
シングルサインオンとは、一度の認証で複数のシステムやサービスにログインできる仕組みのことです。
この記事では、シングルサインオンの基本的な意味から、認証と認可の違い、SAMLやOAuthといった代表的なプロトコル、フェデレーション方式やエージェント方式などの仕組みまで、初心者にもわかりやすく解説します。
導入するメリットだけでなく、一元管理によるリスク集中や障害発生時の影響範囲といった注意点も併せて紹介するため、自社に合った導入方法や選び方まで具体的に理解できます。
パスワード管理の負担軽減やセキュリティ強化を実現したい担当者の方は、ぜひ最後まで読み進めてください。
1. シングルサインオンとは何か基本を理解しよう
1.1 シングルサインオンの基本的な意味
シングルサインオン(SSO:Single Sign-On)とは、一度の認証情報でログインするだけで、複数の異なるシステムやサービスにアクセスできるようになる仕組みのことです。
通常、業務で利用するクラウドサービスや社内システムごとに、それぞれ異なるIDとパスワードを入力してログインする必要がありますが、シングルサインオンを導入することで、最初に一度だけ認証を行えば、その後は個別にログインし直すことなく、関連づけられた複数のサービスを利用できるようになります。
たとえば、朝の始業時にパソコンへログインした後、メールソフト、勤怠管理システム、社内ポータル、クラウドストレージなど、日々の業務で使うツールを次々と開く場面を想像してみてください。
シングルサインオンが導入されていない環境では、そのたびにIDとパスワードの入力を求められ、業務開始までに時間がかかってしまいます。
シングルサインオンはこうした手間を解消し、業務効率を高めるための重要な仕組みとして位置づけられています。
1.2 シングルサインオンが注目される背景
近年、シングルサインオンへの注目が急速に高まっている背景には、企業におけるクラウドサービスの利用拡大があります。
かつては社内サーバーで一元的に管理していた業務システムも、現在ではメール、勤怠管理、経費精算、チャットツール、オンラインストレージなど、多種多様なクラウドサービスをそれぞれ個別に契約して利用するケースが一般的になりました。
利用するサービスの数が増えるほど、従業員が管理しなければならないIDとパスワードの組み合わせも増加します。
その結果、パスワードの使い回しや、簡単なパスワードの設定といった、セキュリティ上のリスクが高まる問題が指摘されるようになりました。
また、テレワークやリモートワークの普及により、社外から複数のクラウドサービスへ安全かつスムーズにアクセスできる仕組みへの需要も高まっています。
こうした背景から、多くの企業がシングルサインオンの導入を検討するようになっています。
1.3 シングルサインオンとID管理の関係
シングルサインオンは、単にログインの手間を減らすだけでなく、企業全体のID管理を効率化するという側面でも重要な役割を果たします。
従業員一人ひとりが利用するサービスごとに個別のIDを管理していると、退職者のアカウント削除漏れや、部署異動時の権限変更の対応漏れといった管理上のリスクが発生しやすくなります。
シングルサインオンの仕組みを導入すると、ID情報を一元的なシステムで管理できるようになるため、情報システム部門は従業員のアカウント発行や削除、権限変更といった作業を効率的に行えるようになります。
以下の表は、シングルサインオン導入前と導入後におけるID管理の違いを整理したものです。
| 項目 | シングルサインオン導入前 | シングルサインオン導入後 |
|---|---|---|
| ID・パスワードの数 | 利用サービスごとに個別に存在 | 一つの認証情報に統合 |
| アカウント管理の手間 | サービスごとに個別対応が必要 | 一元管理システムで一括対応可能 |
| 退職・異動時の対応 | 各サービスで個別に削除・変更が必要 | 一元管理システムから一括で反映可能 |
このように、シングルサインオンはID管理の効率化という観点からも、企業のセキュリティガバナンス強化に貢献する仕組みであるといえます。
2. シングルサインオンの仕組みを解説
シングルサインオンがどのように実現されているのか、その裏側の仕組みを理解しておくと、導入時の判断材料としてとても役立ちます。
ここでは認証と認可の違いといった基礎知識から、実際の認証フロー、代表的な方式やプロトコルまで、順を追って解説していきます。
2.1 認証と認可の違い
シングルサインオンの仕組みを理解するうえで欠かせないのが「認証」と「認可」という2つの概念です。この2つは混同されやすいものの、意味は明確に異なります。
認証(Authentication)とは、「そのユーザーが本人であるかどうか」を確認するプロセスを指します。
IDとパスワードの入力、あるいは生体認証などによって、システムがユーザー本人であることを確認する工程がこれにあたります。
一方、認可(Authorization)とは、「認証されたユーザーに対して、どの範囲までの操作やアクセスを許可するか」を決定するプロセスです。
たとえば同じ社内システムにログインできても、部署や役職によって閲覧できる情報や利用できる機能が異なるのは、この認可の仕組みによるものです。
シングルサインオンは主に「認証」を一元化する仕組みですが、多くのサービスでは認証後に認可の処理が組み合わされることで、安全性を保ちながら利便性の高いアクセス制御を実現しています。
| 項目 | 認証(Authentication) | 認可(Authorization) |
|---|---|---|
| 目的 | 本人確認を行う | アクセス権限を決定する |
| タイミング | ログイン時 | 認証後のアクセス時 |
| 具体例 | ID・パスワードの入力 | 閲覧可能な情報や機能の制限 |
2.2 シングルサインオンの認証フロー
シングルサインオンの認証フローは、一般的に以下のような流れで進みます。ユーザーがシステムにアクセスすると、まず認証サーバーへ自動的にリダイレクトされ、そこで認証が完了すると、元のシステムへ戻ってアクセスが許可されるという仕組みです。
この一連の流れによって、ユーザーは複数のシステムごとにログイン作業を行う必要がなくなり、一度の認証だけで複数のサービスを利用できるようになります。
ただし、この認証フローを実現する方式にはいくつかの種類があり、それぞれ仕組みや特徴が異なります。
2.2.1 フェデレーション方式の仕組み
フェデレーション方式は、現在最も広く使われているシングルサインオンの実現方式です。
この方式では、認証を専門に行う「IDプロバイダー」と呼ばれるサーバーが存在し、各システムはこのIDプロバイダーに認証を委任します。
ユーザーがログインすると、IDプロバイダーが認証を行い、認証結果を証明する情報(トークンやアサーションと呼ばれるデータ)を各システムに渡します。
各システムはこの情報を信頼することで、改めてパスワードの入力を求めることなくアクセスを許可します。
クラウドサービスの利用が増えた現在では、社内外の複数システムを横断的に連携できるこのフェデレーション方式が主流となっています。
2.2.2 エージェント方式の仕組み
エージェント方式は、シングルサインオンの対象となる各システムに「エージェント」と呼ばれる小さなプログラムを導入する方式です。
このエージェントが認証サーバーと連携し、ユーザーの認証状態を確認したうえでアクセスの可否を判断します。
オンプレミス環境で運用されている社内システムなど、既存のシステムに手を加えずに導入したい場合に用いられることが多い方式です。
ただし、対象システムの数が増えるほど、それぞれにエージェントを設定する手間が発生する点には注意が必要です。
2.2.3 リバースプロキシ方式の仕組み
リバースプロキシ方式は、ユーザーと各システムの間に「リバースプロキシサーバー」を設置し、すべての通信をこのサーバー経由で行う方式です。
ユーザーからのアクセスはまずリバースプロキシサーバーで認証され、認証が完了して初めて背後にあるシステムへとアクセスが中継されます。
この方式のメリットは、対象システム側に特別な改修を加える必要がない点です。
一方で、すべての通信がリバースプロキシサーバーを経由するため、このサーバーの処理能力や可用性がシステム全体のパフォーマンスに直結するという側面もあります。
2.3 SAMLやOAuthなど代表的なプロトコル
シングルサインオンを実現するためには、システム間で認証情報を安全にやり取りするための共通のルール、すなわち「プロトコル」が必要です。
代表的なプロトコルには、それぞれ異なる特徴と用途があります。
| プロトコル名 | 主な特徴 | よく使われる場面 |
|---|---|---|
| SAML | XML形式で認証情報をやり取りする、企業向けシステムで広く採用される規格 | 社内システムやクラウド型業務アプリケーションの連携 |
| OAuth | 認可に特化した仕組みで、外部サービスへのアクセス権限を安全に付与できる | SNS連携や外部アプリとの権限連携 |
| OpenID Connect | OAuthをベースに認証機能を追加した規格 | Webサービスやスマートフォンアプリの認証 |
これらのプロトコルは単体で使われることもあれば、組み合わせて利用されることもあります。
導入を検討する際には、自社が利用しているシステムがどのプロトコルに対応しているかを事前に確認しておくことが、スムーズな導入につながります。
3. シングルサインオンを導入するメリット
シングルサインオンを導入することで、ユーザー・情報システム部門・経営層それぞれに具体的なメリットが生まれます。
ここでは、導入によって得られる代表的な効果を4つの観点から詳しく解説していきます。
3.1 ユーザーの利便性向上
複数のシステムやクラウドサービスを利用する業務環境では、サービスごとに異なるIDとパスワードを入力する手間が発生します。
シングルサインオンを導入すれば、一度の認証で複数のサービスにアクセスできるようになり、業務効率が大きく向上します。
ログイン画面での待ち時間や再入力の手間が減ることで、本来の業務に集中できる時間が増える点も見逃せないメリットです。
特にテレワークやハイブリッドワークが浸透した現在では、社外から複数のクラウドサービスにアクセスする機会が増えています。
そのたびに認証を求められると業務のテンポが崩れてしまいますが、シングルサインオンによってスムーズなアクセスが可能になり、快適な作業環境を実現できます。
3.2 パスワード管理の負担軽減
サービスごとに異なるパスワードを設定し記憶しておくことは、ユーザーにとって大きな負担です。パスワードを忘れてしまい、都度リセット申請を行うといった経験をした方も多いのではないでしょうか。
シングルサインオンを導入すると、管理すべきパスワードが1つに集約されるため、失念や使い回しによるリスクを減らせます。
パスワードの使い回しは、あるサービスから情報が漏えいした際に、他のサービスへの不正アクセスにつながる危険性があります。
シングルサインオンによってパスワードの数自体を減らすことは、こうした二次被害の防止にも役立ちます。
3.3 情報システム部門の運用コスト削減
企業の情報システム部門にとって、パスワード関連の問い合わせ対応は日常的な業務負担のひとつです。「パスワードを忘れた」「アカウントがロックされた」といった問い合わせは、対応件数が多いほど担当者の工数を圧迫します。
シングルサインオンの導入により、管理対象となるアカウント数が減少し、こうした問い合わせ対応の工数を大幅に削減できます。
また、従業員の入社・異動・退職時のアカウント管理も効率化されます。
ID管理システムと連携させることで、アカウントの発行や権限変更、削除といった作業を一元的に行えるようになり、管理の属人化を防ぐ効果も期待できます。
| 導入前の課題 | シングルサインオン導入後の効果 |
|---|---|
| パスワード再設定の問い合わせが多い | 問い合わせ件数の減少 |
| アカウント管理がシステムごとに分散 | アカウント情報の一元管理が可能 |
| 退職者のアカウント削除漏れリスク | 一括での権限剥奪が可能 |
3.4 セキュリティ強化につながる理由
シングルサインオンは利便性だけでなく、セキュリティ強化の側面でも注目されています。
個々のサービスで簡易なパスワードが設定されてしまうリスクを抑え、認証基盤を一元化することで統一されたセキュリティポリシーを適用しやすくなります。
さらに、多要素認証と組み合わせることで、認証の強度をさらに高めることも可能です。
アクセスログを一元的に収集できるため、不審なログインの検知や監査対応もスムーズに行えるようになります。
ただし、認証基盤そのものが攻撃対象となるリスクも存在するため、後述する注意点も併せて理解しておくことが重要です。
4. シングルサインオン導入時の注意点とデメリット
シングルサインオンは業務効率化やセキュリティ強化に役立つ仕組みですが、導入にあたってはいくつかの注意点も存在します。
メリットだけに目を向けるのではなく、リスクを正しく理解したうえで対策を講じることが、安全な運用には欠かせません。ここでは代表的な注意点とデメリットについて、初心者にもわかりやすく解説します。
4.1 一元管理によるリスク集中
シングルサインオンは一つの認証情報で複数のシステムにアクセスできる仕組みであるため、利便性が高い反面、認証情報が漏えいした場合の被害範囲が非常に大きくなるという特性があります。
個別にパスワードを設定している場合は、一つのアカウントが乗っ取られても被害は限定的ですが、シングルサインオンでは連携しているすべてのシステムに不正アクセスされる可能性が生じます。
そのため、導入時には多要素認証を組み合わせるなど、認証の強度を高める対策が重要になります。IDとパスワードだけに頼らず、ワンタイムパスワードや生体認証などを併用することで、一元管理によるリスクを大幅に軽減できます。
4.2 障害発生時の影響範囲
シングルサインオンの認証基盤に障害が発生すると、連携しているすべてのシステムにログインできなくなる可能性があります。
個別認証であれば一部のシステムが利用できなくなるだけで済みますが、シングルサインオンでは業務全体が停止してしまうリスクがある点に注意が必要です。
この課題に対応するためには、認証基盤の冗長化やバックアップ体制の構築が求められます。クラウド型のサービスを選ぶ場合は、提供事業者の稼働率やサポート体制、障害発生時の対応方針を事前に確認しておくことが大切です。以下の表に、障害対策として検討すべきポイントをまとめます。
| 対策項目 | 内容 |
|---|---|
| 冗長構成 | 認証サーバーを複数用意し、単一障害点をなくす |
| 稼働率の確認 | クラウド型サービスのSLA(サービス品質保証)を事前に確認する |
| 緊急時の代替手段 | 障害発生時に個別ログインへ切り替えられる仕組みを準備する |
| 監視体制 | 認証基盤の稼働状況を常時監視し、異常を早期検知する |
4.3 対応していないシステムがある場合の課題
すべての業務システムがシングルサインオンに対応しているとは限りません。特に古くから利用している基幹システムや、特定の業務に特化した専用ソフトウェアなどでは、シングルサインオンの認証プロトコルに対応していないケースがあります。
対応していないシステムが残っている場合、そのシステムだけ個別にログインする必要があり、利便性向上の効果が限定的になってしまいます。
この課題を解決するためには、導入前に自社で利用している全システムの対応状況を洗い出し、必要に応じて連携方式を検討することが重要です。
フェデレーション方式に対応していないシステムであっても、エージェント方式やリバースプロキシ方式を活用することで連携できる場合もあるため、システムごとに最適な方式を選定する視点が求められます。
また、こうした認証基盤を安定的に稼働させるためには、サーバーやクライアント端末の処理性能も重要な要素となります。
特に多くの社員が同時にログインする環境では、端末側の性能不足が認証の遅延やシステム全体のもたつきにつながることもあります。業務用パソコンを選定する際は、3年故障率1%未満という高い信頼性を誇るブルックテックPCのBTOパソコンのように、安定稼働を前提に設計されたマシンを選ぶことで、認証システム導入後のトラブルを未然に防ぐことにもつながります。
5. シングルサインオンの導入方法と選び方
シングルサインオンを実際に導入する際には、提供形態の違いや自社の環境に合ったサービス選び、そして導入までの具体的な手順を理解しておくことが大切です。
パソコン初心者の方にもわかりやすいように、それぞれのポイントを丁寧に解説していきます。
5.1 クラウド型とオンプレミス型の違い
シングルサインオンのサービスには、大きく分けてクラウド型とオンプレミス型の2つの提供形態があります。
クラウド型は、サービス事業者が提供する環境をインターネット経由で利用する方式で、自社にサーバーを設置する必要がありません。
導入までのスピードが早く、初期費用を抑えられる点が特徴です。一方のオンプレミス型は、自社内にサーバーを構築してシングルサインオンの仕組みを運用する方式です。セキュリティポリシー上、社外にデータを出せない企業や、既存システムとの連携を細かくカスタマイズしたい企業に向いています。
それぞれにメリットとデメリットがあるため、自社の運用体制やセキュリティ要件と照らし合わせながら選ぶことが重要です。以下の表に主な違いをまとめました。
| 比較項目 | クラウド型 | オンプレミス型 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 比較的低い | サーバー構築費用がかかり高くなりやすい |
| 導入スピード | 早い | 設計や構築に時間がかかる |
| 運用・保守 | 事業者側が対応 | 自社の情報システム部門が対応 |
| カスタマイズ性 | 提供されている範囲内 | 自由度が高い |
| 向いている企業 | スピード重視・情シス人員が少ない企業 | 厳格なセキュリティ要件がある企業 |
5.2 自社に合ったサービスを選ぶポイント
シングルサインオンのサービスは数多く存在するため、どれを選べばよいか迷う方も多いのではないでしょうか。選定の際には、以下のようなポイントを確認することが大切です。
まず重要なのが、自社で利用しているシステムやクラウドサービスとの連携実績です。
導入を検討しているサービスが、社内で使っている業務システムやグループウェアに対応しているかどうかを事前に確認しましょう。対応していない場合、思うようにシングルサインオンの効果を得られない可能性があります。
次に、対応している認証プロトコルの種類も確認しておきたいポイントです。
SAMLやOAuthといった標準的なプロトコルに対応していれば、幅広いシステムとの連携がしやすくなります。
また、セキュリティ機能の充実度も見逃せません。多要素認証との組み合わせが可能か、不正アクセスを検知する仕組みがあるかなど、セキュリティ強化の観点からも比較検討することをおすすめします。
加えて、サポート体制やコスト面も重要な判断材料です。
導入後のトラブル対応や問い合わせ窓口の充実度、利用人数やライセンス数に応じた料金体系についても、事前にしっかり確認しておきましょう。
5.3 導入までの流れとステップ
シングルサインオンの導入は、一般的に次のようなステップで進められます。
まず、自社にどのようなシステムがあり、どのユーザーがどのシステムにアクセスしているかを洗い出す「現状把握」から始まります。この段階で、連携が必要なシステムの数や種類を明確にしておくことが、後の作業をスムーズに進める鍵となります。
次に、要件定義のフェーズに移ります。どの認証方式を採用するか、クラウド型かオンプレミス型かといった提供形態の選定、セキュリティポリシーとの整合性などを検討します。
この段階で自社に合ったサービスの候補を絞り込んでいきます。
要件が固まったら、実際の設定作業に入ります。連携するシステムごとに認証情報を設定し、テスト環境で正しく動作するかを確認します。
特に業務に影響が出ないよう、本番環境へ適用する前のテストは入念に行うことが重要です。
テストで問題がなければ、いよいよ本番環境への展開です。
全社的に利用を開始する前に、一部の部署やユーザーで先行導入を行い、運用上の課題がないかを確認するケースも多く見られます。
導入後は、利用状況のモニタリングや、新しく追加されるシステムへの対応、定期的なセキュリティ見直しといった運用フェーズに入ります。
シングルサインオンは導入して終わりではなく、継続的に運用・改善していくことが、その効果を最大限に発揮するために欠かせません。
なお、シングルサインオンのような認証システムを安定的かつ安全に稼働させるためには、社内の認証サーバーやクライアント端末そのものの性能や信頼性も重要な要素となります。
特に情報システム部門が管理する業務用パソコンは、長時間の稼働や複数のセキュリティソフトの同時運用にも耐えうる高い耐久性が求められます。
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6. シングルサインオンに関するよくある質問
シングルサインオンについて理解を深めていくと、関連する技術や利用シーンについて疑問が出てくる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、特に質問が多い2つのテーマについて、プロのエンジニアがパソコン初心者にもわかりやすいようにひとつずつ丁寧に解説していきます。
6.1 多要素認証との違いは何か
シングルサインオンと混同されやすい言葉に「多要素認証」があります。
この2つは目的も仕組みも異なるものなので、違いをしっかり整理しておきましょう。
シングルサインオンは「一度の認証で複数のシステムにログインできるようにする仕組み」であるのに対し、多要素認証は「一つのシステムへのログイン時に複数の要素を組み合わせて本人確認を行う仕組み」です。
つまり、シングルサインオンが「ログインの回数を減らす」ことを目的としているのに対し、多要素認証は「ログインの安全性を高める」ことを目的としています。
多要素認証で用いられる要素には、主に次の3種類があります。
| 要素の種類 | 具体例 |
|---|---|
| 知識情報 | パスワード、暗証番号、秘密の質問 |
| 所持情報 | スマートフォン、ICカード、ワンタイムパスワード生成デバイス |
| 生体情報 | 指紋認証、顔認証、静脈認証 |
実際の運用では、シングルサインオンと多要素認証は対立する概念ではなく、組み合わせて使われることが一般的です。
シングルサインオンの認証時に多要素認証を組み込むことで、利便性と安全性を両立させることができます。
たとえば、初回のログイン時にはパスワードに加えてスマートフォンアプリでの承認を求め、その後は他のシステムへシングルサインオンで自動的にログインできるようにする、といった運用が可能です。
一元管理によって認証情報が集中するシングルサインオンだからこそ、その入り口となる認証を多要素認証で強化しておくことは、セキュリティ対策として非常に有効な考え方といえます。
6.2 無料で使えるシングルサインオンはあるか
結論からお伝えすると、無料で利用できるシングルサインオンの仕組みは存在します。ただし、無料であるがゆえの制約や注意点も理解した上で選ぶことが大切です。
無料で利用できるシングルサインオンには、主に次のようなパターンがあります。
- クラウドサービスに標準で搭載されている無料プランの認証機能
- オープンソースで公開されている認証基盤ソフトウェア
- 特定のプラットフォーム内のサービス間のみで完結する無料の連携機能
これらの無料プランは、個人利用や小規模なチームでの利用には向いていますが、法人でのビジネス利用を想定した場合、利用できるユーザー数の上限や連携できるシステムの数に制限があるケースがほとんどです。
また、無料のオープンソース製品を利用する場合は、サーバーの構築や運用、セキュリティアップデートの対応などを自社で行う必要があり、結果として人件費や運用の手間がかかってしまうことも少なくありません。
特に、複数の部署や拠点をまたいで多くの従業員が利用するような環境では、無料プランの制限にすぐに達してしまい、有料プランへの移行が必要になる場合が多く見られます。
導入初期のコストだけでなく、事業の成長や従業員数の増加を見据えた上で、無料か有料かを検討することが重要です。
なお、シングルサインオンをはじめとする認証システムを安定的に運用するためには、サーバーやクライアント端末となるパソコンそのものの安定性も欠かせません。認証の管理やシステム連携の作業を日々行う情報システム部門にとって、業務中の予期せぬ故障や動作の不安定さは大きな負担となります。
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7. まとめ
シングルサインオンとは、一度の認証で複数のシステムやサービスにログインできる仕組みのことです。パスワードの使い回しやID管理の煩雑さといった課題を解消し、ユーザーの利便性向上と情報システム部門の運用負担軽減の両方を実現できる点が、多くの企業に採用されている理由です。
一方で、一元管理による認証情報の集中や、障害発生時に複数システムへ影響が及ぶ可能性がある点には注意が必要で、導入時にはクラウド型かオンプレミス型か、自社の環境に合った方式を見極めることが重要になります。
こうした業務効率化やセキュリティ強化を進めるうえでは、システム側の仕組みだけでなく、それを支えるパソコン自体の性能や安定性も欠かせない要素です。
認証処理や複数アプリケーションの同時利用など、日常的に高い負荷がかかる業務環境では、動作の安定した高耐久なパソコンを選ぶことが、結果的に業務トラブルの防止につながります。
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