
NGAV(次世代アンチウイルス)は、従来のウイルス対策ソフトでは防ぎきれなかったゼロデイ攻撃やファイルレスマルウェアといった高度な脅威に対応するために生まれた、新世代のエンドポイントセキュリティ技術です。
この記事では、NGAVの基本的な仕組みから、従来型アンチウイルスとの違い、機械学習・AIを活用した検知技術の特徴、導入するメリットと注意点、さらにEDRやXDRとの連携方法まで、セキュリティ担当者が知っておくべき情報をわかりやすくお伝えします。NGAVの導入を検討している方も、セキュリティ対策の見直しを考えている方も、ぜひ参考にしてください。
1. NGAV(次世代アンチウイルス)とは何か
1.1 NGAVの基本的な定義と概要
NGAV(Next Generation Antivirus)とは、従来のアンチウイルスソフトが抱える検知技術の限界を克服するために開発された、次世代型のエンドポイント向けセキュリティソリューションです。
日本語では「次世代アンチウイルス」と呼ばれ、セキュリティ業界においてエンドポイント保護の新しいスタンダードとして急速に普及しています。
従来のアンチウイルスソフトは、既知のマルウェアの特徴情報(シグネチャ)をデータベース化し、ファイルとの照合によって脅威を検知する仕組みを採用していました。
しかしNGAVは、そのような「既知の脅威のリスト」に頼るのではなく、機械学習(AI)や振る舞い検知といった高度な技術を組み合わせることで、未知の脅威やゼロデイ攻撃にも対応できる点が最大の特徴です。
NGAVはパソコンやサーバーなどのエンドポイント上で動作し、プログラムの実行前後における挙動を継続的に監視・分析します。これにより、シグネチャデータベースに登録されていないマルウェアや、ファイルを使わずにメモリ上で動作するファイルレスマルウェアといった、現代の高度なサイバー脅威にも有効な防御を実現します。
1.2 NGAVが登場した背景と必要性
NGAVが登場した背景には、サイバー攻撃の手口が急速に高度化・多様化したという時代的な変化があります。2000年代までのマルウェアは比較的シンプルな構造のものが多く、シグネチャベースの検知で十分に対応できていました。しかし2010年代以降、攻撃者はより巧妙な手法を用いるようになり、従来のアンチウイルスでは対応しきれないケースが増加しました。
特に注目すべき変化として、以下のような脅威の台頭が挙げられます。
| 脅威の種類 | 概要 | 従来対策の限界 |
|---|---|---|
| ゼロデイ攻撃 | ソフトウェアの脆弱性が公表される前に悪用される攻撃手法 | シグネチャが存在しないため検知不可 |
| ファイルレスマルウェア | ファイルを使用せずメモリ上で動作するマルウェア | ファイルスキャンでは検出できない |
| 標的型攻撃(APT) | 特定の組織を狙った長期的・継続的なサイバー攻撃 | カスタムマルウェアはシグネチャ未登録 |
| ランサムウェア | データを暗号化し身代金を要求するマルウェア | 亜種の量産により定義ファイル更新が追いつかない |
| 多形型マルウェア | 自身のコードを変化させて検知を回避するマルウェア | コードが変わるたびにシグネチャが無効化される |
このような攻撃の進化に対し、既存のシグネチャベース検知だけでは企業や組織のエンドポイントを守ることが困難になったという現実が、NGAVという新しいセキュリティ技術の必要性を生み出しました。
特に、リモートワークの普及やクラウド活用の拡大により、社外に持ち出されるエンドポイント端末が急増したことも、エンドポイント単体での高度な防御能力を求める声を強める要因となっています。
1.3 NGAVが注目される理由
NGAVが多くの企業・組織から注目を集めている理由は、単に「新しいセキュリティ製品だから」ではありません。現実のサイバー攻撃に対して、従来のアンチウイルスでは防ぎきれなかった脅威を実際に検知・阻止できる実績が評価されているからです。
たとえば、AIや機械学習を活用したNGAVは、過去のマルウェアのパターンや正常なプログラムの振る舞いを大量のデータから学習しており、シグネチャが存在しない新種マルウェアであっても、その挙動の異常さをリアルタイムで検出することができます。これは、後述するシグネチャベースの検知とは根本的に異なるアプローチです。
また、NGAVはクラウドと連携して動作する製品が多く、最新の脅威インテリジェンスを常に参照しながらエンドポイントを保護できます。従来のように定義ファイルのアップデートを待つ必要がなく、常に最新の脅威情報をもとにしたリアルタイム保護が可能という点も、注目度が高い理由のひとつです。
さらに、日本国内においても経済産業省や独立行政法人情報処理推進機構(IPA)がサイバーセキュリティ対策の強化を呼びかけており、エンドポイントセキュリティの見直しを進める企業が増加しています。このような社会的な背景も相まって、NGAVは現代のセキュリティ対策における重要な選択肢として広く認識されるようになっています。
2. 従来のアンチウイルスとNGAVの違い
2.1 従来のアンチウイルスの仕組みと限界
従来のアンチウイルスソフト(レガシーAV)は、既知のマルウェアの特徴的なコードパターンを記録した「シグネチャ(定義ファイル)」と、スキャン対象のファイルを照合することで脅威を検知するという仕組みを採用しています。この方式は長年にわたってウイルス対策の中心として機能してきており、既知の脅威に対する検知精度は一定水準を保っています。
しかしながら、現代のサイバー脅威を取り巻く環境は大きく変化しており、従来のシグネチャベースの検知方式にはいくつかの根本的な限界があります。主な課題を整理すると、以下のとおりです。
- 未知のマルウェアに対応できない:シグネチャに登録されていない新種・亜種のマルウェアは、スキャンをすり抜けてしまいます。
- 定義ファイルの更新に遅延が生じる:新たな脅威が確認されてからシグネチャが作成・配布されるまでの間、エンドポイントはノーガードの状態になりえます。
- ファイルレスマルウェアを検知しにくい:ディスクにファイルを書き込まず、OSの正規プロセスやメモリ上で動作する攻撃手法に対しては、ファイルスキャンが根本的に機能しません。
- 難読化・暗号化されたマルウェアに弱い:コードを変形・暗号化して特徴パターンを意図的に変えた「ポリモーフィック型マルウェア」や「メタモーフィック型マルウェア」は、シグネチャ照合を回避できます。
攻撃者はこれらの弱点を熟知しており、意図的にシグネチャ検知を回避する手法を取り入れた攻撃が年々増加しています。従来のアンチウイルスだけではもはや十分なエンドポイント防御を実現することが難しい状況となっており、これがNGAV登場の直接的な背景となっています。
2.2 NGAVが採用する検知技術の特徴
NGAV(次世代アンチウイルス)は、シグネチャへの依存を大幅に低減し、複数の先進的な検知技術を組み合わせることで、未知の脅威や回避型の攻撃にも対応できるよう設計されています。
NGAVが採用する代表的な検知アプローチは次のとおりです。
- 機械学習(Machine Learning):大量のマルウェアと正常ファイルのデータを学習させたモデルを用いて、ファイルの構造・属性・コードの特徴などからマルウェアである確率を推定します。シグネチャが存在しない未知のファイルにも対応できる点が大きな強みです。
- 振る舞い検知(ビヘイビア分析):プロセスの動作・API呼び出し・ファイルやレジストリへのアクセスパターンなどをリアルタイムで監視し、不審な挙動を検知します。ファイル単体ではなく「動作」を見るため、難読化された脅威やファイルレスマルウェアにも有効です。
- エクスプロイト防御:既知・未知を問わず、脆弱性を悪用しようとするエクスプロイト手法そのものをブロックする機能を持ちます。
- クラウドインテリジェンス:クラウド上の脅威インテリジェンスプラットフォームと連携し、世界中のエンドポイントから収集したリアルタイムの脅威情報を検知に活用します。
これらの技術を組み合わせることで、シグネチャが存在しないゼロデイ攻撃や、正規ツールを悪用した「Living off the Land(環境寄生型)」攻撃に対しても高い検知能力を発揮することがNGAVの最大の特徴です。
2.3 シグネチャベース検知との比較
従来のシグネチャベース検知とNGAVの検知アプローチは、根本的な考え方から異なります。以下の表に、両者の主な違いを整理します。
| 比較項目 | 従来のアンチウイルス(シグネチャベース) | NGAV(次世代アンチウイルス) |
|---|---|---|
| 主な検知方式 | 既知マルウェアのシグネチャ(定義ファイル)との照合 | 機械学習・振る舞い検知・クラウドインテリジェンスなどの組み合わせ |
| 未知の脅威への対応 | 困難(シグネチャが存在しないため検知できない) | 対応可能(パターンではなく特徴・挙動を分析) |
| ゼロデイ攻撃への対応 | 対応困難 | 対応可能(AIモデルや振る舞い分析で検知) |
| ファイルレスマルウェアへの対応 | 対応困難(ファイルスキャンが機能しない) | 対応可能(プロセス・メモリ上の動作を監視) |
| 定義ファイルの更新 | 定期的な更新が必須 | クラウドとの連携により更新負荷が大幅に低減 |
| 既知マルウェアの検知精度 | 高い | 高い(機械学習モデルでも十分に対応) |
| 誤検知リスク | 比較的低い | チューニング次第では誤検知が発生しやすい |
| エンドポイントへの負荷 | スキャン時に高負荷になることがある | クラウド処理との分散により比較的軽量なケースが多い |
| 運用管理の手間 | 定義ファイル管理・更新作業が継続的に必要 | クラウド管理により管理工数を削減しやすい |
このように、従来のアンチウイルスは既知の脅威への対応に特化している一方、NGAVは未知の脅威・高度化する攻撃手法への対応力において明確な優位性を持っています。
ただし、NGAVは従来のアンチウイルスを完全に置き換えるものではなく、既存の環境や運用体制に応じた適切な組み合わせを検討することが重要です。また、NGAVは誤検知のリスクも持ち合わせているため、導入後の継続的なチューニングと運用体制の整備が不可欠である点も、あわせて理解しておく必要があります。
3. NGAVの主な機能と技術
NGAVは、従来のアンチウイルスでは対応しきれなかった高度な脅威を検知・防御するために、複数の先進的な技術を組み合わせています。ここでは、NGAVを構成する主要な機能と技術について、それぞれの仕組みや役割をわかりやすく解説します。
3.1 機械学習・AIを活用した脅威検知
NGAVの中核をなす技術のひとつが、機械学習(Machine Learning)および人工知能(AI)を活用した脅威検知です。従来のシグネチャベースの検知では、あらかじめ既知のマルウェアのパターンをデータベースに登録し、それと照合することで脅威を判定していました。しかしこの手法では、データベースに登録されていない未知の脅威を検知することができません。
AIを活用したNGAVでは、膨大な数のファイルや実行データを学習させることで、悪意あるコードに共通する特徴や構造をモデルとして習得します。このモデルに基づいて、新たなファイルやプロセスが実行される際にリアルタイムでリスクスコアを算出し、脅威かどうかを自動的に判定します。
この仕組みにより、シグネチャデータベースへの登録がない、まったく新しいマルウェアであっても、高い精度で検知・ブロックすることが可能になります。また、クラウド上でモデルを継続的に更新することで、最新の脅威傾向にも迅速に対応できる点が大きな強みです。
| 項目 | 従来のアンチウイルス | AI・機械学習を用いたNGAV |
|---|---|---|
| 検知の基準 | シグネチャ(既知パターンの照合) | AIモデルによるリスク評価 |
| 未知の脅威への対応 | 困難 | 高い精度で対応可能 |
| 定義ファイルの更新 | 定期的な手動・自動更新が必要 | クラウド連携により継続的に自動更新 |
| 検知速度 | 照合処理に依存 | リアルタイム判定が可能 |
3.2 振る舞い検知(ビヘイビア分析)
振る舞い検知(ビヘイビア分析)は、ファイルやプロセスが実際にどのような動作をするかをリアルタイムで監視し、不審な挙動を検知する技術です。
ファイルそのものの内容ではなく、「何をしようとしているか」「どのようなシステムリソースにアクセスしようとしているか」という行動パターンを分析します。
たとえば、通常のアプリケーションでは行わないような、大量のファイルの暗号化・書き換え、レジストリへの不審な変更、外部サーバーへの大量のデータ送信といった動作が検知された場合、それをマルウェアとして判定しブロックします。これは、ランサムウェアや情報窃取型マルウェアの動作パターンに合致するケースが多く、実害が発生する前に食い止めることができます。
振る舞い検知の特長は、マルウェアの「見た目」ではなく「行動」を根拠にするため、コードを難読化・変形させた亜種にも有効に機能する点にあります。
シグネチャが存在しないゼロデイ攻撃やポリモーフィック型マルウェアへの対策としても高い効果を発揮します。
3.3 ファイルレスマルウェアへの対応
近年、セキュリティ担当者の間で特に警戒されているのが「ファイルレスマルウェア」です。
ファイルレスマルウェアとは、ディスク上にファイルとして保存されることなく、OSの正規プロセスやスクリプト実行環境(PowerShellやWMIなど)をそのまま悪用してメモリ上で動作するマルウェアを指します。
従来のアンチウイルスはディスク上のファイルをスキャンすることを主な検知手段としていたため、ファイルレスマルウェアに対してはほぼ無力でした。攻撃者はこの盲点を突いて、検知を回避しながら長期間にわたってシステム内に潜伏し、情報を窃取したり他のシステムへ横展開したりするケースが増加しています。
NGAVは、メモリ上の動作やOSの正規機能の呼び出しパターンを監視することで、ファイルレスマルウェアの活動を検知・遮断することができます。
プロセスの親子関係や、PowerShellの実行コマンドの内容、ネットワーク接続の試みなど、複合的な情報を組み合わせて分析することで、精度の高い検知を実現します。
3.3.1 ファイルレスマルウェアが悪用する主な正規機能
| 機能・ツール名 | 概要 | 悪用される主な手口 |
|---|---|---|
| PowerShell | Windowsのスクリプト実行環境 | 不審なコマンドの実行、外部からのペイロードのダウンロードと実行 |
| WMI(Windows Management Instrumentation) | Windowsの管理機能 | リモートコード実行、永続化のためのイベント登録 |
| mshta.exe | HTMLアプリケーションの実行ファイル | 悪意あるスクリプトの実行 |
| regsvr32.exe | DLLの登録ツール | セキュリティ制限を回避した不審なDLLの実行 |
3.4 ゼロデイ攻撃への対策
ゼロデイ攻撃とは、ソフトウェアの脆弱性が発見されてから、開発元がパッチ(修正プログラム)を提供するまでの間に、その脆弱性を悪用して行われるサイバー攻撃のことを指します。
パッチが存在しない状態での攻撃であるため、従来の定義ファイルベースのセキュリティ製品では対応が事実上不可能でした。
NGAVがゼロデイ攻撃に有効な理由は、前述のAI・機械学習による脅威検知や振る舞い検知が、既知のシグネチャに依存しない形で機能するためです。攻撃に使用されるエクスプロイトコードや不審なプロセスの挙動を分析することで、シグネチャが存在しない脅威であっても検知・防御できます。
また、一部のNGAV製品はクラウドを通じてグローバルな脅威インテリジェンスを共有しており、世界中のエンドポイントから収集された攻撃情報をリアルタイムで反映することで、新たな攻撃手法への対応速度を大幅に高めていることも特徴のひとつです。組織内の一台が攻撃を受けた情報が即座に全エンドポイントの防御に活用されるため、被害の拡大を最小限に抑えることができます。
以下に、NGAVが持つ主な機能と、それぞれが対応する脅威の種類を整理します。
| NGAVの機能・技術 | 主な対応脅威 | 検知の仕組み |
|---|---|---|
| AI・機械学習による検知 | 未知のマルウェア、亜種マルウェア | ファイルの特徴量をAIモデルでスコアリング |
| 振る舞い検知(ビヘイビア分析) | ランサムウェア、情報窃取型マルウェア、ポリモーフィック型マルウェア | プロセスの動作・リソースアクセスパターンの監視 |
| ファイルレスマルウェア対策 | メモリ型マルウェア、LOLBinS攻撃 | メモリ動作・正規プロセスの呼び出しパターン分析 |
| ゼロデイ攻撃対策 | 未公開脆弱性を悪用した攻撃 | 脅威インテリジェンス連携・挙動の総合評価 |
4. NGAVを導入するメリット
NGAVの導入は、セキュリティ強化における単なるソフトウェアの入れ替えではありません。従来のアンチウイルスでは対応しきれなかった脅威に対して、組織全体の防御力を根本的に底上げできる点が最大の特徴です。ここでは、NGAVを導入することで得られる具体的なメリットを丁寧に解説します。
4.1 未知の脅威への対応力が高まる
従来のアンチウイルスは、過去に記録されたマルウェアのパターン(シグネチャ)と照合することで脅威を検知する仕組みです。
そのため、シグネチャデータベースに登録されていない未知のマルウェアや、ゼロデイ攻撃に対してはほとんど無力になってしまうという構造的な限界がありました。
NGAVは機械学習やAIを活用することで、既知のシグネチャに依存せずに脅威を判定します。ファイルの構造、挙動パターン、実行コンテキストなどを多角的に分析するため、これまで検知できなかった攻撃手法にも対応できます。特に近年増加しているファイルレスマルウェアや多形型マルウェア(ポリモーフィック型)のように、実行のたびにコードを変化させる脅威に対しても有効です。
| 脅威の種類 | 従来のアンチウイルス | NGAV |
|---|---|---|
| 既知のマルウェア | 対応可能 | 対応可能 |
| 未知のマルウェア(ゼロデイ) | 対応困難 | 対応可能 |
| ファイルレスマルウェア | 対応困難 | 対応可能 |
| 多形型マルウェア | 対応困難 | 対応可能 |
| 標的型攻撃(APT) | 対応困難 | 高い対応力 |
このように、NGAVは「知っている脅威にしか対応できない」という従来の限界を超え、未知の攻撃に対しても能動的に検知・防御できる点が大きなメリットです。
サイバー攻撃の高度化が進む現代において、この対応力の差は組織のセキュリティリスクに直結します。
4.2 エンドポイントセキュリティの強化
企業や組織において、ノートパソコン・デスクトップPC・サーバーなどのエンドポイントは、サイバー攻撃の主要な侵入口となっています。リモートワークやBYOD(個人所有端末の業務利用)の普及により、エンドポイントの数と多様性はますます増加しており、エンドポイントを個別かつ確実に保護することが、組織全体のセキュリティを維持するうえで不可欠になっています。
NGAVは各エンドポイントにエージェントをインストールするだけで、リアルタイムの脅威検知と防御を実現します。クラウドベースの管理コンソールを通じて、複数端末の状態を一元的に把握・管理できる製品も多く、セキュリティの可視化が大幅に向上します。
また、NGAVはネットワーク境界の外側にある端末、たとえば社外からVPNを通じてアクセスしているリモートワーカーの端末に対しても、同様のセキュリティレベルを維持できます。これは従来型のゲートウェイ型セキュリティでは実現が難しかった点であり、境界防御に依存しない「エンドポイント中心のセキュリティ」を実現できることが、NGAVの重要な強みのひとつです。
| 観点 | 従来のアンチウイルス | NGAV |
|---|---|---|
| リモート端末の保護 | ネットワーク依存が高い | エンドポイント単体で機能 |
| 端末の可視化・一元管理 | 限定的 | クラウド管理で一元対応 |
| 脅威の検知速度 | シグネチャ更新後に対応 | リアルタイムで検知 |
| 多様なOS・デバイスへの対応 | 製品による | Windows・macOS・Linuxに広く対応 |
4.3 運用管理の効率化と負担軽減
従来のアンチウイルスは、シグネチャデータベースを最新の状態に保つために定期的な更新作業が必要であり、IT担当者にとって継続的な管理コストが発生していました。
更新が遅れた端末はセキュリティホールになりやすく、管理が行き届いていないエンドポイントが1台でも存在すると、そこが組織全体への侵入口になりうるという問題がありました。
一方、NGAVはAIや機械学習モデルをベースとしているため、シグネチャの頻繁な更新に依存せず、エンジンの更新頻度が低く抑えられます。クラウド連携型の製品であれば、最新の脅威情報は自動的に反映されるため、IT担当者が手動で更新管理を行う手間が大きく削減されます。
また、NGAVの多くはアラートの自動トリアージ(優先度の判定)機能や、脅威インテリジェンスとの自動連携機能を備えており、セキュリティチームが対応すべき案件を効率よく絞り込めます。
これにより、少人数のIT・セキュリティ担当者であっても、高いレベルのエンドポイント保護を維持しやすくなるという運用上のメリットが生まれます。
中小企業や専任のセキュリティ担当者を置けない組織にとっても、NGAVは導入後の運用負荷が比較的低く、実用的なセキュリティ強化策として選ばれるケースが増えています。
5. NGAVの導入時に注意すべきポイント
NGAVは従来のアンチウイルスでは対応しきれない高度な脅威に対応できる強力なセキュリティソリューションです。
しかし、導入さえすれば万全というわけではなく、事前に把握しておくべき注意点がいくつか存在します。
ここでは、NGAVを導入する際に現場で実際に直面しやすい課題と、その対処法をわかりやすく解説します。
5.1 既存のセキュリティ製品との併用について
NGAVを導入する際、多くの企業がまず直面するのが「これまで使っていたセキュリティ製品とどう共存させるか」という問題です。
既存の従来型アンチウイルスソフトとNGAVを同一のエンドポイントに同時インストールすると、リアルタイム保護機能が競合し、システムの動作が不安定になったり、パフォーマンスが著しく低下したりするリスクがあります。これは「AV衝突(AV Conflict)」と呼ばれる現象で、特にWindowsエンドポイント環境で起きやすい問題です。
そのため、NGAVへの移行を検討する場合は、段階的な切り替えを行うことが推奨されます。具体的には、まず一部の端末にNGAVを試験導入し、既存製品との干渉がないかを確認したうえで本格展開するという手順が一般的です。
また、NGAVはエンドポイント保護に特化しているため、ネットワークセキュリティやWebフィルタリング、メールセキュリティといった他のセキュリティレイヤーとの組み合わせは引き続き必要です。
NGAVはあくまでエンドポイントの防御を強化するものであり、セキュリティ全体をカバーするものではない点を正しく理解しておくことが重要です。
| 確認項目 | 内容 | 対処法 |
|---|---|---|
| 既存AVとの競合 | リアルタイム保護機能が衝突しシステムが不安定になる | 移行前に既存AVを無効化または段階的にアンインストール |
| 他セキュリティ製品との統合 | NGAVのみではネットワーク層や通信経路の脅威をカバーできない | UTMやメールセキュリティ等と組み合わせて多層防御を構成する |
| ポリシー設定の重複 | 複数製品間でポリシーが重複し管理が複雑化する | セキュリティポリシーを一本化し、製品ごとの役割を明確に分担する |
5.2 誤検知・過検知のリスクと対策
NGAVはAIや機械学習、振る舞い分析を活用して未知の脅威を検知します。これは非常に強力な機能ですが、一方で正常なプログラムや業務アプリケーションを脅威と誤って判断してしまう「誤検知(False Positive)」が発生するリスクも伴います。
特に導入直後は、NGAVが自社環境における「正常な振る舞い」を学習しきれていないため、誤検知が起きやすい傾向があります。業務上欠かせないソフトウェアがブロックされてしまうと、現場の業務が停止するなど深刻な影響を招くことがあります。
この問題に対処するためには、以下のような段階的なアプローチが有効です。
- 最初は「検知のみ(監視モード)」で運用し、どのような検知が発生するかを把握する。
- 誤検知と確認できたプロセスやアプリケーションはホワイトリストに登録し、ブロック対象から除外する。
- 一定期間の学習・調整フェーズを経てから「ブロックモード」に切り替える。
- 定期的にアラートログをレビューし、検知精度の改善を継続的に行う。
また、ベンダーが提供するサポートやドキュメントを活用して、自社環境に合ったチューニングを行うことも重要です。
NGAVの検知精度は、導入後の継続的な設定調整によって大きく向上するため、初期設定で完結させようとしないことがポイントです。
5.3 導入コストと運用体制の整備
NGAVは従来のアンチウイルスと比べて、高度な技術基盤を持つ分、ライセンス費用や導入コストが高くなる傾向があります。
コストの観点だけで製品を選定すると、自社に必要な機能が不足していたり、逆に過剰な機能に費用をかけてしまったりすることがあります。
導入前に自社のセキュリティ上の課題を明確にし、それに見合った製品を選ぶことが大切です。
また、NGAVはクラウド型のコンソールで一元管理できる製品が多く、運用管理の効率化という面では優れています。
しかし、適切に運用するためには、セキュリティアラートを監視・分析できる人材と体制が必要であり、ツールを導入するだけで自動的にセキュリティが向上するわけではありません。
社内にセキュリティ専任の担当者がいない場合は、マネージドセキュリティサービス(MSS)やMDR(Managed Detection and Response)サービスを提供しているベンダーに運用を委託する選択肢も現実的です。特に中小企業においては、自社内での完全な運用体制構築が難しいケースも多いため、外部リソースの活用を視野に入れておくとよいでしょう。
| 注意点 | 具体的なリスク | 推奨される対策 |
|---|---|---|
| ライセンスコスト | 従来AVより費用が高く、エンドポイント数に応じてコストが増大する | 必要なエンドポイント数と機能要件を整理し、複数製品を比較検討する |
| 運用人材の確保 | アラート対応やチューニングに専門知識が必要 | 社内担当者の育成、またはMSSやMDRサービスの活用を検討する |
| 初期設定・カスタマイズ | デフォルト設定のままでは自社環境に最適化されていない場合がある | 導入ベンダーのサポートを活用し、自社に合った設定を行う |
| 継続的な運用負荷 | 定期的なポリシー見直しやログ分析が必要 | 運用フローを事前に設計し、担当者の役割と対応手順を明文化しておく |
NGAVの導入は、セキュリティ強化における大きな一歩です。
しかし、製品を選んで終わりではなく、導入後の運用設計こそが、NGAVの効果を最大限に引き出す鍵となります。事前の計画と継続的な改善を組み合わせることで、自社のエンドポイントセキュリティを確実に高めていきましょう。
6. NGAVと合わせて検討すべきセキュリティ対策
NGAVは単独でも高い防御力を発揮しますが、現代のサイバー攻撃は非常に巧妙化・多様化しており、NGAVだけで組織のセキュリティを完結させることは難しいのが実情です。NGAVを中心に据えつつ、他のセキュリティソリューションと組み合わせることで、多層防御の体制を構築することが重要です。ここでは、NGAVと合わせて検討すべき代表的なセキュリティ対策について詳しく解説します。
6.1 EDR(エンドポイント検出・対応)との違いと連携
NGAVとよく比較される技術のひとつが、EDR(Endpoint Detection and Response:エンドポイント検出・対応)です。
両者はどちらもエンドポイントを守るためのソリューションですが、その役割には明確な違いがあります。
NGAVは主に「脅威の侵入を未然に防ぐ(Prevention)」ことを目的としています。一方、EDRは「侵入後の脅威をリアルタイムで検出し、調査・対応する(Detection & Response)」ことに特化しています。
つまり、NGAVが入口の防御を担い、EDRが侵入後の封じ込めと調査を担うという、役割分担の関係にあります。
| 比較項目 | NGAV | EDR |
|---|---|---|
| 主な目的 | 脅威の侵入防止(Prevention) | 侵入後の検出・調査・対応(Detection & Response) |
| 動作タイミング | 実行前・侵入前 | 侵入後・実行後 |
| 主な機能 | AI・機械学習による脅威ブロック | ログ収集・フォレンジック・インシデント対応 |
| 運用負荷 | 比較的低い | 専門知識が必要なケースが多い |
多くのセキュリティベンダーは、NGAVとEDRを一体化した製品を提供しており、両機能を組み合わせることで「防ぐ」と「対応する」の両面を一元管理できるようになっています。
予算やリソースに余裕がある組織であれば、NGAVとEDRをセットで導入することを強くおすすめします。
6.2 XDRやSIEMとの組み合わせ
さらに高度なセキュリティ体制を目指す場合は、XDR(Extended Detection and Response)やSIEM(Security Information and Event Management)との組み合わせが有効です。
XDRは、EDRの概念を拡張したものです。エンドポイントだけでなく、ネットワーク・クラウド・メール・サーバーなど、複数のセキュリティレイヤーから収集したデータを統合し、横断的な脅威の検出と対応を実現します。NGAVが検知したエンドポイント上の脅威情報をXDRに連携させることで、組織全体のセキュリティ状況をひとつの画面で可視化・管理できるようになります。
一方のSIEMは、ファイアウォール・IDS/IPS・NGAVなど、さまざまなセキュリティ製品のログやイベント情報を一元収集し、相関分析によって不審な挙動を検出するプラットフォームです。
SIEMを活用することで、単一の製品では見逃してしまう複合的な攻撃のパターンを検出しやすくなります。
| ソリューション | 主な役割 | NGAVとの関係 |
|---|---|---|
| XDR | 複数レイヤーを横断した脅威の検出・対応 | NGAVのデータをXDRへ統合し、全体の可視化を強化 |
| SIEM | ログの一元管理・相関分析・アラート通知 | NGAVのログをSIEMに集約し、複合的な攻撃を検出 |
NGAVを導入したうえで、組織の規模や運用体制に応じてXDRやSIEMを組み合わせることで、検知精度と対応速度の両方を大幅に向上させることができます。
6.3 ゼロトラストセキュリティの考え方との関係
近年、セキュリティの世界で急速に注目を集めているのが、「ゼロトラスト(Zero Trust)」という考え方です。
ゼロトラストとは、「社内ネットワークだからといって安全とは限らない」という前提に立ち、すべてのユーザー・デバイス・通信を信頼せず、常に検証・認証を行うというセキュリティモデルです。
従来のセキュリティ設計は、社内ネットワークを信頼できる領域として扱う「境界型防御」が主流でした。
しかし、テレワークの普及やクラウドサービスの活用が進む現在では、境界の概念が曖昧になっており、境界型防御だけでは不十分になっています。
NGAVはゼロトラストモデルを実現するうえで、エンドポイントの継続的な検証と保護を担う重要なコンポーネントのひとつです。ゼロトラストの構成要素には、以下のようなものが含まれます。
| ゼロトラストの構成要素 | 概要 | NGAVとの関連 |
|---|---|---|
| エンドポイントセキュリティ | 端末の健全性を継続的に確認・保護する | NGAVが担う中核的な役割 |
| アイデンティティ管理(IAM) | ユーザーの認証・アクセス制御を厳密に行う | NGAVと連携してデバイスの信頼性を担保する |
| マイクロセグメンテーション | ネットワークを細かく分割し、横断的な侵害を防ぐ | NGAVによる侵害検知と組み合わせて被害を局所化する |
| 継続的なモニタリング | ログや通信を常時監視し、異常を即座に検出する | NGAVの振る舞い検知・ログ収集がこれを支える |
ゼロトラストは特定の製品を導入すれば完成するものではなく、NGAVをはじめとする複数のセキュリティソリューションを組み合わせ、組織全体として設計・運用していく継続的な取り組みです。
NGAVの導入を検討する際は、ゼロトラストという大きな枠組みの中でその位置づけを整理することで、より体系的なセキュリティ戦略を描くことができます。
7. 国内で導入実績のある主なNGAV製品
NGAVの導入を検討する際、どの製品を選ぶかは非常に重要な判断です。国内企業での導入実績が豊富な製品を中心に、それぞれの特徴や強みをわかりやすく解説します。製品ごとの違いを正しく理解することで、自社の環境や要件に合ったNGAVを選定しやすくなります。
7.1 CrowdStrike Falcon
CrowdStrike Falconは、アメリカのCrowdStrike社が提供するクラウドネイティブ型のNGAVプラットフォームです。国内でも大企業・中堅企業を中心に幅広く導入されており、エンドポイント保護においてグローバルで高い評価を受けている製品の一つです。
Falconの最大の特徴は、クラウド上に蓄積された膨大な脅威インテリジェンスをリアルタイムで活用する点にあります。エンドポイントにインストールされる軽量エージェントがシステムへの負荷を最小限に抑えながら、AIと機械学習を組み合わせた検知を実現します。また、NGAVとしての機能にとどまらず、EDR機能も統合されているため、脅威の検知から対応までを一元的に管理できる点が高く評価されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供形態 | クラウド型(SaaS) |
| 主な検知技術 | AI・機械学習、振る舞い検知、脅威インテリジェンス |
| EDR機能 | 統合(モジュール選択可) |
| 対応OS | Windows、macOS、Linux |
| 国内サポート | あり(国内代理店経由) |
ファイルレスマルウェアやゼロデイ攻撃への対応力も高く、シグネチャに依存しない検知アプローチによって、従来のアンチウイルスでは防ぎきれなかった高度な脅威にも対処できる点が、多くの国内企業から支持される理由となっています。
7.2 SentinelOne
SentinelOneは、アメリカのSentinelOne社が開発・提供するNGAVおよびEDR統合型のセキュリティプラットフォームです。
国内でも金融・製造・公共分野などを中心に導入実績が増加しており、自律型AIによるリアルタイム検知と自動応答を最大の強みとする製品です。
SentinelOneの大きな特徴として、脅威を検知した際に管理者の操作を待たずに自動で隔離・修復を行う「自律型対応(Autonomous Response)」機能が挙げられます。
これにより、セキュリティ担当者の工数を大幅に削減しながら、インシデントの被害拡大を素早く抑止することが可能です。また、攻撃の全プロセスをタイムライン形式で可視化する機能も備えており、インシデント調査のしやすさも評価されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供形態 | クラウド型(SaaS) |
| 主な検知技術 | 自律型AI、振る舞い分析、静的AI解析 |
| 自動応答機能 | あり(隔離・ロールバック・修復) |
| 対応OS | Windows、macOS、Linux、クラウドワークロード |
| 国内サポート | あり(国内代理店・パートナー経由) |
クラウドへの接続が不要なオフライン環境でも検知・対応が機能する設計となっており、ネットワーク環境に制約がある拠点や工場などのOT環境でも導入しやすい点が、製造業などで注目されている理由の一つです。
7.3 Carbon Black(VMware Carbon Black)
Carbon Blackは、もともとCarbon Black社が開発し、現在はBroadcomによる買収を経て提供が続けられているエンドポイントセキュリティ製品です。国内でも大手企業を中心に導入実績があり、エンドポイント上のすべてのプロセス・ファイル操作・ネットワーク通信を継続的に記録・分析する「継続的記録(Continuous Recording)」が最大の特徴です。
この継続的記録の仕組みにより、マルウェアの侵入経路や攻撃の全容を詳細にさかのぼって調査することができます。セキュリティ担当者がインシデント発生後に「何がどのように起きたのか」を正確に把握するためのフォレンジック調査において、非常に高い実用性を発揮します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供形態 | クラウド型・オンプレミス型 |
| 主な検知技術 | 継続的記録、振る舞い分析、脅威ハンティング |
| フォレンジック機能 | 充実(詳細なタイムライン調査が可能) |
| 対応OS | Windows、macOS、Linux |
| 国内サポート | あり(国内代理店・パートナー経由) |
特にセキュリティ運用チーム(SOC)を持つ組織や、インシデントレスポンスを重視する企業において、事後調査・原因究明の精度を高めたい場合に適した製品として選ばれることが多いです。
7.4 Cylance(BlackBerry Cylance)
Cylanceは、BlackBerry社が提供するNGAVソリューションです。もともとCylance社が開発したプロダクトをBlackBerryが買収し、現在は「BlackBerry Cylance」として国内でも展開されています。
AIによる予測型検知(Predictive Advantage)を軸としており、ファイルを実行する前の段階で脅威を検出・ブロックする「事前防御」のアプローチを特徴とする製品です。
Cylanceの検知エンジンはクラウドへの常時接続を必要とせず、エンドポイント上のAIモデルがローカルで脅威判定を行います。
そのため、インターネット接続が制限されたクローズドネットワーク環境でも安定した動作が期待できます。また、システムリソースへの負荷が低いことも特徴の一つであり、スペックが限られた端末でも導入しやすい設計となっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供形態 | クラウド管理型(エンドポイントはオフライン動作可) |
| 主な検知技術 | AIによる予測型検知、事前防御(Pre-execution) |
| オフライン動作 | 対応(ローカルAIモデルによる判定) |
| 対応OS | Windows、macOS、Linux |
| 国内サポート | あり(国内代理店経由) |
クローズド環境を維持しながら高度なセキュリティを求める医療機関や製造業、官公庁系の組織での導入事例があり、ネットワーク接続に制約がある環境でもNGAVの恩恵を受けたい場合に有力な選択肢の一つとなっています。
7.5 主要NGAV製品の比較まとめ
上記4製品の主な特徴を整理すると、以下のようになります。自社の運用環境や求めるセキュリティ機能に応じて、最適な製品を選定する際の参考にしてください。
| 製品名 | 提供元 | 主な強み | こんな組織に向いている |
|---|---|---|---|
| CrowdStrike Falcon | CrowdStrike | 脅威インテリジェンス、軽量エージェント、EDR統合 | リアルタイムの脅威対応を重視する企業 |
| SentinelOne | SentinelOne | 自律型AI、自動応答・修復、タイムライン可視化 | 運用自動化・省力化を目指す組織 |
| Carbon Black | Broadcom(旧VMware) | 継続的記録、詳細フォレンジック、脅威ハンティング | SOCを持つ企業・インシデント調査を重視する組織 |
| Cylance(BlackBerry Cylance) | BlackBerry | 予測型AI、オフライン動作、低負荷 | 閉域ネットワーク環境・リソース制限のある端末を使う組織 |
いずれの製品も、シグネチャに依存しないAI・機械学習ベースの検知技術を核としており、従来のアンチウイルスでは対応が難しかった未知の脅威やファイルレスマルウェアに対して有効に機能します。
一方で、製品ごとに得意とする領域や管理の方式が異なるため、導入前に自社のセキュリティ運用体制・ネットワーク環境・エンドポイントの台数や種類を整理したうえで製品選定を行うことが、導入後のトラブルや運用コストの増大を防ぐうえで非常に重要です。
8. まとめ
本記事では、NGAV(次世代アンチウイルス)の基本的な定義から、従来のアンチウイルスとの違い、主な機能と技術、導入メリット、注意点、関連するセキュリティ対策、そして代表的な製品まで幅広く解説しました。
従来のシグネチャベースのアンチウイルスは、既知のマルウェアには有効である一方、未知の脅威やファイルレスマルウェア、ゼロデイ攻撃への対応に限界がありました。NGAVは機械学習・AIや振る舞い検知といった先進的な技術を活用することで、こうした従来製品では防ぎきれなかった脅威への対応力を大幅に高めています。
導入にあたっては、誤検知リスクや既存製品との併用、運用体制の整備といった点に注意が必要ですが、EDRやXDRと組み合わせることで、より強固なエンドポイントセキュリティを実現できます。現代のサイバー攻撃の高度化を踏まえると、NGAVの導入はもはや選択肢のひとつではなく、企業のセキュリティ対策における重要な基盤といえるでしょう。
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