい出し方

エッジボイスは、コツさえつかめば誰でも習得できる発声技術です。しかし、間違った方法で練習を続けると喉を痛めてしまうこともあるため、正しい手順と注意点を理解したうえで練習を進めることが大切です。ここでは、初心者でも無理なく取り組めるよう、基本的な発声方法から喉を守るための注意点、段階的な練習ステップまでをわかりやすく解説します。

3.1 エッジボイスを出すための基本的な発声方法

エッジボイスを出すためには、声帯をほどよく閉じた状態で、少量の息を通過させることがポイントです。大きな声や強い息を必要とせず、むしろ息の量を極力絞り、声帯同士がわずかに振動する状態をつくることがエッジボイスの核心です。

まず最初に取り組みたい基本の手順を以下に示します。

ステップ動作意識するポイント
1姿勢を整える背筋を伸ばし、首や肩の力を抜いてリラックスする
2息をゆっくり吐くお腹から静かに息を吐き、息の量をできるだけ少なくする
3声帯を軽く閉じる喉に力を入れすぎず、声帯がそっと触れ合うイメージを持つ
4低音でザラザラとした音を出す「アー」や「エー」など母音を使い、極めて低い音域でゆっくり鳴らす
5音の粒感を確認する声帯が細かく振動することで生まれる、ザラついた粒状の感覚を感じ取る

このとき、喉の奥で「ガリガリ」「ザラザラ」とした感覚が生まれれば、エッジボイスが出ている状態です。最初からうまく音が出なくても焦る必要はありません。声帯に余計な力が入っていないかを確認しながら、繰り返し試すことで感覚がつかめてきます。

また、音程は意識して低く設定することが重要です。エッジボイスはもともと低音域で発生しやすく、高音を出そうとすると喉への負担が増えてしまいます。最初は話し声よりも一段低いピッチで試してみましょう。

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3.2 喉を傷めないための注意点

エッジボイスは正しく行えば安全なトレーニングですが、誤った方法で続けると声帯や喉粘膜にダメージを与える可能性があります。以下の注意点をしっかり守って練習しましょう。

注意点詳細
無理に大きな声を出さないエッジボイスは小さな音で十分成立する。大声で出そうとすると声帯に過度な圧力がかかる
喉が乾燥した状態での練習を避ける声帯の潤いが失われると摩擦が増し、炎症の原因になる。水分補給を忘れずに行う
痛みや違和感を感じたら即座に中断する喉の痛みや嗄れ声(かすれ声)が出てきた場合は、声帯が疲弊しているサイン
練習時間を短くまとめる初心者は1回5〜10分程度にとどめ、慣れてきたら徐々に時間を延ばしていく
ウォームアップを必ず行うリップロールや軽いハミングで声帯を温めてから練習を始める

特に注意したいのが、喉に力を入れて無理やり声を絞り出すような感覚になっている場合は、すぐに練習を止めてリセットすることです。エッジボイスは「力む」ことで出るものではなく、むしろ脱力した状態で声帯を微細にコントロールすることで実現します。喉が締まるような感覚が続く場合は、フォームを根本から見直す必要があります。

また、風邪をひいているときや喉の調子が悪い日は練習を休むことも大切です。体調が優れない状態での発声練習は、症状を悪化させるリスクがあります。声の健康を長期的に守るためにも、無理のないペースで取り組みましょう。

3.3 初心者向けの練習ステップ

エッジボイスを初めて練習する方は、段階的なアプローチで習得するとスムーズです。いきなり歌に取り入れようとするのではなく、まず単独でエッジボイスの感覚をつかんでから、徐々に発声練習や歌唱に組み込んでいく順序が上達への近道です。

3.3.1 ステップ1:息だけを使って声帯の感覚をつかむ

声を出す前に、まず静かにゆっくりと息を吐くことから始めます。このとき、喉の奥で息の流れを感じ取ることに集中します。声帯が息の通り道にあることを意識しながら、息の量を少しずつ絞っていくと、やがてかすかな音が出始めます。これがエッジボイスの入り口です。

3.3.2 ステップ2:低音でザラついた音を出す

次に、喉を軽く閉じた状態で「アー」という母音を、できるだけ低い音程でゆっくりと発声してみます。音が途切れ途切れになったり、粒々とした感触があれば正しい方向です。最初はぎこちなくても問題ありません。毎日少しずつ繰り返すことで、声帯のコントロール力が高まっていきます。

3.3.3 ステップ3:安定した音を持続させる

ステップ2で出せた音を、数秒間安定して持続させる練習を行います。最初は2〜3秒でも十分です。安定してきたら5秒、10秒と徐々に伸ばしていきましょう。このとき息継ぎのタイミングと、声帯の閉じ具合のバランスを意識することが重要です。

3.3.4 ステップ4:音程を少しずつ変化させる

エッジボイスが安定して出せるようになったら、同じ感覚を保ちながら音程をわずかに上下させてみます。音程が変わっても同じザラついた質感が維持できれば、声帯のコントロールが身についてきた証拠です。この段階になると、実際の歌の中でエッジボイスを意識的に使えるようになっていきます。

3.3.5 ステップ5:フレーズや歌詞に組み込む

最終ステップとして、短いフレーズや好きな楽曲のワンフレーズにエッジボイスを組み込む練習を行います。はじめはゆっくりなテンポで、声を出す瞬間の感覚を確認しながら進めましょう。歌の流れの中でエッジボイスを自然に使いこなせるようになれば、表現力のある歌声への大きな一歩となります。

4. エッジボイスを歌に活かす方法

4.1 エッジボイスを取り入れた歌唱テクニック

エッジボイスは、それ単体を長く伸ばして歌うものではなく、フレーズの入り口や感情的なアクセントを加えたい瞬間に短く乗せることで、歌に表情と深みをもたらすテクニックです。基本的な活用法としては、フレーズの出だしにエッジをかけることで、力強さや緊張感を一瞬で表現するという使い方が代表的です。

また、エッジボイスを歌に取り入れる際には「かける量」のコントロールが重要になります。エッジが強すぎると声がひっかかって聴こえ、メロディのなめらかさが失われてしまいます。一方で薄くかけると、声に独特の艶やざらつき感が加わり、感情的な表現として自然に機能します。この「さじ加減」を身につけることが、歌唱テクニックとしてエッジボイスを使いこなす第一歩です。

具体的な活用場面は以下のように整理できます。

活用場面エッジボイスの役割効果
フレーズの出だし声帯を閉じた状態から発声を始める力強さ・存在感の演出
高音に移行する直前声帯の緊張を整えるきっかけとして使う高音の安定感・声のコントロール向上
感情的なクライマックス声にざらつきや震えを加える悲しみ・怒り・切なさなどの情感表現
低音域のフレーズ声帯の閉鎖を強化して音に芯を持たせる低音でもぼやけない明瞭な発声

これらの場面に共通しているのは、エッジボイスが「声帯閉鎖の強化」というメカニズムを通じて声に輪郭をもたらすという点です。感情表現のためのテクニックとして捉えることで、歌の中での使いどころが明確になります。

4.2 J-POPや洋楽でエッジボイスを使う場面

エッジボイスは特定のジャンルに限定されたテクニックではなく、J-POPから洋楽まで幅広い音楽ジャンルで活用されています。ただし、ジャンルや楽曲の雰囲気によって、エッジのかけ方や場面が異なります。

4.2.1 J-POPにおけるエッジボイスの使い方

日本のポップスでは、感情が高まるサビの入り口や、切ないAメロのフレーズ冒頭でエッジボイスが使われることが多くあります。声の出だしにわずかにエッジをかけることで、歌詞の感情をより直接的に届けることができるという効果があります。

たとえば、バラード系の楽曲では、静かなフレーズの入り口にかすかなエッジを乗せることで、声に「息をのむような緊張感」を生み出すことができます。また、ロック系のJ-POPでは、サビの頭に強めのエッジをかけて、力強さや激しさを表現する歌い方が一般的です。

4.2.2 洋楽・R&Bやロックにおけるエッジボイスのアプローチ

洋楽、特にR&Bやソウルではエッジボイスは欠かせないテクニックのひとつです。声にグリット(ざらつき)を意図的に加えることで、感情の生々しさや力強さを表現するスタイルは、多くのアーティストに共通しています。

ロックやオルタナティブでは、エッジボイスを強めにかけることで、歪んだような声質を演出することがあります。これはエフェクターによる加工とは異なり、声帯の摩擦による自然な音の質感であるため、ライブパフォーマンスでも再現可能な表現手法として重宝されています。

ジャンル別のエッジボイスの使い方の傾向を、以下の表に整理します。

ジャンルエッジボイスの使い方求められる表現
J-POPバラードフレーズ冒頭に薄くかける切なさ・繊細な感情表現
J-POPロックサビの入り口に強めにかける力強さ・疾走感・緊張感
R&B・ソウルフレーズ全体にグリットを乗せる感情の生々しさ・エモーションの深さ
ロック・オルタナティブ声全体にざらつきを加える荒々しさ・激しさ・rawな声質
ポップス全般特定の歌詞の単語頭にさりげなくかけるアクセント・言葉の強調

いずれのジャンルにおいても、エッジボイスは「意図的に使う瞬間」を明確に決めてから練習することで、表現の幅が格段に広がります。好きなアーティストの楽曲を聴き込み、どの場面でエッジがかかっているかを耳で分析することが、習得の近道となります。

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5. エッジボイスの練習で意識すること

5.1 毎日の練習で上達するためのポイント

エッジボイスは、正しい方法で継続的に練習することで着実に身につけられる発声技術です。しかし、ただやみくもに声を出し続けるだけでは上達は難しく、毎日の練習において意識すべきポイントをしっかり押さえることが、上達への最短ルートになります。

まず重要なのは、練習時間の管理です。エッジボイスの練習は長時間おこなえばよいというものではなく、声帯への負担を考慮しながら短時間・高頻度でおこなうことが効果的です。初心者のうちは1回あたり5〜10分程度を目安とし、声帯に疲労を感じたらすぐに休憩を取るようにしましょう。

次に意識したいのが、発声前のウォームアップです。いきなりエッジボイスを出そうとすると声帯を傷める原因になります。ハミングや口を閉じたリップロールなど、声帯をゆっくりほぐすウォームアップをおこなってから練習に入ることが大切です。

また、自分の声を録音して客観的に聴き返す習慣も効果的です。自分の耳で聴く声と、録音された声は異なって聞こえることが多く、録音を確認することでエッジのかかり具合や音の安定性を正確に把握できます。毎日少しずつ録音を蓄積していくことで、自分の成長を実感しやすくなります。

意識するポイント具体的な内容目安・頻度
練習時間の管理短時間・高頻度での練習を心がける1回5〜10分、毎日継続
ウォームアップハミングやリップロールで声帯をほぐす練習前に必ずおこなう
録音による自己確認スマートフォンなどで録音し聴き返す練習のたびに記録する
体の力みを抜く肩・首・顎の力を抜いてリラックスした状態で発声する発声前にストレッチをおこなう
息の量のコントロール少量の息で声帯を閉じる感覚を意識する練習の中で常に意識する

さらに、体全体のリラックスも欠かせません。肩や首、顎に力が入った状態では声帯の細かいコントロールが難しくなります。発声前に軽くストレッチをおこない、全身の力みを取り除いてから練習に臨むことで、エッジボイス特有の声帯の繊細な動きを再現しやすくなります。

5.2 うまく出ないときの原因と改善策

エッジボイスの練習を続けていても、「なかなか上手く出せない」「出せても安定しない」という悩みを抱える方は少なくありません。うまく出ないときには、必ず何らかの原因があります。原因を正確に把握し、適切な改善策を講じることが上達への鍵です。

よくある原因と改善策を以下にまとめました。

よくある原因具体的な症状・状況改善策
息の量が多すぎる声がかすれたり、息が漏れすぎてエッジがかからない息を絞るイメージで、ごく少量の息で声帯を震わせる練習をおこなう
声帯の閉鎖が弱いぼやけた音になり、エッジ特有の粒立ちが感じられない「あ゛」と低く唸るように発声し、声帯を閉じる感覚を意識的に強める
喉に力が入りすぎている声がつまった感じになり、喉に違和感や痛みが生じる首や肩のストレッチで緊張をほぐし、リラックスした状態で発声し直す
声域が合っていない高い音域や低い音域で練習しているためにコントロールしにくい自分が最も楽に出せる音域(地声の低め)からスタートする
体調・声帯のコンディション不良風邪や乾燥、睡眠不足により声帯が正常に動かない体調が優れないときは無理に練習せず、声帯を休ませることを優先する

特に初心者が陥りやすいのが、「力んで無理やり出そうとする」パターンです。エッジボイスは力みではなく、声帯の精密なコントロールによって生まれる発声です。力むほど声帯への負担が増し、正しいエッジの感覚から遠ざかってしまいます。

また、練習環境の見直しも効果的です。静かな部屋で練習することで自分の声を正確に聴き取ることができ、細かな変化に気づきやすくなります。スマートフォンのボイスメモや音楽制作アプリを活用して、発声のたびに録音・確認する習慣をつけましょう。

5.3 ボイストレーニングへの応用方法

エッジボイスは単独の発声練習にとどまらず、ボイストレーニング全体の中で重要な役割を果たします。エッジボイスをボイストレーニングに組み込むことで、声帯閉鎖の精度が高まり、地声・裏声・ミックスボイスそれぞれの発声力が向上します。

ボイストレーニングへの応用としてまず挙げられるのが、声帯閉鎖の強化トレーニングです。エッジボイスを短く区切りながら断続的に出す練習をおこなうことで、声帯の開閉をコントロールする筋肉が鍛えられます。この能力は、歌唱中に音量や音色を細かく変化させる際にも直結する重要なスキルです。

次に、音域の拡張トレーニングへの応用があります。エッジボイスを地声の低音域から徐々に高音域へスライドさせながら発声することで、声区の切り替えをスムーズにする練習になります。これはいわゆる「ブリッジ」と呼ばれる音域の橋渡しを滑らかにするために効果的です。

さらに、発声の安定感を高めるためのウォームアップとしても活用できます。歌の練習を始める前にエッジボイスで声帯を軽く活性化させることで、発声の立ち上がりが早くなり、音程の正確さや声量のコントロールがしやすい状態で歌い始めることができます。

応用場面トレーニング内容期待できる効果
声帯閉鎖の強化エッジボイスを断続的に短く繰り返す声帯の開閉コントロール力の向上
音域の拡張低音域から高音域へエッジボイスをスライドさせる声区の切り替えがスムーズになる
発声ウォームアップ歌の練習前にエッジボイスで声帯を起動させる音程精度・声量コントロールの安定化
表現力の強化フレーズの語頭にエッジボイスを乗せて歌う練習感情表現の幅が広がり、楽曲の説得力が増す
ブレスコントロールの改善少量の息でエッジを保ちながら長く発声する呼吸の効率化と息もちの向上

ボイストレーナーの指導を受けている方は、レッスンの中でエッジボイスを意図的に取り入れてもらうよう相談するのも有効です。自己流の練習だけでは気づきにくいクセや課題を、専門家の視点から指摘してもらうことで、上達のスピードが大きく変わります。

自宅でのボイストレーニングをより効果的に進めるためには、録音・再生環境の整備も重要です。自分の声を高品質な状態で録音・モニタリングすることで、細かな発声の変化を正確に把握できます。音楽制作や動画配信をおこなうクリエイターの中には、ボイストレーニングの録音環境としてもパソコンを活用するケースが増えています。こうした用途においても、処理性能が高く安定して動作するパソコンを選ぶことが、練習の質を高める一つの手段となっています。

6. まとめ

エッジボイスとは、声帯を緩く閉じた状態で息を通すことで生まれる、独特のざらついた質感を持つ発声技術です。ボーカルフライと混同されることが多いですが、エッジボイスは歌の表現力を高めるための実践的なテクニックとして、J-POPや洋楽の多くのシーンで活用されています。

正しく出すためには、声帯への無理な負担を避けながら、リラックスした状態で少しずつ練習を積み重ねることが重要です。うまく出ない場合は、力みすぎや息の量の調整不足が主な原因となるため、毎日の練習で感覚をつかんでいきましょう。

エッジボイスを習得することで、ミックスボイスやファルセットといった他の発声技術とも組み合わせやすくなり、歌全体の表現の幅が大きく広がります。ボイストレーニングの一環として取り入れることで、着実に上達が見込めます。

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