
「Iris Xe」とはIntelが開発した最新の内蔵GPU技術です。
この記事では、Iris Xeの基本的な概要から性能、従来のIntel HD GraphicsやUHD Graphicsとの違い、他社製GPUとの比較まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。Iris Xe GraphicsとIris Xe MAXの違い、ベンチマークスコアやゲーミング性能、動画編集での実力、さらには搭載製品の選び方まで網羅的にご紹介します。この記事を読むことで、Iris Xeが自分の用途に適しているか、どのような製品を選べばよいかを判断できるようになります。パソコン選びで迷っている方、Iris Xe搭載機の購入を検討している方は、ぜひ最後までお読みください。
1. Iris Xeとは何か
Iris Xe(アイリス エックスイー)は、Intelが2020年に発表した最新世代の内蔵GPU(統合型グラフィックス)です。正式名称は「Intel Iris Xe Graphics」といい、第11世代Coreプロセッサー(Tiger Lake)から採用されています。これまでIntelの内蔵グラフィックスは性能面で限界があるとされてきましたが、Iris Xeの登場によって、その常識が大きく覆されることになりました。
内蔵GPUとは、CPUと同じチップ内に組み込まれたグラフィックス処理装置のことです。別途グラフィックスカードを搭載する必要がなく、消費電力が少なく、本体も薄型軽量に設計できるというメリットがあります。従来は簡単な作業しかできないイメージがありましたが、Iris Xeは軽めのゲームや動画編集といったグラフィックス性能を必要とする作業にも対応できる実力を持っています。
1.1 Intel内蔵GPUの進化の歴史
Intelの内蔵GPUは長い歴史の中で、着実に進化を遂げてきました。その変遷を理解することで、Iris Xeがどれほど画期的な存在であるかがわかります。
| 世代 | 名称 | 登場時期 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 第4世代以前 | Intel HD Graphics | 2010年頃 | 基本的な2D/3D処理が可能。ゲーミング性能は限定的 |
| 第7世代 | Intel HD Graphics 630など | 2017年 | 4K動画再生に対応。日常作業には十分な性能 |
| 第8〜10世代 | Intel UHD Graphics | 2018〜2020年 | 名称変更。性能は微増にとどまる |
| 第11世代以降 | Intel Iris Xe Graphics | 2020年〜 | アーキテクチャ刷新。大幅な性能向上を実現 |
初期のIntel HD Graphicsは、文書作成やウェブブラウジングといった軽い作業には問題ありませんでしたが、動画編集やゲームには力不足でした。第7世代のKaby Lakeで4K動画再生への対応が進み、第8世代以降は「UHD Graphics」という名称に変更されましたが、性能の伸びは緩やかなものでした。
そして2020年、第11世代Coreプロセッサー(Tiger Lake)とともにIris Xeが登場します。これまでの内蔵GPUとは設計思想から根本的に見直された製品であり、グラフィックス性能が従来比で約2倍にまで向上しました。これによって、内蔵GPUでありながらエントリークラスの外付けGPUに匹敵する性能を実現しています。
1.2 Iris Xeの登場背景と位置づけ
Iris Xeが登場した背景には、パソコン市場における大きな変化がありました。近年、ノートパソコンに求められる性能は年々高まっており、単なる文書作成だけでなく、動画編集、写真加工、オンライン会議、軽めのゲームなど、幅広い用途に対応できることが期待されるようになりました。
しかし、従来のIntel UHD Graphicsでは、こうした要求に十分応えることができませんでした。一方で、外付けのグラフィックスカードを搭載すると、本体が厚く重くなり、消費電力も増加してバッテリー駆動時間が短くなるというジレンマがありました。
Iris Xeは、薄型軽量ノートパソコンでありながら高いグラフィックス性能を実現するという目的で開発されました。モバイルワーカーやクリエイター、ライトゲーマーなど、持ち運びやすさと性能の両立を求めるユーザーに向けた製品です。
Intel製品のラインナップにおいて、Iris Xeは次のように位置づけられます。
| 製品カテゴリ | 対象ユーザー | グラフィックス性能 |
|---|---|---|
| Intel UHD Graphics | 一般ユーザー(文書作成・ウェブ閲覧中心) | 基本性能 |
| Intel Iris Xe Graphics | クリエイター・ライトゲーマー | 中程度の性能 |
| Intel Iris Xe MAX | モバイルクリエイター | 内蔵GPUとしては最高性能 |
| 外付けGPU(GeForce、Radeonなど) | ヘビーゲーマー・プロクリエイター | 高性能 |
このように、Iris Xeは従来の内蔵GPUと外付けGPUの中間に位置する製品として登場しました。日常的な作業はもちろん、ある程度の負荷がかかる作業にも対応できる性能を持ちながら、薄型軽量で長時間バッテリー駆動が可能という、モバイル向けプロセッサーの利点を損なわない設計となっています。
また、Iris Xeは単なる性能向上だけでなく、AI処理の高速化、動画エンコード支援、ディープラーニング超解像(Deep Learning Super Sampling)への対応など、最新技術も多数搭載されています。これらの技術によって、実際の体感性能は数値以上に向上しており、日常使いからクリエイティブ作業まで幅広いシーンで快適に使用できるようになりました。
2. Iris Xeの主な特徴
Iris Xeは、Intelが長年蓄積してきた内蔵GPU技術を根本から見直し、大幅な性能向上を実現した最新世代のグラフィックス技術です。従来のIntel HD GraphicsやUHD Graphicsとは設計思想そのものが異なり、現代のパソコン利用において求められる高度なグラフィックス処理性能に応えることを目指して開発されました。ここでは、Iris Xeが持つ主な特徴について、技術的な背景から実際の性能向上まで詳しく解説していきます。
2.1 アーキテクチャの刷新
Iris Xeの最大の特徴は、Xe アーキテクチャという全く新しい設計思想に基づいて開発された点にあります。このアーキテクチャは、IntelがグラフィックスIP(知的財産)を一から再設計したもので、従来のGen11以前のアーキテクチャとは根本的に異なるアプローチを採用しています。
Xe アーキテクチャでは、演算ユニットの構造が大きく変更されており、1つの実行ユニット(EU)あたりの処理能力が向上しています。具体的には、EUあたりのALU(算術論理演算装置)の数が増加し、より多くの命令を並列で実行できるようになりました。これにより、同じクロック周波数でも処理できる演算量が大幅に増加しています。
また、メモリ帯域幅の利用効率が大幅に改善されたことも重要なポイントです。グラフィックス処理においては、メモリとのデータのやり取りが性能のボトルネックになることが多いため、キャッシュメモリの階層構造を最適化し、データの再利用率を高める設計が施されています。
さらに、Xe アーキテクチャは拡張性を重視した設計となっており、内蔵GPU向けのXe-LPから、データセンター向けのXe-HPまで、同じ基本設計を共有しながら幅広い用途に対応できるようになっています。これにより、ドライバーの最適化やソフトウェアの対応が進みやすくなり、長期的な性能向上が期待できる構造となっています。
2.2 従来のIntel HD GraphicsやUHD Graphicsとの違い
Iris Xeと従来のIntel HD GraphicsやUHD Graphicsとの違いを理解することは、この技術の革新性を知る上で非常に重要です。単なるマイナーチェンジではなく、世代を超えた大きな進化であることが分かります。
| 比較項目 | Intel HD/UHD Graphics | Iris Xe Graphics |
|---|---|---|
| アーキテクチャ | Gen9〜Gen11 | Xe-LP(Gen12) |
| 実行ユニット数 | 最大64EU | 最大96EU |
| EUあたりの性能 | 基準値 | 約1.5倍 |
| メモリサポート | DDR4-2933まで | DDR4-3200、LPDDR4X-4266対応 |
| ディスプレイ出力 | 最大3画面 | 最大4画面、8K対応 |
命名規則も大きく変更されており、従来は「Intel UHD Graphics 620」のように数字で世代や性能を表していましたが、Iris Xeでは「Iris Xe Graphics」という統一されたブランド名が採用されています。これは、Intelがこの技術を単なる内蔵グラフィックスではなく、独立した製品ラインとして位置づけていることを示しています。
グラフィックスドライバーの最適化にも大きな違いがあります。Iris Xeでは、ゲームタイトルごとの最適化やDirectX 12 Ultimateへの対応が強化されており、最新のグラフィックス技術を活用できるようになっています。これにより、従来の内蔵GPUでは十分に動作しなかったアプリケーションやゲームでも、快適に動作する可能性が高まりました。
消費電力効率の面でも進化が見られます。性能が大幅に向上しているにもかかわらず、電力効率は従来モデルと同等かそれ以上を維持しており、ノートパソコンでのバッテリー駆動時間に悪影響を与えずに高性能を実現しています。
2.3 性能向上のポイント
Iris Xeの性能向上は、複数の技術革新が組み合わさることで実現されています。それぞれのポイントを理解することで、なぜこれほどの性能向上が可能になったのかが明確になります。
第一のポイントは、実行ユニットの数と効率が同時に向上したことです。従来のUHD Graphicsでは最大32EUが一般的でしたが、Iris Xeでは80EUや96EUといった構成が採用されています。単純計算でもEU数は2倍以上になっており、さらに各EUの処理効率も向上しているため、総合的な演算性能は従来比で2倍から3倍にも達します。
第二のポイントは、メモリ帯域幅の向上です。Iris Xeは高速なLPDDR4Xメモリに対応しており、最大68.2GB/sという帯域幅を利用できます。グラフィックス処理では大量のデータをメモリとやり取りするため、この帯域幅の向上は体感性能に直結します。特に高解像度のディスプレイや複数画面を使用する場合、この差は顕著に表れます。
第三のポイントは、AI処理への対応です。Iris XeにはDP4a命令という整数演算命令が実装されており、機械学習の推論処理を高速に実行できます。これにより、写真編集ソフトでのAI補正機能やビデオ会議でのバーチャル背景処理など、AI機能を活用したアプリケーションがスムーズに動作するようになりました。
第四のポイントは、メディアエンジンの強化です。動画のエンコードやデコードを担当するハードウェアが強化され、AV1コーデックのデコードやHEVCの8Kデコードにも対応しています。これにより、YouTubeなどの動画配信サービスで高画質動画を視聴する際の負荷が大幅に軽減され、バッテリー消費も抑えられます。
第五のポイントは、可変レートシェーディング(VRS)やメッシュシェーダーといった最新のグラフィックス技術に対応したことです。これらの技術は、必要な部分にのみ詳細な処理を行うことで、全体的なパフォーマンスを向上させる仕組みです。特にゲームにおいて、視覚的な品質を維持しながらフレームレートを向上させることが可能になります。
これらの技術革新により、Iris Xeは従来の内蔵GPUとは一線を画す性能を実現しています。日常的な作業はもちろん、クリエイティブな作業や軽めのゲームまで、幅広い用途で快適に使用できる内蔵グラフィックスとして、パソコン選びにおける重要な選択肢となっています。
3. Iris Xeの種類とラインナップ
Iris Xeには、用途や性能に応じて複数のバリエーションが存在します。主に統合型の「Iris Xe Graphics」と、独立型の「Iris Xe MAX」に大別されますが、それぞれ搭載されるプロセッサーや製品によって性能が異なります。ここでは、各ラインナップの特徴と違いについて詳しく解説していきます。
3.1 Iris Xe Graphics
Iris Xe Graphicsは、Intel第11世代Coreプロセッサー(Tiger Lake)以降に統合されている内蔵GPUの総称です。CPUと同じチップ上に搭載されているため、別途グラフィックスカードを追加する必要がなく、省電力性と薄型化を両立できる点が大きな特徴となっています。
Iris Xe Graphicsには、実行ユニット(EU)の数によって性能が異なる複数のバリエーションが存在します。実行ユニットとは、グラフィックス処理を行う基本的な演算装置のことで、この数が多いほど並列処理能力が高く、グラフィックス性能も向上します。
| プロセッサー | 実行ユニット数 | 主な搭載製品 |
|---|---|---|
| Core i7-1165G7 | 96 EU | 高性能モバイルノートPC |
| Core i5-1135G7 | 80 EU | ミドルレンジモバイルノートPC |
| Core i3-1115G4 | 48 EU | エントリーモデルノートPC |
最も性能が高いのは96個の実行ユニットを搭載したモデルで、Core i7-1165G7やCore i7-1185G7などの上位プロセッサーに採用されています。これらは従来の内蔵GPUと比較して、約2倍の性能向上を実現しており、軽量なゲームや動画編集などのクリエイティブ作業にも対応できる性能を持っています。
また、第12世代Coreプロセッサー(Alder Lake)以降でもIris Xe Graphicsの名称が継続して使用されていますが、アーキテクチャの改良により、さらなる性能向上が図られています。特に電力効率が改善され、バッテリー駆動時間を犠牲にすることなく高いグラフィックス性能を発揮できるようになりました。
3.2 Iris Xe MAX
Iris Xe MAXは、Intelが開発した独立型のディスクリートGPUで、2020年に発表された製品です。統合型のIris Xe Graphicsとは異なり、専用のグラフィックスメモリを搭載し、CPUとは別チップとして実装されています。
Iris Xe MAXの最大の特徴は、「Deep Link Technology」と呼ばれる技術です。これは、CPUに統合されているIris Xe Graphicsと、独立型のIris Xe MAXを同時に活用することで、さらなる性能向上を実現する仕組みです。動画エンコードやAI処理などの特定のワークロードにおいて、両方のGPUが協調して動作することで、処理速度を大幅に向上させることができます。
Iris Xe MAXは96個の実行ユニットを搭載しており、4GBのLPDDR4Xメモリを専用グラフィックスメモリとして備えています。TDP(熱設計電力)は25Wに設定されており、薄型ノートPCにも搭載可能な省電力設計となっています。
主にクリエイター向けのモバイルワークステーションやハイエンドノートPCに採用されており、動画編集やフォトレタッチ、3Dモデリングなどのプロフェッショナル用途での利用を想定して設計されています。ただし、搭載製品は限定的で、NVIDIAやAMDの専用GPUと比較すると市場での採用例は少ない状況です。
3.3 各モデルの違いと用途
Iris Xe GraphicsとIris Xe MAXは、どちらも同じ「Iris Xe」という名称を使用していますが、その位置づけや用途は大きく異なります。選択する際には、自分の使用目的と予算に応じて適切なモデルを選ぶことが重要です。
| 項目 | Iris Xe Graphics | Iris Xe MAX |
|---|---|---|
| 実装形態 | CPUに統合 | 独立型GPU |
| 専用メモリ | なし(システムメモリを共有) | 4GB LPDDR4X |
| 消費電力 | 低い | やや高い(25W) |
| 価格帯 | リーズナブル | 高価 |
| 主な用途 | 一般作業、軽量ゲーム | クリエイティブ作業、専門業務 |
Iris Xe Graphicsは統合型のため、コストパフォーマンスに優れており、一般的なビジネス用途やウェブブラウジング、オフィスソフトの使用には十分な性能を持っています。また、軽量なゲームや動画視聴、簡単な写真編集なども快適に行えます。システムメモリを共有するため、メモリ容量は16GB以上を推奨しますが、追加のグラフィックスカードが不要なため、ノートPCの薄型化やバッテリー駆動時間の延長に貢献します。
一方、Iris Xe MAXは独立型GPUとして専用メモリを持つため、より高負荷なグラフィックス処理に対応できます。特に動画編集ソフトでの4K動画のエンコードや、Adobe製品を使用したクリエイティブ作業において、統合型よりも高速な処理が可能です。Deep Link Technologyを活用することで、CPUとGPUの協調動作により、特定のアプリケーションでは大幅な性能向上が期待できます。
ただし、Iris Xe MAXは搭載製品が限定的であり、価格も高めに設定されているため、本格的なゲーミングや3DCG制作を行う場合には、NVIDIAのGeForce RTXシリーズやAMDのRadeon RXシリーズといった、より高性能な専用GPUを搭載したモデルを検討することも選択肢となります。
用途別の推奨モデルとしては、以下のような選び方が考えられます。オフィスワークや動画視聴が中心であれば、Iris Xe Graphics搭載のCore i5モデルで十分です。軽いゲームや写真編集も楽しみたい場合は、96 EUを搭載したCore i7モデルがおすすめです。本格的な動画編集や3Dモデリングを行うのであれば、Iris Xe MAXまたは他社の専用GPUを検討するとよいでしょう。
また、第12世代以降のプロセッサーでは、性能コアと効率コアを組み合わせたハイブリッドアーキテクチャが採用されており、Iris Xe Graphicsの性能も向上しています。最新世代のプロセッサーを選ぶことで、同じIris Xe Graphicsという名称でも、より高い性能を得られる可能性がありますので、購入時には世代も確認することをおすすめします。
4. Iris Xeの性能
Iris Xeの実際の性能について、ベンチマークスコアやゲーミング性能などを詳しく見ていきましょう。内蔵GPUとしてどこまでの作業が可能なのか、具体的な数値とともに解説します。
4.1 ベンチマークスコア
Iris Xeの性能を客観的に評価するため、代表的なベンチマークテストの結果をご紹介します。Iris Xe Graphicsは、従来のIntel UHD Graphicsと比較して約2倍のグラフィック性能を発揮することが各種テストで確認されています。
3DMarkのTime Spyベンチマークでは、Iris Xe Graphics(96EU構成)が約1,500から1,700ポイントのスコアを記録します。これは従来のIntel UHD Graphics 620が約500ポイント前後だったことを考えると、大幅な性能向上です。また、Fire Strikeベンチマークでは約4,500から5,000ポイントを記録し、軽量なグラフィック処理であれば十分に対応できる性能を持っています。
| ベンチマーク名 | Iris Xe Graphics(96EU) | Intel UHD Graphics 620 | 性能比 |
|---|---|---|---|
| 3DMark Time Spy | 1,500~1,700 | 約500 | 約3倍 |
| 3DMark Fire Strike | 4,500~5,000 | 約1,500 | 約3倍 |
| PCMark 10 | 5,000~5,500 | 3,500~4,000 | 約1.4倍 |
Cinebench R23などのCPU性能を測るベンチマークでも、Iris Xe搭載プロセッサは総合的に高いパフォーマンスを示します。特に動画エンコードやレンダリング作業では、GPUアクセラレーションが効果的に働き、作業時間の短縮に貢献します。
EU(Execution Unit)の数によって性能が大きく変わる点も重要です。Iris Xe Graphicsには80EU構成と96EU構成があり、96EU構成の方が約20%高い性能を発揮します。購入前には搭載CPUのスペックシートでEU数を確認することをおすすめします。
4.2 他社GPUとの比較
Iris Xeの立ち位置を理解するために、競合する他社製品との性能比較を見ていきましょう。主な比較対象は、AMDのRadeon Graphics(Ryzen内蔵GPU)やNVIDIAのエントリー向けGeForce GPUです。
AMDのRyzen 5000シリーズに搭載されているRadeon Graphicsと比較すると、Iris Xe Graphics(96EU)はRyzen 5 5600Uに搭載されているRadeon Graphics 7コアとほぼ同等の性能を持っています。3DMark Time Spyでは両者とも1,500から1,700ポイント前後のスコアを記録し、日常的な軽作業からライトゲーミングまで同程度の対応力を示します。
| GPU | 種類 | 3DMark Time Spy | 消費電力(TDP) |
|---|---|---|---|
| Iris Xe Graphics(96EU) | 内蔵GPU | 1,500~1,700 | 15~28W(CPU込み) |
| Radeon Graphics 7コア | 内蔵GPU | 1,500~1,700 | 15~25W(CPU込み) |
| GeForce MX450 | 専用GPU | 2,800~3,200 | 12~25W |
| GeForce GTX 1650 | 専用GPU | 3,500~3,800 | 50W |
NVIDIAのエントリー向け専用GPUであるGeForce MX450と比較すると、専用GPUの方が約1.5倍から2倍高い性能を持っています。ただし、消費電力や発熱、バッテリー駆動時間を考慮すると、Iris Xeは内蔵GPUとして非常にバランスの取れた選択肢といえます。
Iris Xe MAXは、内蔵GPU版よりもさらに高性能で、GeForce MX450に近い、あるいは一部の用途では上回る性能を発揮します。特にIntel Deep Link技術により、CPU内蔵のIris Xeと協調動作することで、動画エンコードなどの特定タスクで大きなアドバンテージを得られます。
4.3 実際のゲーミング性能
ベンチマークスコアだけでなく、実際のゲームでどの程度のフレームレートが出るのかを確認しましょう。Iris Xeは軽量から中量級のゲームであれば、設定次第で快適にプレイできる性能を持っています。
人気タイトルの「フォートナイト」では、1080p解像度・低設定で平均60fps前後、中設定で45から50fps程度のフレームレートが期待できます。「リーグ・オブ・レジェンド」のようなMOBAゲームでは、1080p・中設定で70から90fps程度と、非常に快適にプレイ可能です。
| ゲームタイトル | 解像度 | グラフィック設定 | 平均フレームレート |
|---|---|---|---|
| フォートナイト | 1080p | 低設定 | 60fps前後 |
| フォートナイト | 1080p | 中設定 | 45~50fps |
| リーグ・オブ・レジェンド | 1080p | 中設定 | 70~90fps |
| Apex Legends | 1080p | 低設定 | 45~55fps |
| 原神 | 1080p | 低設定 | 35~45fps |
| マインクラフト(Java版) | 1080p | 標準設定 | 60fps以上 |
「Apex Legends」などのバトルロイヤル系シューティングゲームでは、1080p・低設定で45から55fps程度です。競技性の高いゲームでは60fps以上が望ましいため、解像度を720pに下げるか、グラフィック設定をさらに下げる必要があります。
「原神」のような3Dアクションゲームでは、1080p・低設定で35から45fps程度となり、やや厳しい場面もあります。しかし、720p解像度にすれば50から60fps程度で安定するため、プレイ自体は十分可能です。
重量級のAAAタイトルや最新の高グラフィックゲームを最高設定で楽しみたい場合は、専用GPUの搭載が必要です。Iris Xeは、軽量から中量級のゲームを楽しむライトゲーマーや、設定を調整すれば幅広いゲームをプレイできる柔軟性を求める方に適しています。
また、ゲーミング性能を最大限に引き出すには、メモリ構成が重要です。デュアルチャネル構成の16GBメモリを搭載することで、シングルチャネル構成と比較して約30から50%のフレームレート向上が見込めます。Iris Xe搭載PCを選ぶ際は、メモリ構成にも注目しましょう。
5. Iris Xeでできること
Iris Xeは内蔵GPUでありながら、従来のIntel製グラフィックスと比較して大幅に性能が向上したことで、さまざまな用途で実用的に活用できるようになりました。ここでは、Iris Xeを搭載したパソコンで具体的にどのようなことができるのか、実際の使用シーンを想定しながら詳しく解説していきます。
5.1 動画編集や画像処理
Iris Xeは、クリエイティブ作業において十分に実用的な性能を発揮します。特にIntelが提供するハードウェアアクセラレーション機能により、動画編集や画像処理といった負荷の高い作業でも快適に行うことができます。
動画編集においては、Adobe Premiere ProやDaVinci Resolveといったプロフェッショナル向けソフトウェアでも、フルHD解像度の動画であればスムーズなプレビュー再生やレンダリングが可能です。Iris Xeは、H.264やH.265といった主要な動画コーデックのハードウェアエンコード・デコードに対応しており、CPUだけで処理する場合と比較して大幅に作業時間を短縮できます。
4K動画の編集については、エフェクトを多用する複雑なプロジェクトでは処理に時間がかかる場合がありますが、カット編集やシンプルなトランジションを中心とした編集であれば十分に対応可能です。ただし、複数の4Kトラックを同時に扱う場合や、高度な3Dエフェクトを多用する場合には、専用GPUを搭載したモデルのほうが快適に作業できるでしょう。
画像処理に関しては、Adobe PhotoshopやLightroomといったソフトウェアで快適に作業できます。RAW画像の現像やフィルター処理、レイヤーを多用した編集作業もスムーズに行えます。特にIntel製CPUとの組み合わせにより、AIを活用した画像処理機能が効率的に動作するため、ノイズ除去や被写体の切り抜きといった処理も高速です。
| 作業内容 | Iris Xeの対応状況 | 快適度 |
|---|---|---|
| フルHD動画編集 | スムーズなプレビュー・書き出しが可能 | ◎ |
| 4K動画編集(基本的な作業) | シンプルな編集なら対応可能 | ○ |
| 4K動画編集(高度なエフェクト) | 処理に時間がかかる場合がある | △ |
| RAW画像現像 | 快適に作業可能 | ◎ |
| 複雑なレイヤー編集 | 十分な性能を発揮 | ○ |
また、Intel QuickSyncという技術により、動画のエンコード処理が非常に高速です。YouTubeやSNS向けの動画を書き出す際には、この機能が大きなアドバンテージとなります。内蔵GPUでありながら、専用GPUに匹敵する書き出し速度を実現できる場面も少なくありません。
5.2 ライトゲーミング
Iris Xeは、軽量なゲームやeスポーツタイトルであれば快適にプレイできる性能を備えています。従来のIntel内蔵GPUでは厳しかったゲーミング用途でも、Iris Xeなら選択肢に入るレベルまで性能が向上しました。
League of LegendsやVALORANT、Fortniteといった人気のeスポーツタイトルは、設定を調整することで60fps以上の快適なフレームレートでプレイできます。特に1920×1080の解像度で、グラフィック設定を中程度に調整すれば、多くのタイトルで実用的なゲーム体験が得られます。
インディーゲームやレトロゲーム、2Dゲームについては、ほぼすべてのタイトルで問題なくプレイできます。StardewValleyやTerraria、Celeste、Hades、Dead Cellsといった人気タイトルは最高設定でも快適に動作します。
| ゲームタイトル例 | 推奨設定 | 期待フレームレート |
|---|---|---|
| League of Legends | 中~高設定 | 60fps以上 |
| VALORANT | 中設定 | 60~100fps |
| Fortnite | 低~中設定 | 50~60fps |
| Apex Legends | 低設定 | 40~60fps |
| Minecraft Java版 | 中設定(影MODなし) | 60fps以上 |
| インディーゲーム全般 | 最高設定 | 60fps以上 |
一方で、最新のAAAタイトルと呼ばれる大作ゲームについては、プレイできないわけではありませんが、グラフィック設定を大幅に下げる必要があります。CyberpunkやAssassin’s Creed、Call of Dutyシリーズといったタイトルは、低設定にしても30~40fps程度にとどまる場合が多く、快適なゲーム体験とは言い難いでしょう。
ただし、ゲーミングを主目的としない方が、空き時間に軽くゲームを楽しむ用途であれば十分な性能です。特にノートパソコンで外出先でも気軽にゲームを楽しみたいという方にとっては、バッテリー駆動時間と性能のバランスが取れた選択肢となります。
また、クラウドゲーミングサービスを利用する場合には、Iris Xeの性能は十分すぎるほどです。GeForce NOWやXbox Cloud Gamingといったサービスでは、ストリーミング映像をデコードする処理が中心となるため、内蔵GPUでも快適に最新ゲームを楽しめます。
5.3 日常的な作業での快適性
Iris Xeは、日常的なパソコン作業において非常に快適な使用感を提供します。Webブラウジング、Office作業、動画視聴といった基本的な用途では、専用GPUとの体感差はほとんどありません。
Webブラウジングにおいては、複数のタブを開いた状態でも快適に動作します。特に最近のWebサイトはグラフィック処理が増えており、スムーズなスクロールやアニメーション表示にはある程度のグラフィック性能が必要ですが、Iris Xeならストレスなく閲覧できます。Google ChromeやMicrosoft Edgeといったモダンブラウザのハードウェアアクセラレーション機能も効果的に機能します。
複数のディスプレイを使用するマルチモニター環境でも、Iris Xeは優れたパフォーマンスを発揮します。4Kディスプレイを含む複数画面での作業も快適で、画面間のウィンドウ移動や動画再生もスムーズです。在宅勤務やオフィスワークで複数モニターを活用する方にとっても、十分な性能を備えています。
動画視聴については、YouTubeやNetflixなどのストリーミングサービスで4K動画を再生する際も、CPUへの負荷を抑えながらスムーズな再生が可能です。HDRコンテンツにも対応しており、対応ディスプレイと組み合わせれば美しい映像を楽しめます。さらに、複数の動画を同時に再生する場合でもコマ落ちすることなく視聴できます。
| 用途 | Iris Xeでの快適度 | 特徴 |
|---|---|---|
| Webブラウジング | 非常に快適 | 複数タブでもスムーズ |
| Office作業 | 非常に快適 | 大容量ファイルも問題なし |
| 4K動画視聴 | 非常に快適 | HDR対応で高画質 |
| ビデオ会議 | 非常に快適 | バーチャル背景も快適 |
| マルチモニター | 快適 | 4K含む複数画面に対応 |
ZoomやMicrosoft Teamsといったビデオ会議ツールでも、Iris Xeは優れた性能を発揮します。特にバーチャル背景機能を使用する際には、リアルタイムでの画像処理が必要となりますが、Iris Xeならスムーズに動作します。複数人での会議や画面共有を行いながらの会議でも、映像がカクつくことなく快適にコミュニケーションが取れます。
プレゼンテーション資料の作成においても、PowerPointやGoogle Slidesで画像や動画を多用した資料を作成する際、プレビュー表示やアニメーションの確認がスムーズに行えます。複雑なトランジション効果やアニメーションを使用しても、実際のプレゼンテーション時と同じ動作を確認できるため、資料作成の効率が向上します。
また、写真や動画の整理・管理といった作業でも快適です。大量の写真をサムネイル表示する際の読み込み速度が速く、フォルダ間の移動もスムーズです。スマートフォンから転送した動画のプレビュー再生も、待ち時間なく即座に行えます。
プログラミングや開発作業においても、Iris Xeは実用的な性能を提供します。統合開発環境であるVisual Studio CodeやIntelliJ IDEAといったツールは、現代的なUIとコード補完機能により、ある程度のグラフィック性能を必要としますが、Iris Xeならストレスなく使用できます。複数のプロジェクトを同時に開いたり、コードのプレビュー機能を使用したりする場合でも快適に作業できます。
このように、Iris Xeは内蔵GPUでありながら、ビジネス用途からクリエイティブ作業、軽度のゲーミングまで幅広い用途で実用的な性能を発揮します。専用GPUを搭載したモデルと比較すると性能面では劣りますが、消費電力やコストパフォーマンス、持ち運びやすさといった点を考慮すると、多くのユーザーにとって最適なバランスを実現した選択肢と言えるでしょう。
6. Iris Xe搭載製品の選び方
Iris Xe Graphicsを搭載したパソコンを選ぶ際には、単にスペック表に「Iris Xe」と書かれているだけでなく、いくつかの重要なポイントを確認する必要があります。同じIris Xe搭載製品でも、CPUの世代やメモリ構成によって性能が大きく異なるため、用途に合った製品を見極めることが大切です。
6.1 搭載CPUの確認方法
Iris Xe Graphicsは、Intel第11世代Core(Tiger Lake)以降のプロセッサーに搭載されています。製品を選ぶ際には、CPUの型番を確認することが最も重要です。
CPUの型番は「Core i7-1165G7」のような形式で表記されており、最初の2桁の数字が世代を示しています。この例では「11」が第11世代を意味します。第12世代(Alder Lake)や第13世代(Raptor Lake)でもIris Xe Graphicsは採用されており、世代が新しいほど性能が向上しています。
また、末尾のアルファベットも重要な情報です。「G7」は高性能版のIris Xe Graphicsを、「G4」は標準版を示しています。G7版は実行ユニット数が96基、G4版は48基と、同じIris Xeでも性能が約2倍異なるため、グラフィック性能を重視する場合はG7搭載モデルを選ぶべきです。
| CPU末尾 | GPU種類 | 実行ユニット数 | 適した用途 |
|---|---|---|---|
| G7 | Iris Xe Graphics(高性能版) | 96基 | 動画編集、軽量ゲーム、グラフィック作業 |
| G4 | Iris Xe Graphics(標準版) | 48基 | オフィス作業、ウェブ閲覧、動画視聴 |
| U | UHD Graphics | 32基以下 | 基本作業のみ |
製品ページやスペック表では「インテルIris Xe グラフィックス」とだけ記載されていることも多いため、必ずCPUの型番全体を確認し、どのグレードのIris Xeが搭載されているか見極めましょう。
6.2 おすすめのノートパソコン
Iris Xe Graphicsは、特にモバイルノートパソコンにおいてバランスの取れた性能を発揮します。薄型軽量でありながら、十分なグラフィック性能を持つ製品が多数登場しています。
選ぶ際の最重要ポイントは、メモリ容量とメモリ構成です。Iris Xe GraphicsはシステムメモリをGPUと共有するため、メモリ容量が不足すると性能が著しく低下します。最低でも16GBのメモリを搭載したモデルを選ぶことをおすすめします。
また、メモリがデュアルチャネル構成(2枚のメモリを組み合わせた構成)になっているかも確認しましょう。シングルチャネル構成と比較して、デュアルチャネル構成ではグラフィック性能が最大で50%以上向上することがあります。製品仕様に「LPDDR4x-4266 デュアルチャネル」などと記載されているものが理想的です。
画面サイズについては、13インチから15インチのモデルが主流です。持ち運びを重視するなら13インチ、作業領域の広さを重視するなら15インチが適しています。ディスプレイの解像度は、フルHD(1920×1080)以上を選ぶことで、Iris Xeの性能を活かした快適な作業環境が得られます。
ストレージはSSDが標準となっていますが、容量は512GB以上を選ぶと安心です。動画編集や写真管理を行う場合は、1TB以上の容量があるとより快適に作業できます。
バッテリー駆動時間も重要な選択基準です。Iris Xe搭載の第11世代以降のCoreプロセッサーは電力効率が向上しており、多くのモデルで10時間以上の駆動時間を実現しています。外出先での使用が多い場合は、バッテリー容量が大きいモデルを選びましょう。
6.3 デスクトップPCでの選択肢
デスクトップPCにおけるIris Xe搭載製品は、主にコンパクトなミニPCや省スペース型のオールインワンPCに採用されています。デスクトップ環境では、後から専用GPUを追加できる拡張性も考慮して選ぶことが重要です。
小型のミニPCでは、Iris Xe Graphicsのみでグラフィック処理を行う前提となるため、メモリ構成がより重要になります。多くのミニPCはメモリがオンボード(基板に直付け)となっており、後から増設できない場合があります。購入時点で十分な容量を確保しておきましょう。
一方、拡張性のあるタワー型デスクトップPCを選ぶ場合は、将来的に専用GPUを追加する可能性も考慮できます。初期投資を抑えてIris Xe搭載モデルを選び、必要に応じて後から専用のグラフィックカードを追加するという選択肢もあります。この場合、電源ユニットの容量に余裕があるモデルを選ぶことが大切です。
デスクトップPCでは、ノートパソコンと比べて冷却性能に余裕があるため、CPU性能をより引き出せる傾向があります。同じIris Xe搭載CPUでも、デスクトップ向けのモデルの方が高いクロック周波数で動作し、結果としてグラフィック性能も向上します。
| PC種類 | メリット | 注意点 | 推奨メモリ |
|---|---|---|---|
| モバイルノート(13インチ) | 携帯性が高い、バッテリー駆動時間が長い | 画面が小さい、拡張性が低い | 16GB以上(デュアルチャネル) |
| 標準ノート(15インチ) | 画面が広い、キーボードが使いやすい | 重量がやや重い | 16GB以上(デュアルチャネル) |
| ミニPC | 省スペース、静音性が高い | 拡張性がほぼない、メモリ増設不可の場合あり | 16GB以上(購入時に確定) |
| タワー型デスクトップ | 拡張性が高い、冷却性能が良い、GPU追加可能 | 設置スペースが必要 | 16GB以上(後から増設可能) |
また、接続端子の種類と数も確認しておきましょう。Iris Xe Graphicsは複数のディスプレイ出力に対応しているため、HDMI、DisplayPort、Thunderbolt 4などの映像出力端子が充実しているモデルを選ぶと、マルチモニター環境の構築が容易になります。
予算については、Iris Xe搭載の第11世代Core i5モデルで10万円前後、Core i7モデルで12万円から15万円程度が相場となっています。用途に応じて適切なCPUグレードを選び、特にメモリとストレージの構成にこだわることで、コストパフォーマンスの高い製品選びができます。
7. Iris Xeの注意点とデメリット
Iris Xeは内蔵GPUとして優れた性能を持っていますが、すべての用途に万能というわけではありません。購入前に知っておくべき注意点やデメリットを正しく理解することで、後悔のないパソコン選びができます。ここでは、実際の使用場面で直面する可能性のある制約について詳しく解説します。
7.1 専用GPUとの性能差
Iris Xeは内蔵GPUとしては高性能ですが、NVIDIA GeForce RTXシリーズやAMD Radeon RXシリーズといった専用GPU(グラフィックボード)と比較すると、明確な性能差があります。特に3Dグラフィックスを多用するゲームや、プロフェッショナルな動画編集、3DCG制作などの重い作業では、この差が顕著に現れます。
例えば、最新のAAAタイトルゲームを高画質設定でプレイする場合、Iris Xeでは30fps程度しか出ないケースでも、エントリークラスの専用GPUであるGeForce GTX 1650では60fps以上を安定して維持できます。また、4K動画の編集やレンダリング作業においても、専用GPUを搭載したシステムと比べて処理時間が2倍から3倍程度かかることも珍しくありません。
| 用途 | Iris Xe | 専用GPU(エントリークラス) | 推奨される選択 |
|---|---|---|---|
| 軽量ゲーム | 快適 | 快適 | Iris Xeで十分 |
| 最新AAAタイトル | 低~中画質で30fps程度 | 中~高画質で60fps以上 | 専用GPU推奨 |
| フルHD動画編集 | 可能だが時間がかかる | スムーズ | 本格的なら専用GPU |
| 4K動画編集 | 厳しい | 快適 | 専用GPU必須 |
| 3DCG制作 | 学習用途のみ | 実用レベル | 専用GPU推奨 |
ただし、この性能差は用途によって問題にならない場合も多くあります。日常的なウェブブラウジング、オフィスソフトの使用、動画視聴、写真の整理といった一般的な作業では、Iris Xeの性能で全く問題ありません。重要なのは、自分の使用目的とIris Xeの性能が合致しているかを事前に確認することです。
7.2 メモリ容量の重要性
Iris Xeは専用のビデオメモリを持たず、システムメモリ(RAM)の一部をグラフィックス処理に使用する仕組みです。これはメモリ統合型アーキテクチャと呼ばれ、コスト削減や省電力化には有利ですが、システム全体のメモリ容量が不足していると、グラフィックス性能だけでなくパソコン全体のパフォーマンスが低下してしまいます。
具体的には、Iris Xeは状況に応じて最大4GBまでのシステムメモリをグラフィックス処理に割り当てます。例えば、パソコンに8GBのメモリしか搭載されていない場合、Iris Xeが4GBを使用すると、OSやアプリケーションが使える残りのメモリは4GBとなります。この状態で複数のアプリケーションを同時に起動したり、ブラウザで多数のタブを開いたりすると、メモリ不足によって動作が遅くなる可能性があります。
| システムメモリ容量 | Iris Xe使用後の残りメモリ | 快適性 | 推奨用途 |
|---|---|---|---|
| 8GB | 約4GB | やや制約あり | 軽い作業のみ |
| 16GB | 約12GB | 快適 | 一般的な用途全般 |
| 32GB以上 | 約28GB以上 | 非常に快適 | プロフェッショナル用途 |
そのため、Iris Xe搭載パソコンを選ぶ際は、最低でも16GBのメモリ搭載モデルを選択することを強く推奨します。特にクリエイティブな作業や、ゲームをプレイする予定がある場合は、16GB以上のメモリが必須と考えてください。8GBメモリのモデルは価格が安く魅力的に見えるかもしれませんが、Iris Xeの性能を十分に引き出せず、快適性が損なわれる可能性があります。
また、メモリの動作速度もIris Xeの性能に影響します。DDR4-3200やLPDDR4X-4266といった高速なメモリを搭載したモデルの方が、グラフィックス性能が向上します。パソコンを選ぶ際は、メモリ容量だけでなく、メモリの種類や速度にも注目すると良いでしょう。
さらに、購入後のメモリ増設可能性も確認しておくことをおすすめします。デスクトップPCや一部のノートパソコンではメモリの増設や交換が可能ですが、薄型軽量ノートパソコンの多くはメモリがマザーボードに直付けされており、後から増設できません。将来的な用途拡大を考えるなら、最初から余裕のあるメモリ容量を選んでおくことが賢明です。
8. まとめ
Iris XeはIntelが従来のUHD Graphicsから大幅に性能を向上させた内蔵GPU技術です。
アーキテクチャの刷新により、動画編集や画像処理、ライトゲーミングなど幅広い用途で快適に使用できるようになりました。特にIris Xe Graphicsは第11世代以降のCore iプロセッサーに統合され、日常的な作業からクリエイティブな用途まで対応できる性能を持っています。ただし、本格的なゲーミングや高負荷な3D作業には専用GPUの方が適しているため、用途に応じた選択が重要です。また、内蔵GPUはシステムメモリを共有するため、16GB以上のメモリ搭載が推奨されます。
Iris Xe搭載ノートパソコンは携帯性と性能のバランスに優れ、外出先での作業にも最適です。自分の使用目的に合ったスペックを見極めることで、コストパフォーマンスの高いパソコン選びが可能になります。ゲーミングPC/クリエイターPCのパソコン選びで悩んだらブルックテックPCへ。
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