GPUって何?知っておきたいパソコンの基礎知識
パソコンの頭脳であるCPUとは別に、画像処理を専門に行うGPU。
なんとなく聞いたことはあるけれど、実はよく知らない方も多いのではないでしょうか。この記事ではGPUとは何かを初心者の方にも分かりやすく解説します。ゲームやクリエイティブな作業、AI開発など、様々なシーンで活躍するGPUの役割、そしてNVIDIA、AMD、Intelといった主要メーカーの特徴やドライバの安定性についてもご紹介します。さらに、人気ゲームタイトル(FFXIV、APEX Legends、VALORANT、ストリートファイター6、モンスターハンターワイルズ)やイラスト制作、映像編集(Premiere Pro, After Effects)、CG制作、VTuberの3D配信、Live2D配信など、具体的な用途に最適なGPUの選び方も具体例を挙げながら詳しく説明します。
1. GPUとは?
GPUとは、Graphics Processing Unitの略で、画像処理に特化したプロセッサのことです。CPUがパソコン全体の処理を行う司令塔だとすればGPUは画像処理に特化した副司令塔のような存在で3Dグラフィックスや動画の描画/計算処理などを高速で行うことができます。
1.1 ゲームにおいての役割
GPUは、ゲームの描画処理において非常に重要な役割を担っています。リアルな質感の表現や、滑らかな動き、美しいエフェクトなどは、GPUの性能によって大きく左右されます。高いフレームレートを維持することで快適なゲームプレイを実現するためにも高性能なGPUは欠かせません。
最新のゲームを快適にプレイするためには、高性能なGPUが必要不可欠です。特に高解像度でプレイする場合や高画質設定でプレイする場合は、GPUの性能が重要になります。
1.2 クリエイティブ用途においての役割
GPUはクリエイティブな作業においても力を発揮します。例えば画像編集ソフトや動画編集ソフト、3DCG制作ソフトなどではGPUの性能が作業効率に直結します。複雑なエフェクトや高解像度の画像を扱う場合、高性能なGPUはレンダリング時間を大幅に短縮し作業をスムーズに進めることを可能にします。
Adobe Photoshop、Illustrator、Premiere Pro、After Effects、Blenderなどのクリエイティブソフトでは、GPUの性能が作業効率に大きく影響します。特に、4Kや8Kなどの高解像度動画を編集する場合やエフェクトを多用する場合、高性能なGPUは必須と言えるでしょう。
1.3 AI開発においての役割
AI開発の分野においてもGPUの重要性が高まっています。深層学習(ディープラーニング)をはじめとするAIの学習には、膨大な量の計算処理が必要となります。GPUは並列処理を得意とするため、CPUに比べてはるかに高速に計算処理を行うことが可能で、AI開発の効率を飛躍的に向上させることができます。
GPUはAI開発、特に深層学習において、学習速度を大幅に向上させることができます。そのため多くのAI開発の現場でGPUが活用されています。特に、NVIDIAのCUDAコアを搭載したGPUは、深層学習に最適化されており広く利用されています。
GPUの性能は、主にコア数、クロック周波数、メモリ容量、メモリ帯域幅などで決まります。これらの要素が高いほど高性能なGPUと言えるでしょう。また、DLSSなどのAIを用いた描画技術も、GPUの性能を向上させる上で重要な役割を果たしています。DLSSは、NVIDIAが開発したAIを用いた超解像技術で、低解像度でレンダリングした画像を高解像度に変換することで、画質を維持しつつフレームレートを向上させることができます。
DLSS(Deep Learning Super Sampling)は、NVIDIAが開発したAIベースのアップスケーリング技術です。低解像度でレンダリングした画像をAIによって高解像度化することで、画質を落とさずにフレームレートを向上させることができます。特に、4Kや8Kといった高解像度でのゲームプレイにおいては、DLSSが大きな効果を発揮します。
このDLSSが利用できるGPUはTensorコアと呼ばれるAI処理に特化したプロセッサを搭載したGeForce RTXシリーズのGPUでのみ利用可能です。DLSSのバージョンも進化を続けており、最新のDLSS 3ではフレーム生成機能が追加され、さらに高いフレームレートを実現しています。DLSSは、高解像度ゲーミングをより快適にするための重要な技術です。
項目 | 説明 |
---|---|
コア数 | 演算処理を行うコアの数が多いほど、高性能。 |
クロック周波数 | コアの動作速度。高いほど、高速に処理が可能。 |
メモリ容量 | GPUが扱うデータの一時的な保管場所。容量が大きいほど、高解像度や高画質の処理が可能。 |
メモリ帯域幅 | メモリとGPU間のデータ転送速度。広いほど、高速なデータ転送が可能。 |
2. メーカーごとの違い
GPU市場は、主に3つのメーカーによって構成されています。それぞれ得意分野や特徴が異なるため、自身の用途に合ったメーカーを選ぶことが重要です。
2.1 GPUメーカー(NVIDIA、AMD、Intel)
現在、主要なGPUメーカーは、NVIDIA、AMD、Intelの3社です。それぞれの特徴を簡単にまとめると以下のようになります。
メーカー | 特徴 | 得意分野 | 価格帯 |
---|---|---|---|
NVIDIA | 高い性能と豊富な機能、安定したドライバ、レイトレーシング技術の先駆者 | ハイエンドゲーミング、AI開発、ディープラーニング、プロフェッショナル向けグラフィックス | 高~中 |
AMD | コストパフォーマンスの良さ、CPUとの連携による性能向上、一部エントリーモデルは省電力性に優れる | ミッドレンジゲーミング、コスパ重視のPC、ゲーム機向けGPU | 中~低 |
Intel | CPU内蔵グラフィックスで実績豊富、近年ではディスクリートGPU市場にも参入 | エントリーモデル、内蔵グラフィックス、低価格帯PC | 低 |
NVIDIAはGeForce RTXシリーズでゲーミング市場を牽引し、QuadroシリーズやTeslaシリーズなどプロフェッショナル向けGPUも提供しています。特にDLSSなどのAIを活用した高度な描画技術に強みを持っています。レイ トレーシング技術にも注力しており、リアルな光の表現を可能にしています。
AMDはRadeonシリーズでNVIDIAと競合しており、Radeon RX 7000シリーズなどのハイエンドモデルから、エントリーモデルまで幅広い製品を展開しています。CPUとGPUを組み合わせた際に性能が向上する技術も魅力です。また、ゲーム機向けGPUの開発も行っており、その技術力は高く評価されています。
Intelは、CPU内蔵グラフィックスであるIntel HD GraphicsやIntel Iris Xe Graphicsで知られており、近年ではディスクリートGPUであるArcシリーズを展開し、ゲーミング市場にも本格的に参入しています。価格競争力のある製品を投入し、市場シェアの拡大を目指しています。
2.2 各メーカーのドライバ更新頻度と安定性
ドライバは、GPUの性能を最大限に引き出すために重要なソフトウェアです。各メーカーは定期的にドライバを更新し、バグ修正やパフォーマンス向上、新機能の追加などを行っています。
NVIDIAは比較的高い頻度でドライバを更新することで知られており、ゲームの最適化なども迅速に行われます。安定性も高く評価されています。
AMDも定期的にドライバを更新しており近年は安定性も向上しています。新機能の追加やパフォーマンス向上にも積極的です。
IntelはディスクリートGPU市場への参入は日が浅いため、ドライバの成熟度はNVIDIAやAMDに比べるとやや劣ると言われています。しかし、今後の改善が期待されています。安定性についても、今後のアップデートで改善が見込まれます。
3. GPUの選び方
GPUを選ぶ際に重要なのは用途に合った性能のGPUを選ぶことです。高性能なGPUは価格も高くなりますので、必要以上の性能を持つGPUを選んでしまうと予算を無駄にしてしまう可能性があります。逆に、性能が低すぎるGPUを選んでしまうと、快適に作業を行うことができません。そのためご自身の用途に合った適切なGPU選びが重要になります。
3.1 ゲーム
ゲーム用途でGPUを選ぶ場合は、プレイしたいゲームの推奨スペックを確認することが重要です。最新のAAAタイトルを最高設定でプレイしたい場合は、ハイエンドGPUが必要になります。一方、軽いゲームや少し古いゲームをプレイするだけであれば、ミドルレンジGPUでも十分快適にプレイできます。
3.1.1 FFXIV
FFXIVは比較的軽いゲームなので、ミドルレンジGPUでも快適にプレイできます。ただし高解像度でプレイしたい場合やウルトラワイドモニタ等の大きなモニタでプレイする場合はハイエンドGPUが推奨されます。
フルHDでプレイする場合はRTX4060Ti、WQHDや4Kでプレイする場合にはRTX4070 SUPER以上がベストです。
3.1.2 APEX Legends
APEX Legendsのような競技性の高いFPSゲームでは、高いフレームレートが求められます。快適にプレイするためにはハイエンドGPUが推奨されます。特に、高リフレッシュレートのゲーミングモニターを使用している場合は、ハイエンドGPUが必須と言えるでしょう。
フルHDまでの場合RTX4060Ti、ハイフレームレートでプレイしたい場合やWQHD以上のサイズでプレイする場合はRTX4070以上をおすすめします。
3.1.3 VALORANT
VALORANTは比較的軽いゲームなので、ミドルレンジGPUでも快適にプレイできます。ただし、競技シーンでプレイすることを目指している場合は、ハイエンドGPUでより高いフレームレートを確保することが有利に働くでしょう。
RTX3050やRTX4060等のエントリー向けGPUでプレイされる方が多い印象です。
3.1.4 ストリートファイター6
ストリートファイター6のような格闘ゲームでは入力遅延が少ないことが重要です。高性能なGPUは入力遅延を低減する効果があるので、快適にプレイするためにはハイエンドGPUが推奨されます。
フルHDサイズの場合RTX4060程度のGPUがオススメですが、同時に配信等を行う方の場合はRTX4070以上をお勧めします。
3.1.5 モンハンワイルズ
モンハンワイルズはこの春に発売される注目の話題作。しかしフレーム補完技術であるDLSS非対応のGPUではプレイに難があるため、RTX4060以上のGPUを必要とします。
4Kプレイしたい場合や配信を同時に行う場合はハイエンドGPUであるRTX4070 SUPER以上が推奨されます。
3.2 イラスト制作に最適なGPU
イラスト制作ソフトCLIP STUDIO PAINTなどを使用する際に、GPUの性能が作業効率に大きく影響します。キャンバスの拡大縮小や回転、ブラシの描画などがスムーズに行えるようになります。特に、解像度の高いイラストを制作する場合は、高性能なGPUが推奨されます。
ただし膨大な数のレイヤーを使わない場合にはRTX3050や4060で問題なく快適に動作します。
3.3 映像編集(Premiere、AfterEffect)とCG制作に最適なGPU
映像編集やCG制作では、GPUの性能がレンダリング速度に大きく影響します。複雑なエフェクトや高解像度の映像を扱う場合は、ハイエンドGPUが必須と言えるでしょう。NVIDIA GeForce RTXシリーズは、動画エンコードを高速化するNVENCを搭載しているため、映像編集に最適です。また、Adobe Premiere ProやAfter Effectsなどの主要な映像編集ソフトは、NVIDIA GPUとの連携が最適化されているため、NVIDIA GPUを選択することが推奨されます。
用途 | 推奨GPU |
---|---|
動画編集(Premiere Pro, After Effects) | NVIDIA GeForce RTX 4000番台以上 |
CG制作(Blender, Maya) | NVIDIA GeForce RTX 4000番台以上、またはAMD Radeon RX 7000番台以上 |
3.4 3D配信を行うVTuberやLive2Dを用いた配信を行うライバーに最適なGPU
3D配信を行うVTuberやLive2Dを用いた配信を行うライバーは、リアルタイムで映像を処理する必要があるため、高性能なGPUが求められます。配信ソフトOBS Studioと連携性の高いNVIDIA GeForce RTXシリーズがおすすめです。特に、高画質で配信したい場合は、ハイエンドGPUが必須と言えるでしょう。また、複数のアプリケーションを同時に起動する必要があるため、VRAM容量も重要になります。8GB以上のVRAMを搭載したGPUを選択することをお勧めします。
VTuberの3Dモデルの描画には、多くの場合VRAMが使用されます。モデルのポリゴン数やテクスチャの解像度が高いほど、多くのVRAMが必要になります。配信中に他のアプリケーションも同時に使用する場合、さらに多くのVRAMが必要になります。VRAMが不足すると、配信がカクついたり、最悪の場合クラッシュする可能性があります。そのため、VTuberやLive2D配信を行う場合は、VRAM容量にも注意してGPUを選択する必要があります。
ブルックテックPCで配信用マシンをご購入されるVTuber/ライバーのお客様の8割以上はRTX4070 SUPER搭載のマシンを購入されており、短期間での買い替えを防ぐ意味でも余裕を持ったスペックのGPUが人気です。
用途 | 注意点 |
---|---|
ゲーム | プレイしたいゲームの推奨スペック、リフレッシュレート、解像度 |
イラスト制作 | VRAM容量、ディスプレイの解像度と色域 |
映像編集/CG制作 | VRAM容量、CPUとのバランス、ソフトウェアの推奨スペック |
3D配信/Live2D | VRAM容量、エンコーダー性能、CPUとのバランス |
AI開発 | Tensorコアの有無、CUDAコア数、VRAM容量 |
4. おわりに
ここまでGPUについて、その役割から選び方まで解説してきました。GPUはパソコンの性能を大きく左右する重要なパーツであり、特にゲームやクリエイティブな作業、AI開発においてはその性能が重要になってきます。適切なGPUを選ぶことで、快適な作業環境を実現し、より高度な表現や処理が可能になります。
昨今では、AI技術の進化に伴い、GPUはディープラーニングをはじめとしたAI開発においても不可欠な存在となっています。また、リアルタイムレイトレーシングやDLSSといった最新技術もGPUの性能によって実現されており、GPUへの投資は、単なるパソコンのアップグレードではなく、未来への投資と言えるでしょう。
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