テレワークで気を付けるべきセキュリティについて徹底解説!今すぐ確認したい5つの対策

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テレワーク中のセキュリティ対策を怠ると、情報漏えいやウイルス感染など、取り返しのつかない被害につながる可能性があります。
この記事では、テレワークで気を付けるべきセキュリティの基本から具体的な対策まで、5つのポイントに分けてわかりやすく解説します。
通信環境の整備やデバイス管理、パスワードの強化、フィッシング詐欺への対処、データ管理のルールまで網羅していますので、テレワーク中の方はもちろん、従業員を守りたい企業担当者の方にも役立つ内容です。
ぜひ最後まで読んで、今日から実践できる対策を確認してみてください。

目次

1. テレワークで気を付けるべきセキュリティとは何か

テレワーク(リモートワーク)の普及により、多くの企業や個人が自宅やカフェ、コワーキングスペースなど、オフィス以外の場所で業務を行うようになりました。
働き方の自由度が高まった一方で、セキュリティ上のリスクもオフィス勤務時代と比べて大きく変化しており、対策を怠ると情報漏えいやサイバー攻撃の被害を受ける可能性が高まっています。
このセクションでは、テレワークにおけるセキュリティリスクの現状と、具体的にどのような脅威が存在するのかを整理します。

1.1 テレワーク普及によるセキュリティリスクの現状

新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、日本国内でもテレワークが急速に普及しました。総務省が公表した調査結果によると、テレワーク導入企業における情報セキュリティインシデントの報告件数は、導入前と比較して増加傾向にあることが明らかになっています。

オフィス勤務では、企業が管理するネットワークや端末を利用するため、セキュリティ対策も一元管理がしやすい環境でした。
しかしテレワークでは、従業員それぞれが異なるネットワーク環境・デバイス・アプリケーションを使用するため、企業のIT部門が全体を把握・管理することが難しくなります。
この「管理の分散」こそが、テレワーク特有のセキュリティリスクを生み出す根本的な原因です。

また、テレワーク環境では従業員一人ひとりのセキュリティ意識や知識の差が、そのままリスクの大小に直結します。
企業全体のセキュリティレベルは、最も対策が甘い個人の環境によって決まるといっても過言ではありません。
だからこそ、組織全体でセキュリティリスクを正しく認識し、一人ひとりが適切な対策を実践することが非常に重要です。

1.2 テレワーク環境で狙われやすい脅威の種類

テレワーク環境では、どのような脅威が実際に問題となっているのでしょうか。代表的な脅威を以下の表に整理しました。

脅威の種類概要テレワークとの関連性
不正アクセス第三者が社内システムやクラウドサービスに無断でログインする攻撃自宅や外出先の脆弱なネットワーク経由での侵入リスクが増大する
フィッシング詐欺正規のサービスや企業を装ったメール・サイトでIDやパスワードを盗む手口テレワーク中は相談しにくい環境のため、被害に気づきにくい
マルウェア感染ウイルスやランサムウェアなど悪意あるソフトウェアへの感染私用端末の使用やセキュリティソフト未導入による感染リスクが高まる
情報漏えい業務データや個人情報が外部に流出する事故クラウド経由の不適切な共有や、画面の覗き見によって発生しやすい
端末の紛失・盗難業務用デバイスが物理的に失われることによる情報流出外出先での作業機会が増えるため、リスクが高まる
標的型攻撃特定の企業・個人を狙い、巧妙に偽装されたメールや手口で情報を詐取する攻撃テレワーク中はIT部門へのすぐな相談が難しく、被害が拡大しやすい

これらの脅威は、それぞれが単独で発生するだけでなく、組み合わさって被害が拡大するケースも少なくありません。
たとえば、フィッシング詐欺でパスワードを盗まれた結果、不正アクセスが発生し、さらに情報漏えいへと発展するという連鎖的な被害が実際に報告されています。

テレワークにおけるセキュリティ対策は、特定の一点だけを強化するのではなく、通信環境・デバイス・認証・メール・データ管理といった複数の領域を組み合わせて、多層的に備えることが基本的な考え方となります。
次章以降では、各対策について具体的かつ実践的な内容をわかりやすく解説していきます。

2. テレワークで気を付けるべきセキュリティ対策1 通信環境の安全確保

テレワークにおけるセキュリティリスクの多くは、通信環境に起因しています。
オフィスであれば企業が管理するネットワークを使用できますが、自宅や外出先では通信環境の安全性を自分自身で確保しなければなりません。
ここでは、通信環境を安全に保つための具体的な方法をわかりやすく解説します。

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2.1 自宅Wi-Fiルーターの設定を見直す

テレワークで最も多く使われる通信環境が、自宅のWi-Fiです。
しかし、初期設定のままルーターを使い続けているケースも多く、これが攻撃者に狙われる原因となっています。自宅のWi-Fiルーターは、以下のポイントを必ず確認・変更しておきましょう。

確認項目リスク推奨される対応
管理者パスワード初期値のままだと不正アクセスを受けやすい複雑なパスワードに変更する
SSIDの名称機種名がわかると脆弱性を突かれやすい機種名や個人情報が含まれない名称に変更する
暗号化方式古い方式(WEPなど)は解読リスクが高いWPA3またはWPA2を使用する
ファームウェア古いバージョンには既知の脆弱性が存在する定期的にアップデートを確認・適用する
リモート管理機能外部からルーターの設定を変更される恐れがある使用しない場合は無効化する

特に暗号化方式については、古い規格であるWEPやWPAは現在では容易に解読される可能性があることが知られており、必ずWPA2またはWPA3に設定されているかを確認することが重要です。
設定方法はルーターの機種によって異なりますが、多くの場合はブラウザからルーターの管理画面にアクセスすることで変更できます。

2.2 フリーWi-Fiや公共回線を避けるべき理由

カフェや図書館、駅などで提供されているフリーWi-Fiは、誰でも接続できる反面、通信内容が盗み見られるリスクが非常に高い環境です。
テレワーク中に業務データをやり取りする場合、こうした公共のネットワークを使用することは大きな危険を伴います。

フリーWi-Fiが危険な主な理由として、以下の点が挙げられます。

リスクの種類具体的な内容
通信の盗聴暗号化されていない通信は、同じネットワーク上の第三者に傍受される可能性がある
なりすましアクセスポイント偽のWi-Fiスポットに接続させ、通信内容を丸ごと取得する「Evil Twin攻撃」が行われることがある
マルウェア感染同一ネットワーク内の感染端末から、ウイルスが自分のデバイスに侵入するリスクがある

テレワーク中に外出先で通信が必要になった場合は、フリーWi-Fiを使用せず、スマートフォンのテザリング機能を活用することが安全策として有効です。
テザリングであれば、自分のモバイルデータ通信を経由するため、公共のネットワークを介さずに済みます。

2.3 VPNを活用した安全な通信方法

VPN(Virtual Private Network:仮想プライベートネットワーク)は、インターネット上に仮想的な専用トンネルを作り、通信内容を暗号化して送受信する技術です。
テレワークにおいて、企業の社内システムや重要データに安全にアクセスするための手段として広く採用されています。

VPNを導入することで得られる主なメリットは以下のとおりです。

メリット詳細
通信の暗号化通信内容が暗号化されるため、盗聴や傍受のリスクを大幅に低減できる
IPアドレスの秘匿接続元のIPアドレスが隠されるため、プライバシーを保護できる
社内ネットワークへの安全なアクセス社外からでも社内システムに安全に接続できる

VPNには、企業が自社で構築・運用する「法人向けVPN」と、個人が契約するサービス型のVPNがあります。テレワークにおいては、会社が提供するVPNを使用することが原則であり、私的なVPNサービスを業務に無断で使用することは避けるべきです。

2.3.1 VPNを正しく使うための注意点

VPNは適切に運用しなければ、その効果を十分に発揮できません。
以下の点に注意して使用するようにしましょう。

  • VPN接続中であっても、フィッシングサイトへのアクセスなどすべての脅威を防ぐわけではない
  • 接続先のVPNサーバーの信頼性を確認することが重要である
  • VPN接続が切断されたままで業務を継続しないよう、接続状態を定期的に確認する
  • 会社が定めたVPN利用ルールに従い、許可されていない端末から接続しない

通信環境のセキュリティは、テレワーク全体のセキュリティ対策の土台となる部分です。
自宅のWi-Fi設定の見直し、フリーWi-Fiの回避、VPNの正しい活用という3つの柱を意識することで、通信経路を狙った攻撃から業務情報を守ることができます。

3. テレワークで気を付けるべきセキュリティ対策2 デバイスの適切な管理

テレワークにおけるセキュリティ対策の中でも、使用するデバイス(端末)そのものを適切に管理することは、情報漏えいや不正アクセスを防ぐうえで非常に重要な基盤となります。
通信環境を整えるだけでなく、デバイス側のリスクにもしっかり目を向けましょう。

3.1 私用端末と業務端末を使い分ける重要性

テレワークを始めた際、「自宅にある個人のパソコンを業務に使えばいい」と考える方も少なくありません。
しかし、私用端末を業務に使用することは、セキュリティ上の大きなリスクをはらんでいます。

私用端末には、業務とは無関係のアプリケーションや個人データが混在しています。その結果、以下のような問題が発生しやすくなります。

リスクの種類具体的な内容
マルウェア感染個人利用でインストールしたアプリやゲームにマルウェアが混入しており、業務データに被害が及ぶ
情報の混在個人の写真・連絡先・SNSアカウントと業務ファイルが同じデバイス上に存在し、誤送信や漏えいの危険性が高まる
セキュリティポリシーの不一致企業が定めたセキュリティ設定やソフトウェアを適用しにくく、管理が行き届かない
不正アクセスの入口セキュリティ対策が不十分な私用端末が踏み台にされ、社内システムへの侵入口となる

理想は、業務専用の端末を用意し、業務以外の目的には一切使用しないルールを徹底することです。
企業側が業務用デバイスを貸与する「会社支給端末」の運用が最も安全ですが、個人事業主やフリーランスの方が自前で準備する場合も、業務用と私用を明確に分けることを強くおすすめします。

なお、やむを得ず私用端末を業務に利用する「BYOD(Bring Your Own Device)」を採用する場合は、MDM(モバイルデバイス管理)ツールを導入してデバイスを一元管理するなど、追加のセキュリティ対策が不可欠です。

3.2 OSやソフトウェアのアップデートを怠らない

「アップデートの通知が来ているけど、作業中だから後回しにしよう」と感じた経験がある方は多いのではないでしょうか。
しかし、OSやソフトウェアのアップデートを後回しにすることは、既知の脆弱性を放置することと同義であり、サイバー攻撃者に格好の侵入口を与えてしまいます。

アップデートには主に次の2種類があります。

アップデートの種類主な目的対応の優先度
セキュリティアップデート発見された脆弱性(セキュリティホール)を修正する最優先で適用する
機能・品質アップデート新機能の追加や動作の安定性を向上させるできる限り速やかに適用する

特に注意すべき点として、WindowsやmacOSといったOSのアップデートに加え、ウイルス対策ソフト(セキュリティソフト)の定義ファイルも常に最新の状態に保つことが重要です。
定義ファイルが古いままでは、最新のウイルスやマルウェアに対応できません。

また、業務で使用するMicrosoft OfficeやAdobe製品、各種ブラウザ(Google Chrome、Microsoft Edgeなど)についても、自動更新設定をオンにしておくことで、手動での更新忘れを防ぐことができます。

3.2.1 アップデートを確実に行うためのポイント

  • OSの自動更新機能を有効にしておく
  • ウイルス対策ソフトの自動更新・自動スキャンを設定する
  • 業務終了後や休憩時間にアップデートを実行するよう習慣づける
  • サポートが終了した古いOSやソフトウェアは使用しない(例:Windows 10は2025年10月にサポート終了予定)

サポートが終了したOSはセキュリティパッチが提供されなくなるため、古いOSを使い続けることはテレワーク環境において特に深刻なリスクとなります。
早めのOSアップグレードや、必要であれば新しいパソコンへの移行を検討することが賢明です。

3.3 紛失・盗難時のリスクを最小化するための設定

テレワークでは、カフェやコワーキングスペースなど、自宅以外の場所で業務を行うケースもあります。
そのような環境では、デバイスの紛失や盗難が起きる可能性があります。万が一の事態に備え、デバイスを紛失・盗難された際のリスクを最小限に抑えるための設定を事前に行っておくことが不可欠です。

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3.3.1 パソコン・スマートフォンに設定しておくべき項目

設定項目内容・効果
画面ロック(PIN・パスワード・生体認証)第三者によるデバイスへの不正アクセスを防ぐ。短時間の放置でも自動ロックが掛かるよう設定する
ストレージの暗号化デバイスを物理的に取得されても、内部データを読み取られにくくする(Windowsの「BitLocker」、MacOSの「FileVault」など)
リモートワイプ(遠隔データ消去)紛失・盗難時に遠隔操作でデバイス内のデータを消去できる機能。Windowsは「デバイスの検索」、Appleは「iPhoneを探す」などで設定可能
デバイスの位置情報追跡紛失したデバイスの場所を特定するために活用できる。ただし盗難の場合は警察へ相談することを優先する
ログイン試行回数の制限一定回数以上のパスワード誤入力でロックまたはデータ消去が発動するよう設定する

これらの設定は、いざというときに「設定しておけばよかった」と後悔しないためのものです。
デバイスを業務に使い始める前の段階で、必ずこれらの設定を完了させておくことを強くおすすめします。

また、業務用データはデバイス本体にのみ保存するのではなく、企業が承認したクラウドサービスや社内サーバーにバックアップを取ることも重要です。
これにより、デバイスを失った際のデータ消失リスクも同時に軽減できます。

さらに、外出先での業務を想定している場合は、物理的な鍵付きのセキュリティワイヤーや、のぞき見防止フィルターを活用することも有効な対策です。
デジタル面だけでなく、物理的なセキュリティにも気を配りましょう。

4. テレワークで気を付けるべきセキュリティ対策3 パスワードと認証の強化

テレワーク環境では、オフィスのように物理的なアクセス制限が設けられていないため、パスワードや認証の仕組みがセキュリティの最前線となります。
万が一パスワードが漏えいしてしまうと、社内システムや業務データに第三者が自由にアクセスできてしまう危険があります。
このセクションでは、テレワーク中に実践すべきパスワード管理と認証強化の具体的な方法を詳しく解説します。

4.1 強力なパスワードの作り方と管理ツールの活用

多くのサイバー攻撃は、推測されやすいパスワードや使い回しによる認証情報の流用を狙って行われます
テレワーク中は業務ツールやクラウドサービスへのアクセスが増えるため、パスワードの質と管理方法をあらためて見直すことが重要です。

4.1.1 強力なパスワードの条件

強力なパスワードとは、単純な単語や誕生日などの推測されやすい情報を一切含まず、複雑な文字列で構成されたものを指します。以下の表に、弱いパスワードと強いパスワードの違いをまとめました。

項目弱いパスワードの例強いパスワードの条件
文字数6文字以下12文字以上が望ましい
文字の種類英小文字のみ英大文字・英小文字・数字・記号を組み合わせる
内容名前・誕生日・「password」など意味を持たないランダムな文字列
使い回し複数のサービスで同じパスワードを使用サービスごとに異なるパスワードを設定

特に複数のサービスで同じパスワードを使い回すことは、一つが漏えいしただけで連鎖的に被害が拡大する「パスワードリスト攻撃」のリスクを高めます
それぞれのサービスに固有のパスワードを設定することが基本です。

4.1.2 パスワード管理ツールの活用

サービスごとに異なる複雑なパスワードを設定すると、覚えきれないという問題が生じます。そこで役立つのが、パスワード管理ツール(パスワードマネージャー)の導入です。
パスワード管理ツールを使えば、すべてのパスワードを暗号化した状態で一元管理でき、ログイン時に自動入力する機能も備えています。

代表的なパスワード管理ツールには、1Password(ワンパスワード)やBitwarden(ビットウォーデン)などがあります。
これらのツールは、強力なパスワードを自動生成する機能も持っているため、パスワード作成の手間も省けます。
業務で使用するサービスのパスワードは、個人のメモ帳やスプレッドシートではなく、専用のパスワード管理ツールで管理する習慣を身に付けましょう

4.2 二段階認証・多要素認証を導入する方法

パスワードをどれだけ強固にしても、フィッシング詐欺やマルウェアによって盗まれてしまうリスクはゼロにはなりません。
そのような万が一の事態に備えるために有効なのが、二段階認証・多要素認証(MFA:Multi-Factor Authentication)の導入です。

4.2.1 二段階認証・多要素認証とは

多要素認証とは、ログイン時にパスワードだけでなく、複数の認証要素を組み合わせることで、不正アクセスを防ぐ仕組みです。認証に使われる要素は、大きく次の3種類に分類されます。

認証要素の種類概要具体例
知識情報(知っていること)本人だけが知っている情報パスワード、暗証番号、秘密の質問
所持情報(持っているもの)本人だけが所持しているものスマートフォン、ワンタイムパスワード(OTP)、ICカード
生体情報(本人そのもの)本人の身体的特徴指紋認証、顔認証、虹彩認証

これらのうち2つ以上を組み合わせて認証を行うのが多要素認証です。
パスワードが第三者に漏えいしても、もう一つの認証要素を突破されない限りログインできないため、不正アクセスのリスクを大幅に低減できます

4.2.2 テレワークで活用できる二段階認証の設定方法

テレワークで利用する主なサービスやツールには、二段階認証の設定機能が用意されていることがほとんどです。たとえば、Microsoft 365(マイクロソフト365)やGoogle Workspace(グーグルワークスペース)、Slack(スラック)、Zoom(ズーム)などは、アカウントの設定画面から二段階認証を有効にすることができます。

認証方法としては、SMSによるワンタイムパスワードよりも、認証アプリを使った方式のほうがセキュリティ強度が高く推奨されています
代表的な認証アプリには、Google認証システム(Google Authenticator)やMicrosoft Authenticator(マイクロソフト オーセンティケーター)があります。
これらのアプリは、30秒ごとに変化するワンタイムパスワードを生成するため、仮にパスワードが盗まれたとしても、認証アプリがなければログインできません。

4.2.3 企業として多要素認証を導入する際のポイント

個人の判断だけでなく、企業として多要素認証の利用を義務化することが、テレワーク全体のセキュリティレベルを底上げするうえで非常に効果的です
特に社内システムやVPN接続、メールアカウントへのログインには、多要素認証を必須とするポリシーを設けることが推奨されます。
また、従業員が多要素認証の設定方法を正しく理解できるよう、マニュアルの整備や定期的な教育を行うことも欠かせません。

5. テレワークで気を付けるべきセキュリティ対策4 フィッシング詐欺・不審メールへの対処

テレワーク環境では、オフィス勤務のときよりも周囲に確認できる同僚がいないため、不審なメールを受け取ったときに一人で判断しなければならない場面が増えます。
そのような状況を狙い、フィッシング詐欺や標的型攻撃メールの被害は年々増加しています。ここでは、不審メールの見分け方と、実際にどのように対処すれば良いかについてわかりやすく解説します。

5.1 標的型攻撃メールの見分け方

標的型攻撃メールとは、特定の企業や個人を狙って送られる悪意のあるメールのことです。一見すると取引先や社内の上司からのメールに見えるため、気づかずに開いてしまうケースが多くあります。
標的型攻撃メールは、一般的な迷惑メールと異なり、送信先の業種・役職・氏名などの情報をもとに作り込まれているため、見た目だけでは判断が非常に難しいという特徴があります。

以下の表に、標的型攻撃メールによく見られる特徴をまとめました。確認のチェックリストとして活用してください。

確認ポイント具体的な内容危険度
送信元メールアドレス表示名は正規の企業名でも、メールアドレスのドメインが異なる(例:@gmai1.comなど数字や記号が混入)
件名・本文の内容「至急」「重要」「アカウントが停止されます」などの緊急性を煽る表現が多用されている
添付ファイルの種類心当たりのないWord・Excel・PDFや、拡張子が二重になっているファイル(例:請求書.pdf.exe)が添付されている
リンク先のURLマウスオーバーしたときに表示されるURLが、本文中に記載されているURLと異なる
日本語の不自然さ文章が不自然に堅い、あるいは機械翻訳のような読みにくい表現が含まれている
個人情報の要求パスワードやクレジットカード番号など、メールで通常は要求されない情報の入力を求めてくる

これらのいずれか一つでも当てはまる場合は、すぐに開かず、送信元に別の手段(電話など)で確認を取ることが重要です。
特に「至急対応が必要」と焦らせるような内容のメールは、冷静に立ち止まって確認する習慣を持つことがフィッシング詐欺への最大の防衛策です。

5.1.1 フィッシングメールと標的型攻撃メールの違い

フィッシングメールは不特定多数に一斉送信される詐欺メールであるのに対し、標的型攻撃メールは特定の組織や個人を狙って送られます。
テレワーク中の従業員は、業務上さまざまなメールを受け取るため、どちらのリスクにも同時にさらされています。
どちらも「開かせる・クリックさせる」ことを目的としている点は共通しており、対処の基本姿勢も同様です。

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5.2 不審なリンクや添付ファイルを開かないための注意点

不審なメールを見分けられたとしても、うっかりリンクをクリックしてしまったり、添付ファイルを開いてしまったりするケースは後を絶ちません。
テレワーク環境では、セキュリティ担当者が近くにいないため、「怪しいと感じたら絶対に開かない」という行動原則を身につけることが、個人レベルでできる最も効果的な対策です。

以下に、日常業務の中で実践できる具体的な注意点をまとめます。

場面具体的な注意点
リンクをクリックする前マウスカーソルをリンクの上に乗せ、画面下部に表示される実際のURLを確認する。短縮URLには特に注意する
添付ファイルを受け取ったとき送信元に心当たりがない場合は開かない。知人からのメールでも、マルウェアに感染した端末から自動送信されている場合があるため注意する
ウェブサイトへのログインを求められたときメール内のリンクからログインページに飛ばず、ブラウザに直接URLを入力するか、ブックマークからアクセスする
ポップアップやアラートが表示されたとき「ウイルスを検出しました」などの偽の警告に従って電話番号に電話したり、ソフトウェアをインストールしたりしない
社内ツール・クラウドサービスへのログイン通知メールMicrosoftやGoogleなどを装ったフィッシングメールが多い。公式サービスは通常メールでパスワードの再入力を求めない

5.2.1 セキュリティソフト・メールフィルタリングの活用

個人の注意力だけに頼るには限界があります。
そのため、技術的な対策と組み合わせることが重要です。具体的には、以下のような対策が有効です。

  • セキュリティソフト(ウイルス対策ソフト)を常に最新の状態に保ち、リアルタイムスキャンを有効にする
  • メールソフトやグループウェアのスパムフィルター・フィッシングフィルターを有効化する
  • 企業側でメール送信ドメイン認証(SPF・DKIM・DMARC)を設定し、なりすましメールを弾く仕組みを導入する
  • 業務用メールアドレスをSNSや個人サービスに登録しない

セキュリティソフトはインストールするだけでなく、定義ファイルを常に最新の状態に保つことが前提です。
古いままでは新しい脅威に対応できないため、自動更新の設定を必ず確認しましょう。

5.2.2 万が一クリックしてしまった場合の対処法

不審なリンクを誤ってクリックしてしまった、あるいは添付ファイルを開いてしまったという場合も、パニックにならず冷静に対応することが大切です。以下の手順をすみやかに実行してください。

  1. インターネット接続をすぐに切断する(Wi-Fiをオフにする、LANケーブルを抜くなど)
  2. 会社のセキュリティ担当者またはIT部門に速やかに報告する
  3. 使用していた端末でパスワードの変更などの操作を行わず、別の端末から変更する
  4. セキュリティソフトでフルスキャンを実施する
  5. 業務に関わるアカウントのログイン履歴・操作ログを確認する

被害を最小限に抑えるためには、「気づいた瞬間に報告する」という行動が何より重要です。
自己判断で放置してしまうと、社内ネットワーク全体への感染拡大や情報漏えいにつながるリスクが高まります。
テレワーク中であっても、インシデント発生時の連絡フローを事前に把握しておきましょう。

6. テレワークで気を付けるべきセキュリティ対策5 情報漏えいを防ぐデータ管理

テレワーク環境では、業務データが社内ネットワークの外に持ち出されたり、クラウド上に保存されたりする機会が格段に増えます。
社内のサーバーで一元管理されていた情報が、自宅のパソコンや個人のスマートフォン、外部のクラウドサービスに分散することで、情報漏えいのリスクは従来のオフィスワーク環境と比べて大幅に高まります。
このセクションでは、テレワーク中に業務データをどのように安全に扱うべきか、具体的かつ実践的な対策を解説します。

6.1 クラウドサービス利用時に気を付けること

Google ドライブやDropbox、OneDriveといったクラウドストレージサービスは、テレワーク中のファイル共有ツールとして非常に便利です。しかし便利さの裏側には、設定を誤ると意図せず社外の第三者にファイルが公開されてしまうリスクが潜んでいます。

まず確認すべきは、ファイルやフォルダの共有設定が「リンクを知っている全員」になっていないかという点です。
この設定のまま共有リンクをメールやチャットに貼り付けると、リンクが流出した際に第三者がアクセスできてしまいます。共有範囲は必ず「特定のユーザーのみ」に限定するよう徹底しましょう。

また、個人のクラウドアカウントと業務用アカウントを混在させないことも重要です。個人アカウントに業務ファイルをアップロードすることは、会社のセキュリティポリシー違反になるだけでなく、アカウント乗っ取りによる情報漏えいにも直結します。
業務で使用するクラウドサービスは、会社が許可・管理しているものに限定するのが鉄則です。

さらに、クラウドサービスへのログインには必ず多要素認証を設定し、不正アクセスを防ぐことも忘れてはなりません。以下の表に、クラウドサービス利用時に確認すべき主なポイントをまとめます。

確認項目リスク推奨される対策
共有設定の範囲第三者への意図しない公開「特定のユーザーのみ」に限定する
アカウントの種類個人アカウントへの業務データ混在業務用アカウントのみ使用する
認証方式不正ログインによるデータ窃取多要素認証を必ず有効にする
利用サービスの許可状況管理外サービスへのデータ流出会社が承認したサービスのみ使用する
ファイルの保持期間・削除設定不要なデータの長期残存不要ファイルは定期的に削除する

6.2 業務データの持ち出しルールを整備する

テレワークでは、業務に必要なファイルをUSBメモリや外付けHDDなどの記憶媒体に保存して持ち運ぶケースがあります。
しかし、こうした物理的な媒体は紛失や盗難のリスクがあり、暗号化されていないデータが入ったUSBメモリをひとつ失うだけで、大規模な情報漏えいにつながる可能性があります。

まず企業側としては、業務データの持ち出しそのものを原則禁止にするか、持ち出し可能なデータの種類・範囲を明確にルール化することが必要です。どうしても持ち出しが必要な場合は、以下の点を遵守することが求められます。

  • 暗号化機能付きのUSBメモリや外付けストレージのみを使用する
  • 持ち出したデータは業務終了後に速やかに削除する
  • 持ち出した記録(日時・データ内容・担当者)を台帳に記録する
  • 業務データを個人のメールアドレス宛てに転送しない

また、テレワーク中に使用するパソコン本体のローカルドライブへの保存も極力避け、データは会社が管理するサーバーやクラウドストレージに保存することを基本ルールとするのが理想的です。
これにより、万が一パソコンが盗難や紛失にあった際のリスクを最小限に抑えることができます。

6.3 画面の覗き見や離席時のロック設定

自宅でテレワークを行う場合でも、カフェやコワーキングスペースなど公共の場所で作業する場合でも、画面に表示された業務情報を第三者に見られてしまう「ビジュアルハッキング(覗き見)」は、見落とされがちな情報漏えいのリスクのひとつです。

公共の場での作業では、プライバシーフィルター(覗き見防止フィルター)をモニターに貼り付けることが有効です。正面からしか画面が見えなくなるため、横や斜め後ろからの覗き見を防ぐことができます。
また、席を離れる際は必ずパソコンの画面をロックする習慣を身につけることが、情報漏えい防止の基本中の基本です。

Windowsの場合は「Windowsキー+L」、Macの場合は「Control+Command+Q」のショートカットキーで即座にロックが可能です。
加えて、設定から「一定時間操作がない場合に自動ロックがかかる」ように設定しておくことで、うっかりロックし忘れた場合のリスクも軽減できます。

さらに自宅でのテレワークにおいては、同居する家族が画面を見てしまうことによる意図しない情報漏えいも考慮すべきです。
業務用のパソコンは家族が立ち入らない専用のスペースで使用し、作業スペースを物理的に分けることが推奨されます。

シーンリスク対策
カフェ・コワーキングスペースでの作業第三者による画面の覗き見プライバシーフィルターの使用・座席の選択に注意する
一時的な離席パソコンへの不正アクセス・画面閲覧ショートカットキーで即座に画面ロックする
長時間の離席・操作なしロックし忘れによる画面の露出自動ロックの時間設定を短く設定する(目安:5分以内)
自宅での作業同居する家族による意図しない情報閲覧専用スペースを設け、家族が入らないようにする

データ管理における情報漏えい対策は、高度な技術知識がなくても今日から実践できるものばかりです。
「自分だけは大丈夫」という油断こそが最大のセキュリティホールであることを常に意識し、一つひとつの習慣を徹底することが重要です。
テレワークを安全に継続するために、まず自分の日常的なデータの扱い方を見直すところから始めてみましょう。

7. 企業が取り組むべきテレワークのセキュリティルール整備

テレワークにおけるセキュリティリスクは、従業員一人ひとりの意識や行動だけでカバーできるものではありません。
企業として組織的にルールを整備し、仕組みとして安全な環境を作ることが、テレワークセキュリティの根幹を支えます。
ここでは、企業が具体的に取り組むべきセキュリティルールの整備方法について、わかりやすく解説します。

7.1 セキュリティポリシーの策定と従業員教育

テレワークを安全に運用するためには、まず社内のセキュリティポリシーを明文化することが不可欠です。
セキュリティポリシーとは、企業が情報資産をどのように守るかを定めた基本方針・規則のことを指します。
テレワーク導入後に新たに生じるリスクに対応するため、既存のポリシーを見直すか、テレワーク専用のガイドラインを追加で策定することが求められます。

セキュリティポリシーに盛り込むべき主な項目は以下のとおりです。

カテゴリ主な記載内容
デバイス管理業務端末の指定、私用端末(BYOD)の可否と条件、紛失・盗難時の報告手順
通信環境使用可能なネットワークの条件、VPN利用の義務付け、フリーWi-Fi利用の禁止事項
データ管理業務データの保存場所、クラウドサービスの使用可否、持ち出しデータの暗号化ルール
アクセス制御パスワードの設定基準、多要素認証の適用範囲、アクセス権限の付与と管理手順
不審事象への対応フィッシングメール受信時の対応手順、マルウェア感染時の報告ルート

ポリシーを策定しただけでは意味がありません。策定したセキュリティポリシーを全従業員に周知し、定期的な教育・研修を通じて実践できるレベルまで落とし込むことが重要です。
特に、テレワーク中に発生しやすいフィッシング詐欺や不審メールへの対処、パスワード管理の徹底などは、繰り返しトレーニングを行うことで、従業員一人ひとりのセキュリティ意識を底上げできます。

研修の実施形式としては、対面セミナーだけでなく、eラーニングを活用することでテレワーク中の従業員にも無理なく学習機会を提供できます。また、定期的に模擬フィッシングメールを送信して従業員の反応を確認する「フィッシングシミュレーション」を取り入れている企業も増えており、実効性の高い教育手法として注目されています。

7.1.1 セキュリティポリシーの見直しタイミング

セキュリティポリシーは一度作成して終わりではなく、定期的な見直しが欠かせません。
新たな攻撃手法の登場、使用ツールの変更、法令・ガイドラインの改定など、社内外の状況変化に応じてポリシーをアップデートすることで、常に実態に即したセキュリティ体制を維持できます。
目安として、少なくとも年に1回は内容を確認・改訂する運用ルールを設けることを推奨します。

7.2 インシデント発生時の対応フローを用意する

どれだけ万全なセキュリティ対策を講じていても、サイバー攻撃や情報漏えいなどのセキュリティインシデントがゼロになるとは断言できません。インシデントが発生したときに被害を最小限に抑えるには、事前に対応フローを整備しておくことが不可欠です。
いざというときに担当者が迷わず動けるよう、フローを明確に定めておきましょう。

一般的なインシデント対応フローは、以下のような流れで構成されます。

フェーズ対応内容担当
①検知・報告異常を発見した従業員が速やかに情報システム部門または担当窓口へ報告する従業員・情報システム部門
②初動対応被害拡大を防ぐため、該当端末をネットワークから切り離す、パスワードを変更するなどの措置を行う情報システム部門・管理者
③原因調査インシデントの発生原因・影響範囲・漏えいした可能性のある情報を特定する情報システム部門・外部専門家
④復旧対応安全が確認されたシステム・端末を順次復旧させ、業務を再開する情報システム部門・関係部署
⑤再発防止インシデントの原因をもとに対策を強化し、必要に応じてポリシーを改訂する経営層・情報システム部門

対応フローを整備する際には、報告先・連絡経路・意思決定権者を明確にすることが特に重要です。
テレワーク中は担当者が離れた場所にいるため、誰に・何を・どの手段で報告するかをあらかじめ定め、全従業員に周知しておく必要があります。
チャットツールや電話など、複数の連絡手段を用意しておくと、緊急時でもスムーズに連携がとれます。

7.2.1 CSIRT(シーサート)の設置を検討する

一定規模以上の企業では、セキュリティインシデントに専門的に対応する組織である「CSIRT(Computer Security Incident Response Team)」の設置が有効です。CSIRTを設けることで、インシデント対応の専門チームが迅速に動ける体制が整い、被害拡大の防止や早期復旧につながります。自社でCSIRTを組成することが難しい中小企業の場合は、外部のセキュリティ専門会社にインシデント対応支援を委託することも現実的な選択肢の一つです。

7.2.2 従業員が報告しやすい環境づくり

インシデント対応で見落とされがちな視点が、従業員が「報告しやすい環境」を整えることです。万が一、誤ってフィッシングメールのリンクを開いてしまったり、端末を紛失してしまったりした際に、従業員が「怒られるかもしれない」という心理的プレッシャーから報告をためらうケースがあります。
報告を責めるのではなく迅速な対応を最優先とする文化を醸成することで、インシデントの早期発見・早期対処が実現します。
報告した従業員を責めない方針を明文化し、組織全体に浸透させることが、セキュリティ体制の強化につながります。

8. まとめ

テレワークにおけるセキュリティリスクは、通信環境・デバイス管理・パスワード・フィッシング詐欺・情報漏えいの5つの観点から対策を講じることが重要です。
自宅のWi-Fiルーターを適切に設定し、VPNを活用することで通信の安全性を高められます。
また、OSやソフトウェアは常に最新の状態を保ち、多要素認証を導入することで不正アクセスのリスクを大幅に減らせます。

不審なメールやリンクには絶対に安易に触れず、業務データの取り扱いルールを明確にすることで、情報漏えいの被害を未然に防ぐことができます。
企業側もセキュリティポリシーの整備と従業員教育を徹底し、インシデント発生時の対応フローを事前に準備しておくことが求められます。
テレワークを安全に継続するためには、個人と企業が一体となって対策に取り組むことが何より大切です。

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